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読んで旅した、ひとり旅

旅はいいものである。 電車に揺られ、私は思わずウトウトしてしまった。私の手から離れたキャリーケースが、軽快な音を立てて転がっていく。ひとりの旅人らしき人が、軽く笑いながら、転がるボールを拾うように受け止めてくれていた。私は、バツの悪い顔で、再び自分の元へキャリーケースを引き寄せる。 目的地へ向かって流れていく景色と、電車の規則正しい揺れ。それがあまりにも気持ちの良い夏の朝だったから、私は不覚にも目を閉じてしまっていたのだ。 昨年の夏、初めて「軽井沢」を訪れたことが、私の

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