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お父さん、ばいばい。


6月5日朝
父が息を引き取った。66歳。

4月頭に食道癌が発覚し、それから2ヶ月であっという間に居なくなってしまった。

癌が発覚後、約1ヶ月入院生活。
もう抗がん剤が効かなくなり、腫瘍は大きくなる一方だった。
なす術がなくなり自宅療養が決まった。
念願だった帰宅。

月曜日に帰宅し、土曜日に体調が急変し、息を引き取った。
たった6日間の自宅生活だった。

あっけなかった。

あっけなさすぎた。

亡くなった父を目にした時、本当に眠っているようだった。

目をつぶっているだけで、今にも『あーよく寝た』と起きそうだった。

なぎちゃん(孫)きたのか〜!

って、言ってきそうだった。

現実に起こっていることだと思えなかった。
思いたくなかった。



私には、父との良い思い出が少ない。

酒癖が悪く、怒りやすかった。
子供の前でも平気で夫婦喧嘩をし、悲しい思いを沢山した。

自分の趣味ばかりに没頭し、旅行に行くのはいつも母と兄と私、3人だった。

だからそれが当たり前だったし、一緒に旅行して怒ったりされるよりよっぽど3人の方が楽しかった。

だから、きっと居なくなっても悲しくはならないんだろうなと、そう思っていた。


しかし、そんなことはなかった。


こんなに悲しく、空虚感に襲われるなら
心から憎んでいたかった。

早く死ねばいい。

そんな風に思えるなら、どれだけ楽か。

これを書いている今も、涙が止まらない。

できることなら、もう少し、せめて娘が小学校にあがるくらいまで生きてほしかった。



退院した翌日、娘と会いに行った時言ったじゃないか。

『大丈夫だよ、きっと良くなるから』

そう言ったじゃないか。

早いよ。
ちょっと早すぎるよお父さん。


何をしていても、どこに居ても涙が流れてきてしまうよ。

早すぎるよ。

私が友達に報告をした時に送ってくれたメッセージを何度も何度も読み返しては、涙を流す日々。


『もう会えないということを実感したり受け止めるまでに私はすごく時間がかかった。
何かあれば今でも無性に会いたくなるし。
だから、無理に元気だそうとしたり気持ち切り替えてみようとしたりしないでね。
ゆっくりでもいつか頭で理解していることに心が追いついてくるから。
泣きながら空を眺めたり海でぼーっとしたりしてると世界はこちらの悲しみには合わせてくれず、何事も無かったように過ぎていくと実感したよ。』

彼女も若い時に癌でお母さんを亡くしている。



この悲しみに、いつか慣れる日が来るだろうか。



お父さん、66年間幸せでしたか?
今、何をしてますか?
お母さんを見守っていてね。

ありがとう、ばいばいお父さん。またね。



今の感情を忘れないために、書きました。

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