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【リスナー向け】音質を改善したい時に読むnote

※書いてるうちに収拾がつかなくなって、自己満足noteと化しています。ご了承ください。


こんにちは。himikoと申します。

社会人として働くかたわら、趣味で音楽制作を行っている者です。
社会人になると創作活動から離れる方が多いのですが、最近その理由がわかってきました。学生の頃と違って時間なさすぎ……。

最近は、恥ずかしながらspoonというアプリにドはまりしてます。
かっこいい声、可愛い声を聴けることもさることながら、リスナーを見るのも面白いです。地下アイドルのライブでオタクを見る感覚に近い。

また、別の楽しみ方も最近覚えました。
素人の方ばかりのため荒々しい音質の方が多く、部屋鳴り、低音のこもり、クリッピングなど、多種多様な音を観測できます。配信に入らなくてもこっそり聞けるので、かなり効率よく音を聞くことが出来ます。

そうして音に注目して配信を聞いていたのですが、ふと思いました。

「音質が悪い、ノイズがやばい。
これ全部が全部、配信者のせいか?」

なにせ、私はspoonをスマホで聞いています。時々ワイヤレスイヤホン。

そんな環境で聞いていて、低音のこもり(笑)。
相手の音質の悪さを指摘するというのは笑止千万。指摘したいのであれば、まず考えるべきことがあるでしょう。

そう、リスニング環境です

これを整えてから、ドヤ顔で音質うんぬん言わなくては。

そういう訳で、このnoteは私たちリスナー側の音質に関するnoteです。

内容としては

  • オーディオの基礎知識

  • 音質の種類

  • まとめ

この3つで構成されています。

先に注意点を。
自分の環境に合う機材の”選び方”をまとめているだけで、”具体的な機種”などは何一つオススメしません。

また、オーディオオタク的には当たり前であろうことしか書いていません。期待、ダメ絶対。

オーディオ機器、何を買えばいいかわかんない人。
特に、イヤホンやヘッドホンから先のこだわりを”自分で探している人”は是非、参考にしてみてください。





私たちに音が届くまで

こちらの図をご覧ください。

オーディオ機器の繋がり

はい、いきなり難しそう。でもほら、4つしかないから。

音楽を再生するには、4つの要素が必要です。

音源がデジタル信号でD/A変換器へ。アナログ信号へ変換された後、増幅器で信号を増幅、増幅されたアナログ信号は出力機器で振動となり音が出ます。

文章で説明するとよくわかんないですね。図を見たらわかると思いたい。

なにはともあれ、言葉の説明をします。


①音源
音のデータです。音楽ファイルやCD、Spotifyなどのストリーミングも含めます。
これ以上言うことない。

②D/A変換器
デジタル→アナログ変換を行います。難しいね。
全く聞き馴染みがないと思います。というのも、基本的にPCやスマホに内蔵されているので意識することはありません。
音源をイヤホンに繋ぐためのモノだと思ってください。詳細は「デジタルとアナログ」で。

③増幅器(アンプ)
文字通り、増幅するモノです。
D/A変換後のアナログ信号は、そのままでは微弱すぎてイヤホンを動かせません。なので、それを増幅して強い信号にします。
ちなみに、こちらもPCやスマホに内蔵されてます。というか、D/A変換器とセットが基本です。

④出力機器
イヤホン・ヘッドホン・スピーカーです。それ以外に無い……よね?断言するの怖いな…………。
アナログ信号を振動へ変換し、音波を出します。


この4点が揃って、初めて音が再生されるわけです。

覚えて欲しいことは2つ。

  • 図の4点のうちどれかを交換するイメージで弄る。

  • 基本的に機材は少ないほど良い。特に重複は本当によろしくない。

これが機材を選ぶ際にとても重要です。

例えば、既に良いヘッドホンを持っている人は、新しいヘッドホンを購入したとしてもどっちがいいか、というだけの話になります。
しかし、新しいD/A変換器を買えば、すでに持ってるヘッドホンで音質改善を図ることが出来ます。これが「4点のうちどれかを交換するイメージ」です。

そして、アンプを2つ、D/A変換器を2つなど重複した機材を入れたり、端子変換を多数利用したりすることは、ノイズが多く入ってしまいよくありません。そのため、先ほどの”4点”を意識して、機材を多数用いる行為はやめましょう。

それも含めて説明するための章が、次の「デジタルとアナログ」です。
が、かなり難しい内容になりました……。

興味がない方は、次の「デジタルとアナログ」を読み飛ばして先に進んでください。


デジタルとアナログ

初めてオーディオインターフェース(Steinberg UR12)を購入した時のこと。

当時は音が良くなるらしいこと、そしてDAW(音楽制作ソフト)を起動した際にその他アプリケーションの音が全て消えるという現象を解消できるらしいこと、この2つが目的で購入しました。

UR12が届いて、さあPCに繋ごうというとき。

「なんでこれ、USB接続なんだろう?」

と思いました。

だって、ずっとオーディオ関連はイヤホンジャック、マイクジャックの3.5mmのところ使ってたじゃん。なんで急にUSB?


ここから私の勉強が始まったとさ。

めでたしめでたし。


自分語りはさておき、ここでは

『デジタル入出力とアナログ入出力に注意することで、機材の構成がわかるよ』

という話をします。

まずは皆様、「デジタル」と「アナログ」を説明できますか?

私もあまり自信がないですが、一旦理系的な説明を挟みます。


デジタルとアナログの違い

デジタルは離散的なモノ、アナログは連続的なモノのことを指します。急に難しい表現ですね。

簡単に言うと、デジタルは飛び飛び、アナログは繋がっていることを言います。

日常でわかりやすい例えは、時計です。

デジタル時計は、数字で刻まれていきますよね。
1,2,3,…

対してアナログ時計は、秒針が動いていきます。
1,2,3,…

いや一緒。言葉にすると難しいですね。

実際には1と2の間には1.1もあるし、1.000001もあるし、1.00000000000000000000000000000000000000000000000000001もありますね。

デジタル時計はそういった値は存在しません。1の次の値は2です。
しかし、アナログ時計は1と2の間の値もあります。肉眼で見ることは出来ませんが、勿論1.00000000000000000000000000000000000000000000000000001もあります。

デジタルは飛び飛び、アナログは繋がっている。
これがデジタルとアナログの違いになります。


話を戻して、オーディオの場合。

まず、音=波というのは流石に知ってますね。波なんです実は。

そして、音の波はアナログの波形です。

先ほど言った通り、アナログは値が飛ぶことなく繋がっています。
繰り返しになりますが、1秒のアナログ波形は0.1秒にも値を持っているし、0.01秒、0.001秒、0.000000000001秒でも値を持っています。
どれだけ細かくみても絶対に値が存在するアナログ波形は、無限に値を持つといえます。

しかし、コンピュータは無限を扱うことが出来ません。
これを扱えるようにするため、一定間隔毎に時間とその大きさのデータ点を記録します。こうすることで、データ点数は有限個になります。
有限個のデータ点をまとめて、音源ファイルとして保存します。このとき、データ点と次のデータ点の間にはデータがありません。隙間が生まれる=離散的になるわけです。
なので、保存された音源はデジタルになります。

この作業をアナログ/デジタル変換(A/D変換)といいます。
また再生する際は、逆にデジタル/アナログ変換(D/A変換)を行いアナログ波形に戻します。

さて、ここで疑問を持つ方がいるはずです。

『点と点の間、どうやって戻すの?』

先ほどのデジタルの音源からアナログ波形に戻す際、当然ですが隙間を埋めなければなりません。
記録する間隔を狭め、データ点数が多いほど再現率が高くなるのは想像がつくと思います。

(ちなみに、この記録する間隔をサンプリング周期と呼び、「1秒間に何点取るか」と言い換えたのがサンプリング周波数になります。)

しかし、これもまた無限にデータ点を取ることは出来ません。無限にデータ点を取ると、容量も無限になってしまいます。
どれだけ高性能でも、必ず隙間が存在するのがデジタルなのです。

なので実際のところ、元のアナログ波形を完全再現することは基本的にできません。
D/A変換は、データから得られる可能な限りの再現を行う機器になります。

ここでもう一つ、疑問が生まれるかもしれません。いや、多分そんなこと思う人はいないんですけど、生まれることにして語らせてください。

『アナログのまま保存するのが理論上最強じゃね?』

そう、実はアナログで保存して再生するのが最も情報の欠落がないわけです。それなのに、わざわざデジタルにする理由、ちゃんとあります。

アナログ信号はめちゃくちゃノイズに弱いです。
ノイズが入ったときに波形が変わるのは想像つくでしょう。しかも、ノイズが入ったのか確認しようがありません。つまり「元がどんな状態だったか」を知る術もなく伝達されるのです。
これまでアナログの記録媒体としてテープやレコードがありましたが、今の時代と比べたら全然綺麗とは言い難いですよね。アナログに保存された音源自体にノイズが混じっていくし、読み出し作業中にもアナログ信号の伝達中にもどんどんノイズが混じります。

対して、デジタルはノイズに強いです。
音源自体がデータ、つまり数値で記録されています。この数値は二進数なので、0か1かさえ判別できればいいです。仮に、信号にノイズが入って1が0.7や1.2になったところでコンピュータは「1だなこれ」と判断できるので、多少のノイズではデータが書き換わったりしないんですね。
また、データ送信後にオリジナルとの比較を行い「オリジナルと違くね?エラー、エラーだこんなもん!」とエラーを出すことができます。これにより、正常に伝達されたかを確認できるんですね。賢い。

なので、一度デジタル化してしまえば、半永久的にオリジナルそのままを保持でき、100%同一のコピーが出来ます。そして、伝達中のノイズにも強い。これがデジタルの利点になります。


余談ですが、コピーをし続けたら音が悪くなっていく、みたいな議論が昔にありました。Xで流行った、スクショし続けて画質が悪くなっていくやつみたいな理屈ですね。
スクショの場合、画像の解像度がスマホによって違ったり圧縮して保存されたりするので画質は悪くなっていきますが、ファイルの場合はそんなこと起きません。当然、画像ファイルでも起きません。
確かコンピュータには許容誤差率みたいなのがあるので、理論上は数万回コピーすれば数ビットくらい変わるかも……みたいな結論だった気がします。
是非調べてみて、出展見つかったら教えてください。
余談終わり。

デジタル入出力、アナログ入出力

では本題に入りましょう。デジタル入出力、アナログ入出力について。

説明した通り、デジタルとアナログはその性質が全く違います。
なので、パソコンのデジタル出力から送信されるデジタル信号は、イヤホンのアナログ入力に送っても受け取り拒否されます。

つまり、端子の形が合っとけばいいわけじゃないのです。その端子が「アナログ信号の入力、出力」なのか、「デジタル信号の入力、出力」なのかを意識しないといけません。


少し具体的な例を出します。

最近は主流と言っていいでしょう、Bluetoothイヤホン。
これはデジタルの近距離無線通信によってデータを送信します。

Bluetoothイヤホンの繋がり

非常に単純明快。
音源を無線で受け取った後の処理は、全てイヤホン内で完結しています。
サイズが大きかったり、値段が高かったりするのはこのせいですね。

その利便性から多くの人が利用していますが、中にはBluetoothに対応していない機器もあります。これを解決する商品、ご存じでしょうか。

一つはBluetoothレシーバー

Bluetoothレシーバーの繋がり

これもわかりやすいですね。出力機器がBluetoothに対応していない場合に使える受信機です。
使い慣れたイヤホン・お気に入りのイヤホンをBluetooth化する。とってもとてもべりーぐっど。素晴らしいです。

もう一つがBluetoothトランスミッター。これは逆に音源側、例えばPCにBluetooth機能がないときに使う送信機です。

恐らく主流なのは、イヤホンジャック(3.5mm)に差し込むやつ。この3.5mmというのは、諸々処理した後のアナログ信号の受け取り場所(入力)です。

その後、Bluetoothイヤホンが受信して音声が再生されます。これを図にするとこう。


Bluetoothトランスミッターの繋がり

わかります?デジタルの音源をアナログに変換して、増幅したあとにもう一回デジタルに変換して、Bluetoothイヤホンの中でまたアナログに戻して増幅して再生されます。これはね、ほんとにめっちゃばか。

何も考えずに買ってしまうと、こういったことが起きてしまいます。端子の都合上仕方ないかもしれませんが、万人がわかるほど音が劣化することは覚悟しましょう。

逆に、デジタルで接続するBluetoothトランスミッターは問題ありません。
例えばUSB接続。USBからデジタルで送られてくるものをBluetoothで送信するだけです。何も問題ありません。

余談ですが、Bluetoothは音質が悪くなります。
というのも、Bluetoothがデジタルデータを圧縮してから無線で飛ばしているからです。圧縮によって音質が悪くなっています。決して音源が悪くなったり、伝達中にノイズが入ったりなどではありません。
この圧縮方式を「コーデック」と呼び、これ以外に音質に関わる要素はありません。コーデックだけ気にして選ぶと良いでしょう。


いや、アナログ入力のBluetoothトランスミッターの批判がしたいんじゃない。「端子の形があってればいいわけじゃないよ」って話に戻ります。

USBやBluetoothはデジタル信号を送るものだと意識しましょう。音を出すにはD/A変換器に入力して、アナログ信号に変換しないといけません。
そして、一般的なイヤホン端子(3.5mm)やそのデカイ版(6.3mm)、RCA(赤白2本セットのやつ)やXLR(マイクとか)などはアナログ信号を送れます。

この理屈がわかると、その入出力端子から機材の構成がわかるようになるのです。

ヘッドホンアンプの繋がり
(上)アナログ入力端子 (下)デジタル入力端子

ヘッドホンアンプには、アナログ入力、デジタル入力どちらの端子もある場合があります。RCAが挿せるアナログ入力端子、USBなどのデジタル入力端子がついてるのをよく見ますね。

アナログ入力する場合は、ただ増幅してヘッドホンに送るだけです。
デジタル入力する場合は、必ずどこかでD/A変換をしてアナログ信号にしなければなりません。ということは、デジタル入力(例えばUSBやイヤホンジャック)がついているヘッドホンアンプは、D/A変換器を有していることが分かります。

そういった商品は基本的に「DAC内蔵」と書いています。これはD/A変換器のことで、デジタル入力した際は「内蔵DACでD/A変換できるから、デジタル入力できるよ~」という意味になります。

つまり、質の高いD/A変換器部分を持っているのであればアナログ入力で、質の低いD/A変換器(PCやスマホ内蔵)しかない場合はデジタル入力で使ってあげるのが理想の使い方というわけです。大抵めちゃくちゃ良いDACが入ってるので、単体で使うべきですけどね。


余談ですが、ヘッドホンアンプは音質を良くする目的で使うものではないです。音質を良くするだけなら、さっき出てきたDACという機材を使います。これはD/A変換器のことです。一応こんな感じ。


DACの繋がり

ヘッドホンアンプと全く同じやん。

DACであっても音を再生できるように増幅器(アンプ)は入ってます。しかし、増幅器(アンプ)の出力については商品によるのでヘッドホンアンプと全く同じかと言われるとわかりません。

どちらにせよDAC、ヘッドホンアンプは既に一体型が主流なので、ほとんど同じものと言っても良いです。増幅器(アンプ)だけ買いたい場合は、アナログ入力がついたヘッドホンアンプを探しましょう。

余談終わり。


ヘッドホンアンプを使う目的は「最大音量にしても音量が小さいヘッドホンなどで音量を上げる」こと。
具体的にはインピーダンス値が高いヘッドホンです。感度 [dB/mW]にもよりますが、50Ωを超えるようなものはヘッドホンアンプが必要かもしれない、100Ωはまあ必要だろうな……と思いましょう。

これで、デジタルとアナログの話は終わり。


音質の種類を考える

次に音質について考えます。

個人的に「音質が悪い」と言っているときは「音の解像度が低い」状態だと思いますが、この感覚は個人差のようです。

EQで弄ることを高音質にするという方もいるので、一旦独自解釈として3つに分類させていただきます。


音の解像度が低い

純粋な音の再現度、音の定位(左右感)などの細かさを解像度とします。

百円均一で買えるイヤホンや、飛行機で貰えるイヤホンを使うと、数千円するイヤホンと比べザラザラして聞こえると思います。何の楽器が鳴ってるかわからない、ボーカル以外の音がよくわからないみたいな状態です。これが解像度の低い出力機器です。本当に嫌い。

ただし、それほど質の悪いイヤホンでないと万人に説明できないほどわかりづらい要素になります。
先ほど言った1000円以下のイヤホンと比較するならともかく、5000円と10000円のイヤホンの解像度の違いは多分わからない人が多いです。別に私も聞き分ける自信はない。

原因としては主に2つ。

一つ目が「出力機器の悪さ」。
つまり、イヤホンやヘッドホンが悪い場合です。
材質や機構の問題で上手く振動出来ていなかったり、音量などが原因で受け取ったアナログ信号を精度よく振動に変換できていない可能性があったりします。

2つ目が「D/A変換器の悪さ」。
同じイヤホンを使ってても、PCやスマホによって音が変わることがあります。例えば私の場合、「Let's noteの音は終わってるな」と感じます。

PCやスマホに入ってるD/A変換器は「声を聴きとれる」音質があればいいので、質が高くありません。デジタル信号を精度よくアナログ信号へ変換できず、細かなデータが失われるので解像度が低くなります。

なお、一応「音源の悪さ」の可能性もあります。
例えば、「音源の量子化ビット数(よく見るのは16bitと24bit)が低い」「機材や環境のせいで録り音にノイズが入ってしまっている」「ミックスが上手く出来ておらず、ステレオ感(左右の分離感)が分かりづらい、楽器がぶつかり合って聞こえづらい」など。
当然ですが、どうしようもありません。悪いのは作った人ですごめんなさい。
滅茶苦茶いい機材買って、ヘッドホンやスピーカー買って、ハイレゾ音源に変換したところで何も変わりません。悪い音源を正確に聞けるだけになります。これを聞きたくて私は機材を買うんだ……。


周波数特性が悪い

私たちは音波という波を聞いており、その波の周波数によって音の高さが決まります(「高速フーリエ変換」「フーリエ級数展開」)。
このnoteでは周波数の話をしたくないので「低音域」「中音域」「高音域」くらいに済ませます。

イヤホンなどの出力機器には、低音側が大きく聞こえたり、ボーカルやギターなどの中音域が大きくなったりするなど、それぞれ特性があります。
これを周波数特性と言います。

周波数特性が異なると、雰囲気ががらりと変わります。しかし、実際には周波数ごとの音量感が違うだけです。
完全に好みなので、好きに選びましょう。

周波数特性が好みでない場合、原因はほぼ一つ。

出力機器の問題」。
先述の通り、イヤホンやスピーカーには周波数特性があります。好みの問題なので、聞き比べをして好きなものを選びましょう。
もし、好みがわからなかったり、味付けをしないで欲しいのであれば「モニター用」を買いましょう。周波数特性が極力フラットになるように設計されています。

なお、先ほどと同様「音源の問題」もあります。
作曲者の環境のせいかもしれないし、作曲者の好みでそういうミックス・マスタリングをしてあるのかもしれません。どうしようもありません。諦めましょう。


余談ですが、周波数特性が悪い時の解決策として「EQ(イコライザー)の調整」というものがあります。

これは、特定周波数を大きくしたり、小さくしたりすることが出来るものです。例えば、100 [Hz]より低い低音を大きくしてベースマシマシにしよう、耳が痛いから10000 [Hz]以上を小さくしよう、など。

自分の環境で聞きづらい、耳障りな点があるのであれば、EQを使うべきです。

具体例を挙げると、
・車内では、走行音やエアコンの駆動音でボーカルが聞こえづらい
 →中音域を大きくする

・購入したヘッドホンは、低音域が小さく聞こえてしまう
 →低音域を大きくする

・耳に刺さる音がする。
 →高音域を小さくする

・耳が悪くて高域が聞こえづらい
 →高音域を大きくする

ちなみに「小さい部分を大きくする=大きい部分を小さくして音量を上げる」なので、弄り方も好みです。

ただ、制作側として絶対に言っておきたいのですが、制作時には楽曲の周波数特性もこだわって仕上げてます。「好みにする」よりは、「環境に合わせて使用する」モノだと思ってほしいです。
…………別にいいんだけど……いいんだけどさ…………「歌も伴奏も歌詞も何もかもいいけど、低音スカスカなんよねw」って時に低音域を大きくするEQをかけて聞くんじゃなくて、それも個性、それも作品だと思って愛して欲しいよ私は…………。


再生周波数帯域が狭い

人間には「可聴域」という、聞こえる周波数の限界があります。
一般的に20~20000 [Hz]が可聴域なので、20 [Hz]以下、20000 [Hz]以上は聞き取ることが出来ないとされています。

そのため音源においても、再生するイヤホン・ヘッドホンにおいても、それ以上出す必要ないのでは?というのが一般的な考え方です。

例えば、一般的なCD音源のサンプリング周波数は44.1 [kHz] =44100 [Hz]です。この半分が再生できる周波数となるので、CDは22050 [Hz]まで再生できます(「標本化定理」または「サンプリング定理」)
可聴域をきちんと鳴らすことが出来ていますね。

実際に、こちらが私の使用しているイヤホン・ヘッドホン・スピーカーそれぞれの再生可能周波数です。

・NOBUNAGA Labsのイヤホン「鶯」
20 ~ 20000 [Hz]

・ULTRASONEのヘッドホン「Signature STUDIO」
8 ~ 40000 [Hz]

・YAMAHAのスピーカー「HS5」
54 ~ 30000 [Hz]

ほぼほぼ可聴域を鳴らせるように出来ていますね。
スピーカーは基本的に100 [Hz]くらいから下が鳴らせないものが多いです。

再生可能周波数が狭い場合、考えられる原因はこれも一つ。

出力機器の性能不足」。これだけです。
ハイレゾなどの可聴域よりも高い周波数の音も重要ではありますが、それこそ”可聴域外”の音を聞き分ける(感じる)のは難しいです。

一応「音源の時点でその周波数がカットされている」可能性もありますが、どうしようもないです。


【まとめ】何を気にすればいいのか

分かったと思いますが、一番重要なのは出力機器。つまりイヤホン・ヘッドホン・スピーカーを交換するのが最も音質に影響があります。

良い出力機器を買う=音質こだわってるんだね!
良いD/A変換器を買う=オーディオオタクだね!

重要度としてはこんなイメージ。それでは、先ほどの音質の種類を踏まえて4点のポイントをまとめます。

音源のポイント

これは私達にはどうしようも出来ません。
ただし、最近はハイレゾのような高音質な音源を別途買う場合があるようなので、音源の選び方だけ書いておきます。

音源の場合は「ビットレート [kbps]」を気にしましょう。高ければ高いほど良いです。
ビットレートは、音源における
・音の解像度の指標に出来る量子化ビット数[bit]
再生周波数帯域の指標に出来るサンプリング周波数[Hz]
・ステレオ=2(無視)
を掛け算した値です。誰かサラウンドはどうなるか教えてください。

注意点として、ファイルのビットレートが高くても録音機材、編集ソフトなどの限界で実際にはそのビットレートの音源が作れていなかったり、MP3などを変換でビットレートの高いファイルに誤魔化している可能性があります。
まあ、だから何って感じですが……騙されるのは嫌なので、覚えておきましょう。


D/A変換器のポイント

D/A変換器を変えることは「音の解像度を上げたい」ときに有効です。

基本的にPCやスマホ内蔵のD/A変換器は、専門機材ではありません。声が聞き取れるレベルまでしか求められていないので、質があまり高くないのが普通になってます。

そのため、音楽用にD/A変換するための専用の機材を買うのが一番良いです。
選択肢としては、DACとオーディオインターフェースです。

DACとオーディオインターフェースの違い

オーディオインターフェースはアナログ出力だけでなく、アナログ入力をデジタル出力に出来ます。つまり、録音や配信ができる機材になります。色々買わなくてよくなるし、一番おすすめです。

特にUSBマイクを買おうとしてる、そこの貴方!
USBマイクは、マイク内にA/D変換器を載せたマイクです。どうせならオーディオインターフェースと普通のマイク買うのどうだい?聞く方の音質も良くなって一石二鳥。

……うん、「高いから買わない」ね。知ってた。
他の機材を買う気がない人は、USBマイクかなりアリです。

ちなみに、PCの場合はサウンドカードという機材があります。これはPC基盤に差し込むタイプのDACです。
映像専門にグラフィックボードを積むのとほぼ同じで、音声専門にサウンドカードを積むだけです。
使ったことは無いですが、PCの端子を増やすような形で増設されるので配線がぐちゃぐちゃになりそう。あと、変な端子が多いです。今後も使う予定はありません。

話を戻します。

既にオーディオインターフェースやDACを使っている人については、わざわざ買い替える必要はないと思います。PCに直挿しせず、何かしら使ってるというだけで十分です。


増幅器(アンプ)のポイント

ここにアンプを挟むのは、「もっと音量を上げたい、インピーダンスの高い出力機器を使いたい」時に有効です。

良い悪いはともかくアンプの影響で、音の雰囲気は変わるでしょう。また、音というのは音量が大きいほど良い音に感じるので、感覚的には良い音になった気がします。

ただ、解像度はあがりません

PCやスマホ上で音量をマックスにしてもヘッドホンの音が小さい場合などに使いましょう。
特に、インピーダンスが高いヘッドホンはこの現象が起きるのでアンプを使用するようにしましょう。


出力機器のポイント

言うまでもなく、出力機器を変えることは「音の解像度が低い」「周波数特性が悪い」「再生周波数帯域が狭い」場合のどれにも非常に有効です。

最もコスパ良く、音質の向上を図れるはずです。

周波数特性は好みです。基本的に聞かないと分かりません。レビューを読むことで低音域、中音域、高音域のどこの音量が大きいかくらいはわかりますが、詳しいことは何もわかりません。一番気持ちよく聞けるヘッドホンを選びましょう。
好みがない場合、特性がフラットなモニター用を選べば間違いありません。音楽作る人のほとんどがモニター用のはずです。

再生周波数帯域については、少なくとも可聴域である20~20000 [Hz]は再生できるもの。可聴域+ちょっと余裕を持つとより良いです。10~24000 [Hz]とか。
細かすぎる補足ですが、たまに『100 Hz(-10 dB)』『100 Hz(-6 dB)』などと書いてあります。-10 dBよりも-6 dBの方が厳しい試験の結果だということを知っておきましょう。この場合は『100 [Hz](-6 dB)』のほうが優秀です。

また、先ほども出てきたインピーダンス値ですが、気にしなくていいです。感度 [dB/mW]にもよりますが、50Ωを超えるようなものはヘッドホンアンプが必要かもしれない、と思っておきましょう。


いま私が買いたいもの見て。

さあ、この記事で唯一具体的な内容です。
実際に一つ機材を見ましょう。

めちゃくちゃちょうどよく欲しいものがあって、しかもめちゃくちゃ今回の説明に適してます。

大手建設会社「鹿島建設」が作ったスピーカー。なんでだよ。

鹿島建設は数多くの著名な音楽ホールの設計と建設に携わってきました。

音響建築で培ってきた立体音響技術をプロダクトへ落とし込むことを目指し、このプロジェクトは始まりました。OPSODIS 1は、鹿島建設ならではの唯一無二のプロダクトです。

https://greenfunding.jp/lab/projects/8380

関係なさそうで実は……みたいなやつね。普通に気になる。特にクロストークキャンセル。まじで賢い。聞く位置が縛られそうなのが気になるが。

宣伝してるみたいになるのでこれ以上の説明は省きますが、このスピーカーが非常に気になっています。

というわけでスペックをざっと見てみましょう。

OPSODIS1 製品仕様

これをスピーカーとしてみた時に注目したいのが、『周波数特性』と『入力関連』です。

まず、『周波数特性』に関して。
スピーカーにしては再生周波数帯域が広い。低音が55Hz~と優秀です。
私の持ってるクソでかモニタースピーカーが同条件だと64Hz前後なので、非常に優秀。サイズの大きいスピーカーか……?と思って寸法を見てみますが、大きいは大きいけど大したことないサイズ。体積で言えば半分以下。
よく見るとスピーカー構成がウーファー(低音域)、ミッド(中音域)、ツイーター(高音域)と別々に担当しています。さらにパッシブラジエーター(低音の補強)。恐らくこのおかげでしっかりと低音が出せるのでしょう。

次に『入力関連』。
アナログ3.5mm(一般的なイヤホンジャック)は普通ですね。気になるのはBluetooth、USB-C、光デジタルの部分。

このスピーカー、デジタル入力が出来るんです。凄い。

ということは、このスピーカーはD/A変換器と増幅器(アンプ)が積まれていると推測できます。ちなみに、アンプを積んだスピーカーをアクティブスピーカー、積んでいないのはパッシブスピーカーと言います。

D/A変換器以降が全て積まれているということは、オーディオインターフェースを用いたり、DACを使用する必要がありません。
このスピーカーは、PCなどに直接USBで繋いだり、Bluetoothで繋いだりするだけで本領発揮できるという訳です。

そして更に、もし仮に「もっと好きな音に出来ないかな?」と思ったとき。
デジタル入力を用いる際はD/A変換器、増幅器(アンプ)、出力機器が一体となっているので弄る隙がありません。
しかし、アナログ3.5mmはD/A変換器を通さない(だろうと推測できる)ので、間にオーディオインターフェースやDACを挟むという手段が取れるわけです。

そしてこれを自分の環境に当てはめるわけです。

私の場合、パソコンにはめちゃくちゃ良いオーディオインターフェース(D/A変換器)を繋げているので、このスピーカーをデジタル入力で使うのはもったいない。音の違いを楽しむだけになっちゃう。しかし、アナログ入力だと3.5mmとXLRの変換器が必要になるので買わないと繋げられない。
逆にiPhoneは無機材で、スピーカー一つもってない。なので、低音がしっかり出るスピーカーとしてiPhone用に使うのが👍イイネ。

こんな感じで機材を見て選びます。


おわりに

うきうきで書いていたらあまりに長くなってしまいました。ごめんなさい。
正直、読み直して書き直すの面倒すぎるのでもうこのまま投稿しちゃえってなってます。

間違いがたくさんあると思うので、是非とも教えてください。誤解を生みそうな表現、致命的な間違いは即修正します。

あと全然関係ないけど、曲も聞いていってくれると嬉しいです。

おわり。

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