フリーランスの身内に不幸が起こったら仕事をどうすべきか問題【実践編】


今年の春、祖父の調子が悪くなったことをきかっけに、フリーランスの身内に不幸が起こったら仕事をどうすべきか問題という記事を書いた。こちらの記事は、ノオトさん主催のライター交流会に登壇した際も扱っていただき、みなさん考えさせられたようだ。

そして突然、その時はやってきた。サイゾーの会議室にて、精神科医の松本俊彦先生とライターの杉山春さんの対談取材が終わり、お二人を見送って私も帰ろうとした16時過ぎ、サイゾーのビルから出るとどしゃぶり。こりゃ帰宅するまでに靴がびしょ濡れになりそうだなと思いつつ、ビルの下でスマホを見ると、15時半に母からLINEが入っていた。祖母の容態が悪化したので連絡をくださいとのこと。

どちらかと言うと祖母より祖父の方が体調の悪いことが多いので、祖母の方!? と驚きつつ母に電話をかけても出ない。普段からあまり携帯を携帯しない人なので若干苛立ちながら何度もかける。出ない。仕方なく駅に向かって歩き始めた。本当は、渋谷で買い物をして、カフェに入って先程の取材の音源データをテープ起こし担当の後輩に送ってから帰ろうと思っていたのだが、全て予定変更。とりあえず電車に乗って自宅へ向かうことに。

電車の中で、翌日から1週間休むと、しめて19万円分の仕事を失うことになると、一瞬で計算してしまった自分は薄情者なのかと自己嫌悪してしまった。でも、現実問題、会社員と違って忌引休暇なんてないし、自分が受けていた仕事を放り出すわけにはいかないので、代わりのライターさんを探さないといけないし、突然引き受けてくれる人を探すのはなかなか難しい。

最寄り駅について再び母に電話をすると、ようやく繋がった。まず、今後の仕事のスケジュールはどうなっているか、母に聞かれ答える。たまたま翌日の土曜日だけは1日中予定がなくオフ、日曜は夕方から打ち合わせ。月曜は夕方から夜まで前日に打ち合わせをした件についての取材、火曜は群馬へ日帰り出張というスケジュール。「ならば、土曜の朝、祖父母の住む大分へ行き、日曜の夕方の打ち合わせに間に合うよう帰ればいい。まだ通夜や告別式の日程は決まっていないけど、会えればいい。喪服と一泊分の着替えを持っておいで」と母が提案。

それから、動物病院に電話をして、急だけど猫を預かってもらえるかを聞いたところOK。その日にやらなければならない残りの仕事をマッハで片付けた後、動物病院に猫を預けに行った。そして、飛行機のチケットを確保。土日なので満席ばかりで、帰りの飛行機は午前中しか空いていなかった。荷造りもした。1.5日ほど仕事ができないので、それまでは「この土日は暇だし自分でやるか」と思っていたテープ起こしを急遽、元編集さんで現・無職の男性に依頼した。

なかなか寝付けず、深夜2時頃就寝のち、5時半起床。高速バスに乗って羽田へ。ひどくバス酔いをした。

大分空港に着いたら葬儀屋にたどり着くまで大変だった。田舎を舐めちゃいけない。タクシーもいないしコンビニもない。ようやくたどり着いて死に化粧を施した祖母と対面。その日がお通夜、翌日が告別式。翌日の午前中の便で帰るので、お通夜しか出られない。

ぶっちゃけ、いろいろと事情があり、号泣というわけではなかったが、祖母が入っていた施設の職員の方が駆けつけてくださり、「お孫さんの自慢話をしていたことがある」と聞いたとき、編集さんに迷惑をかけてしまうけど、仕事を1件蹴って告別式まで出るべきか……と頭を抱えてしまった。

親が私の仕事と今までの事情を理解してくれていたので、今回はこのような形になった。これが親の葬儀だったらさすがに仕事を優先というわけにはいかない。

しばらく取材取材取材取材からの入稿で、ただでさえ睡眠不足が続いていて、土日はようやくゆっくり眠れそうだと思っていたところからの不幸だったので、さらに眠れず、やっと昨夜はたっぷり眠れた。

以前、フリーランスの身内に不幸が起こったら仕事をどうすべきか問題の記事をFBで紹介した際「普段から他のライターさんとのつながりをもっておいて、いざという時は仕事を依頼して助け合うのがいいのでは」という意見をいただいた。次回、今回のように短い休みではどうにもならない場合は、他のライターさんに仕事を回したいので、みなさん仲良くしてください。


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