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2024.9.3

夏が終わったってセミが告げる

HAZE 「煙霧」



 台風が過ぎて、完全にセミのピークが終わってしまった気がしました。僕が住んでいるところは、日中はもちろんのこと、夜にセミの声が聞こえてくることがあるほどの田舎なのですが、今までうるさいとしか思っていなかったセミの声がないことに悲しみを覚えたのは初めてです。悲しい。まだこんなに暑いのに。結局、自然には勝てないんや……





 最近、マッチングアプリなるものを始めました。勢いが半分と、本気で彼女欲しいが半分。登録してまだ数日ですが、ありがたいことに複数の方とやりとりさせてもらっていて、「こんな僕でも、話してやってもいいかなって思ってもらえるんだ(高校の頃、snowで「この芸能人にそっくり!」みたいなので遊んでいたら、佐藤二朗と出るぐらいの見た目、僕は佐藤二朗さん大好きだから嬉しかった)」と、今まで花壇に植えられることのなかった「自己肯定感」という種がようやく蒔かれたようなような気がして、チョロいな〜とも思いつつ、でも嬉しかったです。発芽するまでにはまだ時間がかかりそうです。

 早速、ガールズバーの客引きに遭いました! ちゃんと違反報告をしておいて、二度と僕のような、恋愛で日の目を浴びなかった人間をおちょくるようなことはしてほしくないと思いました。

 そのあと、そのことにめちゃくちゃ腹が立ってしまって、いやだって、真剣にやってるのに客引きとか、繁華街にいるキャッチよりタチ悪くないですか? 「こちらの恋愛感情を利用している!」と思いました(ガールズバーに行ったことがないので偏見でしかないけど、売上のためにそういうことをしていそうで怖い)。

 そこで、考えたんです。この話にはオチがない、と。「違反報告したった!」で終わっちゃうと、今僕がイライラしている状況は変わらないし。アプリでガルバの客引きに遭ったのは面白いけど。うーん。迷って迷って、「腹が立ったから風俗に行った」というオチを作り上げよう、と思いました。こういう方法でしか解決できないのが本当にユーモアの欠片もないと思うし、けどなんかもう、こう考えたら心が体より先に動いてしまっていたので、頑張って心に体をついていかせていました。

 「体が勝手に動いていた」みたいなことよく聞くけど、今回は逆でした。自分が頭や心で考えたことに体をついていかせるのに精一杯な感じでした。僕には精神疾患の気があるので、「もしかして躁鬱……?」とも思いましたが、心はどんどん先に進んでしまって体を置き去りにしていくので、必死でついていきました。性欲に囚われている気がして怖かったですが、店を出たらどうせそんなことはどうでもよくなっているのです。意味が分からない。






 そんなこんなで気がついたら風俗店の前にいました。30分コース5000円。6人入るだけでぎゅうぎゅうになる狭い待合室。そんな待合室に入れず、外で並んでいる客。上下黒い服を着ている雰囲気のあるお店のお兄さん。名前が呼ばれ、カーテンが開かれる。制服のコスプレ(?)をした嬢が、「よろしくお願いしま〜す」と言って僕の手を取り、連れて行く。



 30分コースでお願いしたのにあっけなく嬢の巧みさの前に果ててしまい、残りの時間、お互い煙草を吸いながら好きな音楽の話をしました。

 「きのこ帝国(この流れでバンド名出してしまって本当にすみません)が好きです」と僕が言うと、きのこ帝国は「春と修羅」だけ保存してる、と嬢が言ったので、僕は「海と花束って曲が1番好きです」と伝えました。すぐに検索して、嬢は「海と花束」を保存してくれました。その嬢は、お客さんと音楽の話したら、自分の好きな音楽の話もするし、お客さんからおすすめの曲を聞いたら保存するようにしているらしかったです。

 「この曲(海と花束)、葬式で流すって決めてるんですよ」と僕が言うと、「え、私も葬式で流したい曲あります!」といい、その曲を紹介してくれました。アーティスト名も曲名も忘れちゃったけど、明るい曲調の中にたしかに葬式の出棺の場面がその曲からは想起されて、この嬢のお葬式には合いそうだなと勝手ながら思いました。

 かなりの音楽オタクらしく、嬢の口から「八十八ヶ所巡礼」というバンドが出て来た時は、もう共感を超えてなんだか感動すらしてしまいました。実際に抜かれたときよりも、この嬢との音楽会話の方が何倍も甘美で官能的だと思いました。






 そのあと、バイトで知り合った人たちとの飲み会に参加しました。ゴールデンウィーク以来お酒を飲んでいなかったし、そもそもお酒を飲む習慣がない僕ですが、飲み会自体は好きでした。いろんな話が聞けるし。聞き役になることの方が多いので、好きなバイトの人たちの話が聞けるだけで、飲み会に行く価値がありました。

 1軒目ではバイトの最近あった話とか苦労話などをしました。「誰々が急に『バイト休みで』と言われて、店の前まで来てたのにそんなこと言われたから腹が立ったらしい」とか、「店長の機嫌が分からない」とか、ほとんど愚痴話でしたが、それでも楽しかったです。

 2軒目はカラオケに行きました。そこで「君僕ゲーム」をすることになりました。歌詞に「君」と入っていたら、歌っている人の右隣の人が酒を飲み、「僕」と入っていたら歌っている人が酒を飲むなど、いわゆる飲みゲームです。僕は飲みゲームが嫌いでしたが、参加しないことで会全体の雰囲気を悪くしたくない、と思い、参加しました。やっているときはお酒のせいかノリノリでも、どこかで「自分のペースでお酒飲みたいんだけどな」とか、「普通にカラオケしたいんだけどな」とか、挙げ句の果てには「これ何が楽しいんだっけ?」と考えてしまっていました。

 合わない焼酎を飲んだせいか、トイレで吐きまくって、店を出る頃にはもうまともに歩けなくなっていました。どうやって店を出たのか、今になっても判然としません。自分のペースでお酒を飲むのが好きな僕なので、記憶を飛ばすみたいなことは今までなかったのですが、これがそれか、みたいな感覚になりました。

 始発がとっくに運行している時間になり、余りに僕が悪酔いしているので、バイトの同期の家に泊めてもらうことになりました。その移動中なのか、電車を降りてからなのか、これもまたハッキリとしないのですが、僕はなぜかめちゃくちゃ泣いていました。気づいたら同期に慰めてもらってるみたいな状況で、今度はその状況に頭がついていかなかったです。

 その同期(友達)は、僕がうつ気味なのを知っていて、そのとき僕が欲しかったであろう言葉を全て僕にかけてくれました。正直、パニック状態に陥ってたこともあって、泣くのと過呼吸に必死だったのですが、隣にその友達がいてくれるだけでよかったです。

 「死ぬとか絶対なしだからな」とか、「弟が躁鬱だから、気持ちは分かってあげられるはず」とか、「俺にならなんでも話してくれていい」とか、もう今書きながらまた泣きそうになってます。てか、泣いてます。その友達もなぜか僕を思ってなのか泣いてくれていました。この人が友達で本当に良かったなと思いました。







 客引きに遭ったり風俗に行ったり、バイトの人たちと飲んだり友達と泣きながら話したり、もう感情の変化が1日だけで急上昇急降下しすぎて、すごく疲れました。けど、たまにはこういう1日を送るのも、悪くないかもなと思いました。

 客引きと飲みゲーだけは、本当に嫌だけど!!

 

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