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習作だった僕の神〜演出の振り返りその2〜

習作だった僕の神、全公演終演しました。
終わって寂しくて今すぐ公演打ちそうな気持ちを抑えている香西です。

さて、第2弾は役について紹介していきます。

佐藤

佐藤はこの物語の世界の主人公、佐藤稔の主人格です。
現実世界で教師で、なんだかどこにでもいそうな人。

高校生の時に、姉弟でいじめに遭っていました。
佐藤は「お前のねーちゃん変人ー」とか「お前も絵を描いてみろよ」みたいなテンションでいじめられてます。

佐藤は「姉が絵を描かなければ」と願うようになります。
そこで登場するのが姉、紗良をいじめている女子高生。

彼女らは、弟を姉のいじめの材料に使います。

余談なんですが、このいじめっ子、逆キャストの田淵と仁那なのですが
稽古の時良い子過ぎて全くいじめにならなかったんです。
もう稽古も稽古ですよ。めっちゃ時間かけた笑笑

田川莉子(田淵A)のいじめっ子がめちゃくちゃ好評でした。
ぶりっ子腹黒。可愛い。
お客様は多分気持ち悪い気分になったと思うのですが、
音響席でニヤニヤしてました。
稔の腕に胸押し付けるところなんかね、楽しくてしょうがなかったですよ!!!!

そんないじめの最中、佐藤(稔)は、紗良のスケッチブックを破きます。
紗良はその場を飛び出し、交通事故に遭うのです。

佐藤は後悔します。
「俺、もう二度と、姉ちゃんに謝れない」

自分を責めて自分を悪者にして
この感情を封印して。
私自身もそんな経験があるので、あのシーンは心が痛いです。

佐藤は、姉の死を受け入れないために、姉の世界を乗っ取ります。
そこは、姉がいた確かな証拠になる世界。
姉の存在を忘れながら、姉を生かし続けていたのです。

歪んでんなーと思うのですが、死んでも心の中で生きているというのは正にこのことですよね。

ラストシーンで、佐藤と白が目を合わせるのは、役者がやり始めたことです。
あそそで始めて、佐藤は自分と姉を受け入れられる。
ステキな瞬間でした。

質問が多かったのは、「佐藤と田淵ってどんな関係?」ということ。
二人は多分、小学生くらいから紗良含め三人で仲が良くて、ずっと遊んでました。
ちょうど紗良が事故で亡くなる直前くらいに、田淵と佐藤はいい感じになってそうだよね、という話を役者としました。
しかし、事故によって疎遠になってしまった二人が、大人になり紗良と似た境遇の晃希の元再開します。
「生徒の親に手を出すなんてサイコパス!!」と言われればその通りなのですが、二人の関係は晃希関係ないんですよね。。。

佐藤A 畠澤健

8年近くのブランクを経て舞台に立った健。
めっちゃ悩んでました。

健の佐藤は優しくて、どこか儚くて。
芝居が変わるたびに、なんでこいつは児童劇団最後までいなかったんだろう、もっといっしょにやりたいと思ってました。

佐藤の苦しさ、佐藤の醜さ。
それが健を通すことで、人間として肯定できるのがすごい。

ものすごく考えてくれて、誰かの芝居を見るたびに変化していって。
今回、本当に呼んでよかったな、と思います。いやそれは全員に思っているのだけれど。

佐藤なんて名前で、ものすごいモブキャラっぽいですが、なんなら主人公という役回りを演じてくれてありがとう。

人間として不確かな役所はとても難しいと思うのだけれど、あなたの優しさで包み込んだ佐藤はとても愛おしかったです。

佐藤B 橋本翼

翼の佐藤は神経質だったり、辛そうだったり。
どうしても敵役にしたい表情をたくさんしてくれます。

敵を悪として描かない翼の感性は、これから是非伸ばしてほしいところ。
就活投げ打ってでも出てくれてありがとう。

思えば翼はЯealityでは弟で敵役しかやってません。
なんだろう、似合うんだよね!!!!
次Яealityで彼と一緒にやる時は、悪役じゃないのをやらせてみたいです。
多分無理。

3年生なのに最年少みたいな顔してる翼が大好きです。

田淵

晃希の母でシングルマザー。
紗良と親友で、佐藤とは紗良繋がりで仲が良かった。

子育てに悩んでいるけれど、なんか前向きに頑張ってるお母さん。

物語を大きく動かす役、というよりかは、佐藤に影響を与えまくるヒロインポジション。
ニエはスケッチブックの世界の田淵で、きっと昔はニエみたいな子だったんだろうあなぁと。

「良い子の呪い」は田淵にも大きく影響していて、良い母であらねば、私が挫けてどうするという想いが強かったと思います。

ちなみに、田淵が結婚していた時の姓は保坂です。

配役をした時、「年少組に母親役なんて無理」という意見がありました。
確かに難しいかもなぁ、とも思いつつ(設定ではアラフォー)、でも彼女達にしか田淵は出来ないという私の根拠のない自信がありました。

配役するときいつも思うんですけど、年齢ってただ生きた年数じゃないですか。
それよりも、役がどんな人物で、何故こういう行動をするのかが役として生かす為に必要なことなのではないかな、なんて。

田淵は、「祝福の眠り姫」という副題がありました。
祝福は、ニエであったりこれから訪れる幸せについて。
眠り姫は、紗良の出来事で心の時が止まってしまった田淵涼乃として。

結果として、母に見えないという意見はほとんど無くて、むしろ愛情深いとか迷える母みたいなご意見を頂けて
「やっぱり私の目は間違ってなかったな」と思ってます。

田淵A 田川莉子

座組最年少。大学一年生。
少女と女性の狭間にいるような雰囲気を持っている彼女は、「全人類に恋してる」と公言しているように愛に溢れた涼乃でした。

彼女の1番の特徴は、受け入れる演技です。
自分から感情を出すのは苦手だけれど、相手の気持ちを受け取って自分の気持ちを伝えるのは座組で一番上手だった。

紗良とのシーンは本当によく出来たな、と思っています。

「自分は頭の回転が遅いから」といつか言っていたけれど
だからこそじっくり考えられる莉子は素敵だな、といつも思っていました。

家も近いし、いつでも会おうね!!

田淵B 浅野真琴

莉子とは対照的な、キャリアウーマン涼乃。
けれどその中に、涼乃としての信念や想いが滲み出ていました。

ニエとのリンク率も高くて、1つ1つの言葉がお客様に届いたのではないかな、と思います。

真琴が第6回公演の時、「また一緒にやりたい」と言ってくれたとき、実は私がめちゃくちゃ嬉しかった。
山田さんをやった時、最後に配役が決まったとはいえ勿体ない使い方をしてしまったな、と思っていたので。
今度は彼女が笑顔になる役にしたいな、と思ったのです。

田淵は、もしかしたら役不足なのかな?と思っていたのだけれど、アンサンブル含め楽しくやってくれてありがとう!

Weekend256、楽しみにしてるよ!

古来日本では、白は穢れた色とされていました。
その穢れた色で呼ばれる少女。それが佐藤紗良です。

最初、神さまなのでもっと達観した感じにしようと思ったんですよ。
けど、柴田と樹季の芝居を見て
「この子はひとりの少女だ、誰の心にもいる等身大の自分だ」と思ったのです。

絵を描くことがいじめにつながるのがわからない、というご意見をいただいたのですが
絵を描くということは、少なからず自分の中に世界があるということ。
それは絵には限らないけれど、自分の中に確固たる世界がある人は、なんとなく現実に対して馴染めなかったり思うところがあると思うのです。

自分の中の世界は、自分にしかわかりません。
その世界に対して、理解できない周りの人間は、多少なりとも攻撃してきます。
自分達とは違う、異端な者として。

だから、「気持ち悪い」と言っていじめが起きるのだと思います。

この物語は、いじめを肯定も否定もしません。
だけど、自分の中のたった1つの神様の世界を大切にしてね、と。

その多様性が認められた時、初めて世界に平穏が訪れるのではないかな、と思います。

白A 柴田茉莉

沢山の舞台に出演して、活躍している茉莉。
正直Яealityなんてつまんないのかな、と思っていました。

けれど、私達に真摯に向き合ってくれて、妥協せずに役を演じてくれました。

彼女の紗良は、明るくて快活で、いじめられて不慮の事故で死んだなんて思えない。
けれど、その中に眠る後悔が節々に滲みて出る不思議な子でした。

15年一緒にいるけれど、彼女がどんどん大きく遠くなっていくのを見て寂しくなりながら
いつか大きな舞台でまた茉莉を演出できるように私も精進します。

白B 雨草樹季

私は貴方の白を見るのが苦しかった。
どうしても、私の中の思い出と重なってしまったから。

けれど、樹季が悩んで苦しんでくれたからこそ、救われた人も多かったのでは、と。

魂の叫びが、貴方の心が、多くの後悔に悩める人を未来へ導いたと思っています。

誕生日が同じだったりして運命を感じているのだけれど、
また、絶対芝居ができると信じて。

悩んでくれてありがとう、苦しんでくれてありがとう。

神楽

神楽はとっても設定が深い役でした。
紗良が厄災を起こす前は、先代と一緒に村を守っていた人物。

あの時紗良の見方をしなければ、次期村長は神楽でした。

剣の達人で、さまざまなことを考えられる神楽。
だからこその2人の神楽なのでしょう。

ケガレとして迫害されながら、影で仁那と兵吾を見守っていた、優しい神楽。
自分の信念と、ニエへの想いから、頑固なまでに立ち向かう神楽。

彼の想いが、最後に村に平和をもたらしたと言っても、過言ではないと私は思っています。

神楽A 櫻本脩平

児童劇団の同期だったのに、実はあまり話さなかったりして、私は後悔していました。
もう二度と同じ作品は作れないと思っていたのに、私にチャンスをくれてありがとう。

悔しいけど憧れで、悔しいけど絶対に私を認めることはないんだろうな、と勝手に思っていました。
また誘ってと言われた後、一人で泣いてたんだよ!!!!!!

神楽は、自分には合わなかったと言っていたけれど、私は貴方の脚本意図を超えた優しい神楽が大好きでした。
優しいからこその苦しみ、多分脩平もそうなんだろうな、と。

演出しててとっても楽しかったので、また一緒にやろうね。

神楽B 大貫浩一

3日目の公演、あれはずるいでしょ!!
貴方を神楽に配役して、本当に良かったと思っています。

ゲネ写真で、スーパーバロンタイム(佐藤と田淵がハグしてるのを見て発狂する場面)の目のキラキラ度合いがすごい。

普段は面白くて変な奴だけれど、
舞台に立つとかっこよくなるのがずるいなぁ。

何度も話して、どんどん良くなっていくのを見て、私は心から嬉しかったです。

お笑いより向いてると思うよ!見たことないけど。

また、一緒にね。

仁那

女頭領として前に立つ仁那。
村を守るために奔走しているけれど、その裏には父への想いや弟への想いなんかが。
多分ケガレ制度を後押ししてるのも彼女なんじゃないかな。
父を守らなかった神楽への想いも。

仁那って、台本だけ読むとあんまり目立つ役じゃないんですよ。
どちらかと言えば悪役だし。

けれど、私は絶対に仁那の思いを伝えたかった。
ああいう人がいるから、今の私たちは幸せなわけで。

仁那は、佐藤の表の顔でもあります。
しっかりしなきゃ、みんなの前に立たなきゃ。
仁那がいるからこそ、佐藤は余計に苦しむのです。

弟とは表裏一体の関係で、自分の信念を突き進む弟と、周りに振り回される仁那。
この2人は、佐藤の表と裏でもあったのです。

仁那A 中村さやか

普段のさやかからは想像も出来ない役。
けれど、仁那の強さを丁寧に表現してくれました。

なんでも「わかりました!」と言ってすぐにやってしまう器用さを持ちながら
あの圧倒的なパワー。尊敬です。

兵吾との掛け合いのシーンは辛かった……。

最後に仁那が笑うのが、私にとっては救いでした。

オファーを受けてくれてありがとう。
また、いつか、一緒に作ろうね。

仁那B 菅井菜穂

さやかとは対照的な弱い仁那。
迷いや苦しみが、手に取るようにわかりました。

菜穂ちゃんもかなり悩んで、泣いて、泣いて笑

だからこそ、あの仁那だったのかな、と思います。

お姉さんなのにちょっとドジで、たまに取り返しのつかない失敗もするけれど
だからこそ、愛されるのかな、と。

兵吾に訴えかけるときの仁那は、本物だったと思います。

就職しちゃうけど、また戻ってきてね。

兵吾

前半のキーパーソン。
村の長の弟としての立場と、ニエを救いたいという想いで揺れ動く役柄。

佐藤の本心の人格でもあって、なかなか難しい役所だったと思います。

運命に立ち向かっていく、とは、正にこのことを言うのでしょう。

実はニエは当初は殺される予定だったので、兵吾が狂って村人達を殺しまくるみたいなシーン(よく覚えてない)があって、闇落ちだったんですよね。

それが青木の「私死にたくないんだけど」の一言で覆るという……。
青木様……凄いお方だ。

逆のキャストで先代も演じている彼らは、もうそれはそれは素晴らしいもので……。
台詞一言なのに長くするし(私がそうしようって言った)
凄い解釈挟んでくるし(話し合った)
もう、こいつらは天才なんじゃない!?と思ってました。

兵吾A ノザワミネヒロ

最後の最後、千秋楽まで苦しんでました。
あまりにも本人とかけ離れていて……。

けれど、貴方が演じたからこそ、Aはその先も説得力のある舞台になったのだと。

実は千秋楽以外、エンディングでニエに告白しないんですよ。
そこまで持って行けなかった私の力不足。

けれど、最後は見事に結ばれて、音響席で泣いてました。

また一つ、彼の扉を開けたのかなと思うとめちゃくちゃ嬉しい。

厄災の時、ずーーっと「父上!」って叫んでるんですよ。
その叫びがまた悲痛で……。

また、一緒にやろうね。
ありがとう。

兵吾B 杉山聖弥

出だし、「こんな団体でごめんよ……」と心から思っていた相手。
座組で一番何を考えているのかわからなかった。

けれど、兵吾を演じている時、私はいつもゾクゾクしてました。

色んな表情を見れて嬉しかったよ!
「不幸な顔をみたいの」と言っていた私が、誰よりも幸せを願っていたんだな、と今思います。

厄災の時に「神楽!!神楽!!」と呼んでて、私は胸がしめつけられました。

でてくれてありがとう。
また、一緒にやってくれると嬉しいな。

長くなってしまったので、今日はここまで。
団員はまた今度な!!

1週間経つけど、まだロスが抜けないので続きます。

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!