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信州のどうづきそば

 11月初めの連休を利用して、友人を訪ねて蓼科に行きました。例年にない暖かさでしたが、それでも紅葉は真っ盛り。秋空をバックに落葉樹が織りなす自然の彩りは、ため息が出そうなほどです。
 信州の秋と言えば、新そば。東京・青山のそば屋は、年中「新そばあります」の紙を貼っています。「新そばは秋」と固く信じていたので、「広告に偽りあり」と断定していたのですが、近年は栽培形態が変わり、春や夏に収穫した新そばもあるとか。一抹の不信感は残っているものの、己の無知を反省しています。
 街道筋にはそば屋が並び、名店と言われる店には、紅葉狩りの観光客で列ができています。その中の一軒に入りました。そこで初めて出合ったのが「十割どうづきそば」。どうづきそばとは、そばの実を挽くなどして粉にせず、甘皮付きのまま低温水に2日間漬けて発芽しそうなところを杵搗機でついて直捏ねしたそば。皮付きのままなので香りやうま味が強く、栄養価も高いとのことです。まずは水そばでそばの風味を楽しみます。が、なぜか私たちにはその風味が感じられず、普通に挽いたそばと食べ比べても、その違いが分からず。こんなとき日本人は自分を責めるのが常で、何事もなかったかのように口を噤むものです。
 そばと一緒にお薦めされたのは、どんこしいたけの天ぷら。1人前4枚が角皿に盛られて提供されたそれは、おそらく彫刻刀で仕上げたであろう幾何学模様。しかも、1枚1枚デザインが異なるのです。一皿980円は、おそらくこの細工代でしょう。

【食のトレンド情報  vol.941 2023年11月13日配信分】


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