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避妊手術、どうしよう?その①

- メリットとリスクを改めて勉強してみました -

第1回:まずは避妊・去勢のメリットを再確認
うちのお姫さま、「ひめりんご」がもう5歳。ときが経つのはホントに早いですね。「ひめりんごⅡ世を!」という思いもあって避妊手術はしていません。(↓パピー時代のひめりんご)

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同じく平蔵も、去勢手術は受けていません。残念ですが、その辺の相性がイマイチみたいですし、ひめりんごの方はそろそろ中年に差し掛かってきたこともあり^_^;、避妊・去勢手術について改めて勉強してみました。(↓パピー時代の平蔵)

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基本的には、人間や犬に限らず健康なからだにメスを入れるのは反対です。でも、そうした私の主義主張ではなく、「このコにとってのベストな選択」を彼女の立場から考えたいと思ったのです。

メリットと言われていることが本当にそうなのか?逆に、リスクはないのか?素人なりに勉強して見えてきたことを、5回くらいでまとめようと思います。

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性ホルモンに関連した病気の予防
ころっころのパピーをお迎えし、体調を崩すことなく過ごせたら、最初に獣医さんのお世話になるのはワクチンの注射ですかね。そして、お話しを聞くのが、避妊・去勢手術のことだと思います。

その理由は、多くが病気の予防だと思います。性ホルモンに関係する病気を防ぐ、またはリスクを下げることができると言われています。(無計画な交配による飼育崩壊などの問題は、別途、考えたいと思います。)

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関係する病気としては、子宮蓄膿症(しきゅう・ちくのうしょう)や乳腺腫瘍(にゅうせん・しゅよう)、卵巣腫瘍(らんそう・しゅよう)が挙げられています。

男の子の場合は、前立腺肥大症(ぜんりつせん・ひだいしょう)、会陰(えいん)ヘルニア肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)になるリスクが下げられると聞きます。また、精巣自体が無くなるので、当然、精巣腫瘍にはかかりませんね。

まず、それぞれの病気がどんなものか、調べてみました。私にも理解できて、情報の信頼性も高そうな本として、動物看護士養成の授業に使用される「動物看護の教科書(新訂版)」(緑書房;2020年)。

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それから、動物病院で飼い主さんへの説明にも使われることがあると言われる「イラストでみる犬の病気(第23刷)」(講談社;2015)を主に参考にしました。追加情報が必要な場合は、その他の文献やウェブサイト(獣医学論文など出所の明らかな情報)を使用しました。

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リスクが下げられる病気:女の子の場合
子宮蓄膿症
は名前の通り子宮内に膿がたまる病気。主にバイキンの感染が原因で6歳ころからリスクが上がる傾向にあるそうです。10歳までに未避妊の25%がかかるという報告もあります。

犬は、発情周期の特徴によって、この病気にかかりやすいと考えられています。発情期に分泌される黄体ホルモンが、その後も約2か月出続けるために、子宮内膜は厚く、赤ちゃんを育てられる「ふかふか」の状態で感染リスクが高いと言われます。

初期にほぼ無症状だそうですが、進行すると多飲・多尿、嘔吐、脱水や、時には外陰部からのおりものなどの症状が見られるそうです。治療が遅れると、色々な内臓にもトラブルがおよび、海外のある論文では10%の致死率が報告されています。

子宮蓄膿症

卵巣には、「発生頻度は低いものの各種の腫瘍が発生する。一般的には良性のものが多いが、ときに悪性の場合もある」とのことです。卵巣腫瘍の多くはゆっくり成長するので、初期は発見できないことが多いそうです。

乳腺腫瘍は、犬にできる腫瘍の中で皮膚に次いで多いそうです。「統計によると、全乳腺腫瘍例の50%以上は良性と言われる」とされています。2~3ヶ月で急に大きくなる場合もあれば、数年かかって大きくなるケースもあるとのことです。

癌細胞イラスト

いずれも悪性の腫瘍、つまりガンの場合は命にかかわる病気ですね。また、子宮蓄膿症も、重くなるまで飼い主が気付かない場合が多いそうです。怖いですね。

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リスクが下げられる病気:男の子の場合
6歳以上になると増える傾向がある精巣腫瘍は、一般的には良性ですが、悪性の場合は他のガンと同様、転移もあるそうです。

前立腺肥大症は人間と同じく、加齢によるホルモンバランスの崩れで発症するものです。一般的には5歳以上に多い傾向があるそうです。また、9歳までにほとんどの未去勢犬に見られるという説もありました。

前立腺

会陰ヘルニアは、会陰部(肛門と生殖器の間あたり)を囲む筋肉のおとろえにより、腸や膀胱など周辺臓器の一部がはみ出てしまう病気です。肛門の脇が腫れてうんちが出にくくなくなるなど、辛い症状が出るようです。

肛門周囲腺腫は、肛門の周囲や尾の付け根あたりにあって、主に皮脂を分泌する肛門周囲腺にできる良性の腫瘍だそうです。

肛門周囲腺

複雑な女の子と単純な(?)男の子
こうしてみると、女の子の場合は命にかかわる病気の予防につながり、避妊手術のメリットは多そうです。男の子は、見つかってからでも治療ができる病気のようです。

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ワンコの場合も、何かと女子の方が大変ですね…。でも、男の子でも、もちろん病気にかかって辛い思いをさせたくはないですし、若くて体力のあるうちに手術をして予防する意味はありますね。

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避妊手術も去勢手術も、まったくデメリットがなければ話は簡単ですが、そうもいかないようです。

次回からは、素人なりに調べてみた避妊・去勢手術のリスクを、参考までにご紹介します。