マガジンのカバー画像

幸せな「犬生」のために:無秩序な繁殖と遺伝性疾患

17
大切な家族の一員である愛犬たちには、できるだけ健康で幸せに過ごして欲しいと願うのが愛犬家でしょう。モラルに欠ける繁殖業者の無秩序な繁殖によって、その願いが打ち砕かれることが少なく…
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

第5章:犬の繁殖の歴史

前回までは、「純血種」のブリーディングがもたらしている遺伝性疾患についてご紹介しました。でも、当然ですが品種を創ることは悪い面だけはありません。今回は、色々な犬種がいることの興味深さというか、「こんな面もあるんですね」という少し楽しい話を。 様々な魅力をもつ犬たち現在、純血種だけでも400種類近くが存在します。それぞれの犬種には、それぞれの魅力があります。小型犬が好きな人もいれば、大きくて堂々とした犬に魅力を感じる人もいますよね。フレブルのような「鼻ぺちゃ」犬も人気ですが、

第4章:健康でも殺処分、不健康でもOKな「犬種標準」

前回は、ドッグショーで「ベスト」に選ばれたジャーマン・シェパードが、身体障害を負っていると批判を浴びたエピソードをご紹介しました。鼻ぺちゃ犬たちが呼吸にトラブルを抱える「短頭種気道症候群(BOAS)」も含め、個性的な見た目を「売り物」にするために行われるブリーディングが引き起こしている問題です。意図的な繫殖が、病気をまん延させてしまった例はほかにもたくさんあります。 人間が生み出した遺伝性疾患犬の多様化を生み出した品種「改良 (?)」では、人間にとって好ましい特徴を残し、強

第3章:「純血種」という病気

前回、極端な顔かたちを求める繁殖によってフレンチ・ブルドッグ(フレブル)などの短頭種(= 鼻ぺちゃ犬)が健康に問題を抱える傾向があることをご紹介しました。今回は、そのほかの犬種についてイギリスで指摘されている繁殖の問題をご紹介します。普通に歩けない犬が、世界一に選ばれたことがあったそうです…。 「純血種」のブリーディングが犬を苦しめるイギリスでは、「優秀な犬」を輩出しているとされる繁殖業者が不幸な犬たちを生み出しているとの批判があります。以前ご紹介した「パピーファーム」で生

第2章:人間がフレブルにもたらした苦しみ

前回、イギリスで起きているフレンチ・ブルドッグ(フレブル)人気の過熱をご紹介しました。「短頭種」(= 鼻ぺちゃ犬)の場合、特に健康面の問題が発生しやすいそうです。これは、「品種改良」によって人間がもたらした、遺伝性疾患といえるものです。 人間が「創り出した」愛らしさ人間の都合に合わせた「品種改良」や「犬種標準」のため、犬は選択的な繁殖が行われてきました。フレブル特有の姿かたちは人間が望んだもの…。平蔵を含め日本でよく見る小さなレッドのトイプードルも、イギリスのフレブル同様に