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軽音②《再び あだ名》

軽音①の続き

先輩たちが卒業しそれぞれ別の高校に進学、わたしは中2。13歳になった。たった13年しか生きてなくても自分のことを子どもとは思ってなかった

自宅の黒電話しか連絡手段がなかった時代だが筆まめな先輩たちは旅先からはハガキを誕生日にはカードを送ってきてくれたりして交流は続いていた(電話で最長8時間話したこともあった)

そして、先述の軽音部に入ってベースを弾いてるN先輩から文化祭でライブするから見に来いやとのお誘いがあった

先輩の高校はドイツのワイマール工芸高校を模した瀟洒な本館のある美術系の自由な校風の学校だと聞いていたしはじめて見るライブというものにも興味津々。どんなんやろ〜??すごく楽しみにして出かけた

着いた。うわーかっこいい建物!芝生の中庭オシャレ!外国の大学みたい!制服がないので生徒の人たちもみんな自由な格好してて美大ぽくて個性豊かやしいい感じ!いいないいなこの学校めっちゃいいな!!

ほとんど歳は変わらないのになんだか自分まで少し大人になったような高揚した気分になってライブ会場の体育館に向かうコンクリートの階段を登った

出入り口に張られた暗幕をそっと開いて照明の落とされた薄暗い体育館に並べられた長椅子の一つに静かに腰かけた

ステージでライブが始まった

正直言って先輩がどんな曲演ってたとかどんな人が出てたとかほとんど何も覚えてはいない

けど、この日生まれて初めて生のロックに触れ(なにこれ!すごいかっこいい!)ものすごい衝撃を受けたことははっきり覚えてる

13歳のわたしはその場で強く決意した。ぜったいこの高校に入ってこの軽音部でベース弾く!と。

当時まだ偏差値とかはなかった時代だけど、倍率が高くわたしの成績では合格は難しい感じだった。でも諦められない!ここ以外行きたくない!他の高校行くことなってダサい制服とか着たくない!

ありがたくもN先輩が勉強を見てくれることになりわたしは先輩の部屋に通った(わたしと先輩の間には1ミクロンも色恋やセクシュアルな感情がなかったし何度か顔を合わせてる親からの絶大な信頼もあったので問題なし)

勉強の合間に先輩は色んなロックのLPレコードをかけて解説してくれたりベースを弾きながら軽音部のたのしい話をしてくれるのでわたしの【この高校の軽音でベース弾きたい熱】は高まるばかりだった

そうしてむかえた合格発表の日。40人しか合格しない中にわたしの番号があった。やったーーーーー!!!!

その足で中学校に報告に行くとわたしよりうんと小さくて華奢な担任の先生(女)が大喜びのあまり泣きながらわたしを抱きしめてぐるぐる回ったので驚いた(どこにそんな力が??)わたしも先生がそこまで喜んでくれたことがめちゃくちゃうれしかった

何はともあれホッとした

入学式で驚いた。教頭先生が「みんな自分の好きな名前で3年間過ごして構いません。ほらまあ言えば芸名みたいなもんです」

40年以上前でこれ。めっちゃすすんでないですか?すすみすぎてて中学校出たばかりの頭ではついていけずポカーンとするばかりで結局本名でいくことにした。

でも学校生活に慣れてきた頃、せっかくやし学校用に新しい名前を作って試験用紙とかにはその名前を書くようになった。先生もその名前で呼んでくれた

軽音のみんなとコンサートのチケット取るときは(ウドー音楽事務所とか)学校休んで並ぶんだけど、記入した名前がアレすぎてウドーの人たちが訝しそうに「◯園寺 ◯◯さん…ってこれ本名ですかぁ?!」「本名です(大嘘)」「◯川 ◯夢さん…ってこれ本名ですかぁ?!」「本名です(キリッ)」もちろんうそ

ネットでチケット予約が当たり前に出来る現代からしたら考えられないほどものすごいアナログでしたね。時間も手間もかかってて。冗談抜きで情報誌「ぴあ」だけが唯一の頼りだったのどかな時代でした。

憧れの軽音部は、自分と一つ二つしか歳が変わらない先輩たちが男女ともになんだか大人に見えてかっこよかったしみんないい人だった

教室で生まれて初めてアンプから音を出した瞬間のあの痺れるような感動!ドラムやギターと音を合わせた時のあの気持ち良さ!40年以上経ったいまでも新鮮に思いだせる快感…音楽ってすごい!

軽音に入って2年目、わたしは副部長になりました。後輩部員がたくさん入部してきて部長と最初にしたことは伝統の《あだ名付け》でした。グランドピアノの周りを全員で囲んでみんなで好き放題あだ名の案を出し合うのです 

ぜんぜんロックちゃうやん!

あだ名は残酷なばかりに情け容赦なく見たまんまが採用されました

ロックですね!!

例)反りブー → デブでギター弾く時に反るから

例)フロッグおたま → カエルとおたまじゃくしみたいな顔だから

例)じんご横分け → 本名しんごをじんごと間違って覚えられてて髪型が横分けだから

例)ジーンシモゴム → KISSのジーンシモンズみたいな髪型でゴムでいつも前髪をくぐってるから

例)パイナップルこぶし → 病気のために髪色が明るくしょっちゅう変化するのがパイナップルみたいで歌うときこぶし入るから(ボーカル)

大概がこのようにいまで言うとdisってる訳ですが(※仲良しです)1人だけdisりようがない後輩がいました。

あだ名は『charチャー』です。日本が誇るロックギタリストのチャーにめっちゃ似てて超小顔でイケメンで何よりも死ぬほどベースが上手くて、彼が軽音に入ってきた初日のことは忘れられません!

突然deep purpleのHighway Starを弾きだし、とてもついこないだまで中学生だったとは思えないテクニックで軽音全員 唖然&大喝采でした

「自分すごいなー!めっちゃベースうまいやん!名前なんていうの?」

それが江川ほーじん(ex.爆風スランプ)との出会いでした



長文なりすぎて最後まで読んでくれてる人いるのかどうかわかれへんけどひとまず置いて軽音③へ続きます。。。

ではまた!

(※画像は大好きだった高校の本館正面と、中庭のベンチでベースのY先輩(めっちゃ好きだった!)と撮ったツーショット(このわたしパーマ当ててる髪型のせいかなんとなくいまのすずやんに似てない?)と、同じく中庭で軽音のみんなと。ほんまに軽音たのしかったなー!)












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