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母親は楽をしてはいけないのか?

今年の3月から国内でも液体ミルクの製造・販売がスタートした。我が家はもうとっくに「ミルク」は卒業している年齢だけど、昨年の水害や震災、台風などの時に、粉ミルクの衛生面のお問い合わせを頂いたことから、液体ミルクの国内販売を待ちわびていた。

しかし…この液体ミルクの販売と同時に、まっ…想像通りの事が起こったのである。いわゆる「母親が楽をするな」というバッシングだ。

一部抜粋すると…

インターネット上では子育て層の喜びの声とは対照的に、授乳の当事者でない層から「そこまで楽する必要があるのか」「粉ミルクを溶かす手間をかけることで親としての自覚が生まれる」など、育児にかかる手間を省くことに消極的な意見が多数見られました。

とのことらしい…いやはや驚きである。
それも授乳当事者ではない層からの意見だから、なおさらびっくりである。

産後の疲れも傷も癒えないまま始まる子育て。1日中助けてくれる人がそばにいるとは限らない。必ずしも里帰りが出来るわけでもなく、男性の育児休暇取得もまだまだ進んでない現状。3週間は床上げするな…と言われても、退院後は家事や慣れない育児に追われている女性は少なくない。液体ミルクを使って楽をして何が悪いのだろうか?

コスト的にすべての授乳を液体ミルクにすることは厳しいかもしれないが、せめて夜間ぐらい調乳の手間から解放されても良いのではないだろうか?

私は幸いにも母乳が出過ぎて困ったタイプだったので、夜間に粉ミルクの調整をする必要はなかったけど…
10月生まれの我が子。真冬の夜間に調乳作業をしなきゃいけないと思うと正直気分が萎える…正直、私のように母乳が良く出るタイプの人間は母乳で育てた方が楽なのである。

外出の荷物は少ないし、粉ミルク代もかからない、夜中の調乳も必要ないし、哺乳瓶の洗浄・消毒も必要ない。
あえてデメリットをあげるなら、他人に預けられない点と外出時に授乳場所を探すということぐらいだろうか。夜中、数時間置きに授乳が必要になる点は大変ではあるが…これは粉ミルクだからと言って8時間寝てくれるとは限らないらしいので結局は大変さは粉ミルクの方が上なのでは?と思う事もある。

正直、母乳で育てようが、粉ミルクで育てようが、液体ミルクで育てようが外野がとやかく言う事ではない。子供が元気に育ち、母親がストレスがないのが一番。それでもなくても子育てには喜びよりストレスが付き物なのだから。

不妊治療の為に仕事を退職してまで子どもを望んだ私だが、正直私にはそこまで母性はない。子供に時間や手間をかけるより、楽を選びたい方だ。息子が小学校1年生になった今、ようやく子育ても楽しいかも?と思えるようになったぐらいだから。

産後に育児ノイローゼで自殺をしてしまう母親もいる。そもそもこういう世間の声が母親を追いつめているのだという事にそろそろ気づいてほしい。

私事だが、実は私は息子と2人で電車に長らく乗る事が出来なかった。というのも息子が2歳の時に2人で電車に乗った際、決して大きな声で息子が話したわけでもないのに、「子連れの母親が小さな子どもを連れて出かけるな。迷惑だ」と車内で罵倒された事があったのだ。そして、「母親なら、子供を席に座らせずに抱っこして立っていろ」と…

決して優先座席に座っていたわけではない。わざわざ座って電車に乗れるように空いている時間を狙って、あえて近くの駅ではなく空いている駅から乗車したのだ。幼児は切符代を払ってないから座ってはいけないらしい…それがその年配の方の理論だった。ちなみにその時でも席は空席がいくつかあった。

それから約5年間。実は電車に乗りたいという息子をいつかね…という言葉でごまかして2人で電車に乗る事は一度もなかった。
一度だけ、関空に夫と別々に行く必要があった際も、実は祖父母に京都駅まで一緒に乗車してもらった。

ちなみに祖父が息子を連れて電車に乗っているとニコニコしながらおじいちゃんとお出かけで来ていいね…と話しかけてくる人がいるという不思議さ…

一度電車内であるお母さんが、ベビーカーと上の女の子と赤ちゃんを連れて降りるのに四苦八苦している場面に出くわしたことがあった。でも、誰も手を差し伸べようとしない。その親子を押しのけるように降りていく人々。見るに見かねて降りる駅ではなかったが、ベビーカーと荷物を受け取って降りたことがある。

空いている電車だったので、降りる前にベビーカー開けてもよかったのでは?なんて話をしたら、過去に私と同じような経験をした話を聞かせてくれた。確かに込んだ車両ではベビーカーを畳んでおくべきだろうけど、空いている車両であれば降車する時ぐらいはいいのではないかと思う。

滋賀から大阪まで月に数回、電車に乗る事もあったので、肩身の狭い思いをして、時にはなにかケチをつけられている母親を見たのも実は一度や二度ではない。

つくづく日本と言う国は「母親に厳しい」国なんだなという事を痛感させられる。

話しが大きく逸れてしまったが、液体ミルクの話に戻そうと思う。
地震だけではなく、昨年のような災害がいつ起こるとは限らない。昨年は大阪では台風で数日に渡って停電も起こった。オール電化に頼って家庭では停電は死活問題である。もちろん、粉ミルクの調整も出来なくなる。なのでミルクを必要とするお子さんのいる家庭ではぜひ確認しておいてほしい事がある。

・災害時に初めて飲むことの無いように、平時に一度液体ミルクを飲ませておく。(北海道の震災時は今まで飲んだことのないものは飲ませられないと言われた事もあった為)
・市や町に液体ミルクの備蓄があるか?妊娠時のマタニティー教室や、産後の赤ちゃん訪問の際に市の職員に確認しておく。その際に使い捨ての滅菌された哺乳瓶の配布があるかも確認しておくと良い
・残念ながら、市や町での配布が無い場合は各自が備蓄をしておく必要がある。

後、母乳のみで育てているお母さんも念のため液体ミルクの貯蓄はしておいた方がいいかな?と思います。災害などで母乳が止まってしまうことはほとんどないと言われていますが、そもそも母乳をあげられるプライバシーが確保されるかどうかは別問題。心無い行動や言動をする人も少なくありません。そんな時に液体ミルクがあれば母子ともに安心できますから。

「らくちん」「時短」「手間を省く」「簡単」こんなキーワードが飛び交う市場がほとんどなのに、なぜか「育児」や「母親業」には手間暇をかけることを押し付ける人が多い事になんとも言えないやるせなさを感じる。

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