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夢日記

懐かしさとせつなさで目が覚めた。目覚まし時計が鳴る7分前。

私はタンスの整理をしていた。何人かに手伝ってもらっていたが、今思えば彼らは知らない人達。でもとても気心が知れているようだった。

タンスは私の一人暮らしの部屋の中で、3つ4つ並んでいた。大きな部屋だ。これも見覚えは無いが、思えば実家の和室に似ている。

私はそのタンスに本を詰めたり絵を馳せたり、写真を飾ったりしていた。貰い物の茶器やよく分からないファイル、ノートが溢れんばかりだった。

なにか求められて、それを探しながらついで片付けている、といった様子だった。何を探していたのだろう。私は出てくる本や茶器、写真にいちいち夢中になって、
「あぁ、本はしまいこんだらダメだな。表紙の破れを直してから表に全部出そう。広い書斎が欲しいものだな 。」
「使わない茶器は手放すべきかな。いや、きっとそんなことない。綺麗に残っててくれて嬉しい。」
「この写真を飾ってるのは、私だけなんだ。すごく大事にしていたのに、一緒に写ったこの子もあの子も、まるでなかったみたいに過ごしてる。」

そんなふうに強い郷愁とやるせなさと。ともかく壊れて朽ちてしまいそうなそれらを、もうなにひとつ忘れたくない失いたくないと、抱え込むような思いだった。

この場面の前にも後にも、なにかあった。けどもうだいぶ靄がかかって思い出せない。

あぁ、最後に。

年老いた私が畳の上に座って本を読んでいた。文庫本縦2冊程の背が低い本棚がズラリと並ぶ部屋だ。足を崩してだらんとしながら、窓格子の隙間から外の光を見つめた。
すると記憶は過去へ戻って、2歳頃の私とお母さんがいた。母の実家、祖父母の家だった。絵本かお歌か分からないけど2人で遊んでいた。私がふいに興味を失って何かを床に投げた。お母さんが困ったように笑うけど怒りはしなかった。私はそれを当然のように見つめてた。