過ぎた幻想


夏に向かう季節になると大学生時代に思いっきり恋愛にどっぷり浸かった思い出たちを思い出して胸が少しだけきゅーっと締め付けられる

大学生の夏休みの間をずっと一緒にいたかつての彼は元気だろうか

人生においてここまで価値観の合う人はいるのだろうかと幸せが身体中から溢れ出していた日々を思い返すと、今の平穏な日常にほんの少しだけ物足りなさを感じてしまう

でも隣にいない今こそが全てを物語っていて

好きな食べ物や好きな音楽、お腹の空くタイミングに眠くなるタイミング、起きるタイミング、盛り上がることや落ち込むこと

似ていることが多過ぎて、同じ人間のように思い込んでしまったがゆえに、少しでも異なる部分を見つけるとお互いに不満をぶつけ合ってしまっていた

経験不足と若さゆえの喧嘩だったなあ


きっと今の私と今の彼が純粋に初めて会ったらとことんうまくいくのだろうけれど
すでに歴史を築いてしまったから過去が尾を引いて、うまくいかない気しかしない
(そもそも彼と愛とか恋とかの関係を築くことはない)


今の私であったらうまくかわせるようなことも過去の私には上手なかわし方がわからず、たくさん泣いたり怒ったりしたことが懐かしい


その経験が故に今の私がある

思い出はそっとしまっておこう
たまに思い出箱をあけて一人で振り返って楽しむくらいしてもいいじゃない

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