見出し画像

懐かしい話と大切なひと

 鴨川べりを、カップルが等間隔に座る、という話をしていた。そんな学生時代を送ったことを羨ましがってくださる方が京都のお仲間にいらして、ちょっと楽しい昔話なんだなあ、と思って、昨日、ちょっとだけ、いいでしょー、と話したことから始まったのだけれど。

 昔、大学に入ったその夏の合宿で、「お前は、あ、こいつ俺に気があるのかな?ということをみんなにするやろう・・・?」と先輩に言われて、それがある意味強迫観念的に、誰かに好かれたみたいなときは、「私なんかしたんやろか?」と考えてしまう・・・、という話を、昨日ある会合で、あまりつながりをもてない話の流れの中で話していた。当時は、9割男子学生の大学に入って、兄はもとより、高校の先輩にも、そんなあったかい感じの世話焼きタイプがいなかったから、きっとたくさんお兄さんができたみたいで嬉しかったんだろうな、と思っていた。先輩方が、可愛がってくださった。

 その後の話は、私にとっては、あまり聞きたくないものだったのだけれど、あることを知るためには、そのことも聞かなくてはならない、と思っていて、その所期の目的は果たせたものの、まあね、複雑な想いをしていた。その手のことで、昔は二週間ぶっ倒れていたこともあり、先輩の先生の奥様に、「あなたがそういうところに行ったら、そういうことになるでしょ?だから、やめておけばいいのに・・・。」と言われたり、その後も、見なくていい張り紙を見てしまったがゆえに、くら~い気分で過ごす羽目になったりしていた。だから、知ってはいても、事細かに聴くのは初めてだったし、そういう話を適当に聴ける人は大人だなあ、と思っている。

 昨日は冗談で話していたことだったけれど、昨日の話を寝る前に思い返していて、あることに気付いてしまった。

 それはそう、それぞれの価値観。だから、人が何をしようと知らない。どこかで不倫をしようが、どこで何をしようが。できれば、私が素敵だな、と思っている音楽家や、演奏家にそういうことがあってほしくない程度のことである。

 それに、それを肯定する人は、たぶんそうしたいだろうし、それを否定する人は、できれば避けて通りたいだろうし、いやいやしたいけどストップ掛けているかもしれない。それはそれこそ当事者にならなければわからない。

 ただ、自分に大切な人がいることに気付いてしまったのである。いやいや、今までだって、十分気付いていた。けど、その大きさに、気づいていなかっただけ・・・。

 いつも苦しいときには見守ってくれた、私がしんどそうなときには、靴のつま先をイライラさせて、トントンさせていた。あれっ?怒ってる?と思っていて、ある日、いや、この冬、その方が、イライラするのは、私がしんどいこと言ってる時だと知って、私自身のあまりの恩知らずさに呆れてしまった。昔、会わない日が続いたときには、そーっと、私が通勤するのを見守ってくださっていたらしい。そう、こっそり。まだまだ出会ったときはお互いに若くて、でも、仕事の面では、まあ、中堅どころに当たるころ。私がそれなりに責任のある仕事を始めるときには、ずいぶん心配もしてくださった。

 書ききれないくらいたくさん思い出があるし、たぶん、今、私がこの場所にい続けられるのも、わかってはいなかったけれど、その方がいてくださったからだ。自分がいかに恵まれているか、ということを実は気づいてしまった。ほかの意見はいい。違う形でつながってる方がいいという人がいるならそれでもいい。でも、私は、その方に、ちゃんと相手してほしい。きちんと向き合ってほしい。精神的に。だから、自分が美しく、この関係をずっと保ち続けていることの方が、私は、嬉しい。

 たぶん、一生のうちで、他人として大切な人をあげれば、その方になるんだろう・・・。昨日、その方の大学のある地方に住んでいらっしゃる方とお話していても、ついその方に親しみを持つのも、その地方の出身であるからだと自分でも何となく気づいていた。初めて会ったときから、その方のお話をお聞きしてみたい、とつい思っていた。つい、その方のお話が聞きたいから、と、とんでもない行動力を発揮していたけれど、いつもその場所を想っていた。飛行機に乗るときも、ああ、あの・・・、と上空から必死に見つめていた。まだその場所には行っていない。一人で歩いてみたい。

 昨日は二回目。なんで、そんなことができるの?と自分に問うていた。その方がにっこり笑ってくれた、だの、ためになる話が聞きたい、だの言っても、どこかでその場所があったんだ。そんな話をしていたら、今日のお食事のときに、遠くの方から、ウンウン、と頷いておられた。意味を分かってるのかそうでないのか・・・?

 いいよねっ!私の中に、いてくれるその人の存在に、改めて気づかされたんだから・・・。昨日のあんまり聞きたくなかった話は、そのことに気付かせてくれるきっかけになったんだから。

 実は私は、その方のおかげで、本当に強くなれた。とんでもないことも乗り越えられたと思う。でも、きっかけがないと実感できない。

 心の中に空洞がある?嘘やん!いつもいてくれはったやん!

 でもね、そんな人がほかにもたくさんいるのに、私が気付けていないだけだということも本当は知っている。ただ、実感できていないだけなんだって!それもたくさんそばにいらっしゃることも。今この地で。

 


もしもサポートしていただけましたら、そのお金は文章を書いて人の役に立つための経験に使います。よろしくお願いいたします。この文章はサポートについて何も知らなかった私に、知らないうちにサポートしてくださった方のおかげで書いています。