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珈琲の話 〜その1〜

さて、これが私の記念すべき初投稿になるのだが
書きたいことが腐るほどありすぎて、逆に何を書けば良いかと迷い数時間が経過。とりあえず1番好きなものを書くことにした。
今回はそんなお話し。


大学1年で地方から上京してきた私は、都会の輝くオシャレな雰囲気に漠然とした憧れを抱いていた。「田舎者だと舐められたくない!街に溶け込みたい!女の子にモテてたいー!!!ちやほやされたいー!!!」

とにかく馴染むのに必死だった。大学デビューというやつだ。

オシャレになってモテて、華やかなキャンパスライフを楽しむ。
これが私の思い描いていた夢だった。
(結果的には無理だった。)
そのために色んなことを勉強した。
ファッション、小物、インテリア、料理etc…
我ながら偉い。

ある日[POPEYE]という一流オシャレ雑誌を買った。どうやらこの雑誌は都会のシティーボーイなるオシャレ男子が読むらしい。その雑誌の中にある特集がされていた。

「シティーボーイとコーヒー」

写真にはオシャレ着をしたシティーボーイが
スケボー乗りながら片手でテイクアウトコーヒーもう片手にはどデカいフランスパンの入ったトートバックを持っていた。
(そんなことしたらコーヒーこぼすだろ。そもそも、どこでこんなでかいフランスパン買えんだよ。)

ツッコミどころ満載の写真だったが、当時の私はそんなことには目も止めなかった。

シティーボーイ=コーヒー=オシャレ

私は確信した。
「これは絶対にモテる。」

そんな下心丸出しで、私のコーヒー生活は始まった。

コーヒーのことは正直ほとんどわからなかったが 今までコーヒーに縁がなかったわけではない。実は高校時代の2年間喫茶店でアルバイトをしていたのだ。しかし、その喫茶店は致命的に集客率が悪く、いつも店にはマスターと私しかいなかった。(どうやって経営していたのか、未だに謎に包まれている。)
だからマスターがコーヒーを淹れているところをほとんど見た事がなかったし、マスターのコーヒーを飲んだこともなかった。結局コーヒー童貞のまま、アルバイトは辞めてしまった。

とにかくコーヒーのこともよく知らないし、自分が飲めるかどうかもわからなかったが、そこはこの私。一度決めたことはやり抜いたる精神で、やるだけのことはやってみようと決心した。


手始めにインスタントコーヒーいくつか買って
淹れてみた。
昔インスタントコーヒー会社のCMで観たセリフ

「違いのわかる男」

良い響きだ。違いのわかる男になりたい。

飲んだ。不味かった。粉の量を間違えたのか。違いの「ち」の字すらわからなかった。というより、そもそもコーヒーというもののベースを知らなかった。致命的だった。
先は長い。とりあえずは経験だ。

そんな生活を繰り返し1年が経とうとしていた。

大学2年の秋、雑誌[POPEYE]の最新号を買った。雑誌の中では整った部屋の中でシティーボーイがコーヒー豆を挽いて、レコードを楽しんでいる写真が映っていた。
どうやらオシャレなシティーボーイはコーヒーを豆から挽いて淹れるらしい。

翌日コーヒー豆と手動ミルを買った。
慣れない。粉の大きさを調整できない。豆を挽くってこんなに時間がかかることなのか。これが大人の嗜みなのか。改めてコーヒーの難しさと奥深さを知る。
部屋には豆を挽いたあとのほのかに甘い香りが広がっていた。

この辺りからだろうか、「いつかカフェを開いてみたい」という漠然とした希望を周りの友達に言いふらしていた。(コーヒーを淹れられるようになり調子に乗っていた)
オシャレなインテリアに香りの良いコーヒーと
美味しい料理。絶対にモテる。
下心は拭えてはいなかった。

まねごとから始めたコーヒー生活は早3年が経過し
それなりにコーヒーのことについても知るようになった。淹れ方について勉強したり、カフェやコーヒー屋を訪れてはコーヒーを片っ端から飲んだ。時には半ば強制的に友達も巻き込み
コーヒーを淹れては飲ませようとしたが、味が不評だったのか、途中からみなココアを注文するようになった。ココアは何故かすこぶる評価が良かった。何故だ。インスタントなのに。

なんじゃかんじゃで、気がつけばコーヒーのある生活が日常となっていた。

大学4年のときゼミの友達と、秩父旅行に行った。
気の知れた友人とのくだらない温泉旅行だ。

この旅行が、私のコーヒー生活の大きな転機になるとは思ってもいなかった。


珈琲の話 〜その2〜 に続く



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