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スマホが熱中症

世の中には相性の悪い組み合わせがある。食ならスイカに天ぷら、うなぎに梅干しなど。それらは消化不良を起こしやすいコンビとして共に食べるのを避けられている。
近くにいないほうが互いのためという関係が世の中には存在するのだ。

さて、先日私は都内で待ち合わせすることになり、スマホのグーグルマップを使うことになった。私は地図を読めたことがない。自分のいる位置がわからないので、とりあえず動いてみて間違いを修正しながら進む。ものすごく効率がわるい。

以前、同じように地図の読めない友達から、進む方向が方位磁石のように表示されるアプリを勧められて、使ってみた。

徒歩5分の場所に1時間かけて辿りついた。

要するに私は地図と相性が悪い。案の定、今回も地図を見ても自分の居場所がわからない。炎天下の中、進めばいい方向とは真逆をすすみ、通ればたどり着く道から一本ずれた通りを歩いた。

いつのまにかスマホが熱くなっている。地図を使いすぎたためか、暑さのせいなのか。どちらの原因でもあるだろう。これはだめだと思い、一度電源を切ろうとしたけど、キー操作を受け付けてくれない。

熱中症情報が送られてきた。
人間よりスマホが熱中症だった。

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熱中症のスマホは、さらに13時になるとアラーム音まで流し始めた。
キー操作は相変わらずできない。

ひたすら流れるアラーム音。

こうして真昼の都内で熱中症になったスマホを握りしめ、アラーム音を止めもせずに店の軒下で突っ立っている人間が誕生した。

ようやくキー操作可能になったスマホを頼りに、待ち合わせ場所までたどりつき、汗を乾かそうとカフェに入る。

最寄駅から歩き出して45分が経過していた。
グーグルマップの計算した目的地までの所要時間は15分。

徒歩5分のところに1時間かかり、
徒歩15分のところに45分かかる。

私が所要時間内に目的地までたどり着けるようになるまでの道のりは、はるかかなたのようである。

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