日本昔ばなし

竜の輪01/世界の半分とは?

わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを…
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう。 
堀井雄二『ドラゴンクエスト』

僕が初めて出会ったドラゴンは1986年発売の『ドラゴンクエスト』の竜王だった。竜王の城に流れる重苦しい音楽は緊張と恐怖を高め、小学生だった僕は竜王の甘い言葉に騙されて、世界の半分である闇の世界を受け取ってしまったのだ。

世界の半分ってなんだ?
闇の世界ってなんだ?

もちろん、世界の半分とは竜王が支配するであろう領土の半分という意味だし、闇の世界とは騙された冒険者が味わう苦しみのことだ。しかし「世界の半分」という言葉に僕は魅了された。

その言葉はいつしか「いる」とも「いない」とも言い切れないモノたちの住む幻想世界の呼び名となった。例えばドラゴン。例えば神や霊や魂。目には見えないのに、実在を証明されてもいないのに古今東西の文献にたびたび登場する不可思議なものたち。もっと言えば文字や数字やデジタルデータ。これらも物質でも生命でもないが「実在しない」と言い切るのも難しい。そんな実在しないものを考え、創り、機能させる人間や社会の不思議な力。

このノートはドラゴンについてのノートだ。ネットや本で調べ、パソコンで描き、考えたことをまとめたノートだ。図鑑と呼ぶには正確性に欠け、エッセイと呼ぶにはウィキペディアに頼りすぎた格好のつかないノート。しかし、その作業は実に面白く、そして他人に伝える価値のある作業だと感じた。それは大袈裟に言えば人類の精神史をなぞる旅だった。人類の精神史?そんな目に見えない歴史が本当にあるのか?そしてその逝き着く先は?

僕はきっと愛を知らない
君もそうならついておいで
この果てしない物語の彼方へ 
野島伸司『世紀末の詩』


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