願いのための道筋を【#ガーデン・ドール】
ぼくはヒマノ・リードバック
これはもう一度別の形で会うための、あるいはあなたの願いを叶える為の道筋を得るための道筋のお話
ぼくの聞きたいことは…。
8月のある暑い日。
ぼくはとあるミッション達成の報告をした。
そのミッション達成によって得られる報酬は
『ドールの質問に何でも一つだけ回答します』
というもの。
以前同じような報酬には、『センセーが』という一文があった。
これにはそれがない。
であれば…センセーとは違う別の存在が答えてくれる、そう思ってもいいはずだ。
もし、そうだとしたら…ぼくの聞きたいことはただ一つ。
物思いにふけっていると、いつものように端末が部屋へ入ってきた。
『ミッション達成おめでとうございます。質問をどうぞ』
…それはいつものセンセーの声で。
…当てが外れた?
それでも、何も答えがないとしても。
これだけははっきりさせておきたい。
そう思い、少し震えながら、質問をすることにした。
「アルスさんやロメリアさんのようなマギアビーストの…人格をドールの人格として復元することは可能ですかー?」
ぼくの願い。
アルスさんやロメリアさんを復活させること。
ただし、そのままの状態では結局マギアビースト…として敵対することになるだろう。
…マギアビーストにも人格は存在した。
それならば、人格だけ復元し、ドールとして復活させられれば?
…もしこれが叶うなら、ぼくは何でもしよう。
今のぼくの、一番の願いだから。
…現実は残酷だから、叶わないなら叶わないとはっきりさせたかった。
そう思い放った質問の答えは…。
…ぼくがセンセーの端末に尋ねると、いつものセンセーの声のまま答えが返ってきた。
『キミのそれから作るには作れるヨ。ただ、中身だけサ、ガワも必要だロ?。それもうんと特別なのサ。たとえば……額縁から出られないあの子とかどうダイ?』
いつもとは違う口調。…せんせーではないもの。
何度か聞いたことがある、イントネーションの違う口調だ。
そしてセンセーの端末は、ぼくの肩にある…ロメリア、と名付けられたぬいぐるみをみて『それ』といっていた気がした。
その言葉はぼくには衝撃的で。
-無理だと思っていたから-
そして、一度で消化するにはあまりにも重たくて。
…一度整理しようか。
まず、人格の復活は可能。
それには何かを使用する必要があり、今回の場合はロメリアと名付けられた…アルスさんの大事にしていたぬいぐるみだ。
…そして体も必要で、それには額縁から出られないあの子。
…セイさん。
額縁に閉じ込められているドール。
食べるのが好きで、ぼくたちとは違う魔術を使える存在。
最近少し記憶を思い出した少女。
あの子の体が必要、ときた。
…待てよ?何か忘れている気がする。
人格、体…コア?
そういえばミッションの一つに2体目のドールを得られるものがあったはずだ。
それも達成する必要があるのでは?
抜け道があってはいけない。
ぼくは念には念を入れ、聞いてみた。
「額縁の…なるほどー。ちなみに、中身を作るのにも必要なことがあるんですよねー?例えばー、ミッションのあれとか」
『はい。新しいドールを増やすためにはミッションを達成する必要があります』
やっぱりだ。
もう一つ。ドールを作るためには〇〇〇をする必要がある。
「ありがとうございましたー。おかげさまで道が見えましたー」
『ガーデンはキミ達が優等生であることを願っています。』
…そういってせんせーはぼくの前から姿を消した。
…センセーが消えたことを確認すると、肩の力が抜けたようにベッドに倒れこむ。
…願いへの道は見つかった。
ぼくが起こすべき行動は…。
1、とあるミッションを達成し、2体目のドールを作成する権利を得る
これには他のドールの協力が必要だ。
…この願いに関連するドールのほうが頼みやすいだろう。
残酷な道ではあるけれど、覚悟を決めよう。
2、セイさんの身体に人格を入れる為に〇〇する。
…できれば実行に移すのは一つ目のことが終わってすぐがいいだろう。
セイさんは食べ物を作っている時によく出てきている気がする。
であればあの手段で…。
やることは決まった。
ではいつ行動するか。
…あの日にしよう。
ぼくたちが初めて出会った日。
それまでに準備はしっかりと。
ぼくはそのまま目を閉じ、意識を落とした。
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