運動会の下準備【#ガーデン・ドール】
『ヒマノさん、次のイベントについて相談があるのですが良いですか?』
とある昼下がり、部屋でゆっくりしていたぼくに突然相談をもちかけたのは、
いつもどおり浮いている端末『せんせー』だった。
…はて?相談…珍しいですね。
せんせーからそういう話が来るとは思っていなかった。
次のイベント…確か運動会だったはず。
運動会って何をやるかあまり理解していないんですよね。
何をやるんだろう。
そう思いつつ聞き返してみた。
「はい、なんでしょうかー?」
『パン食い競走のパンを作ってください』
パン食い競争。
確か特定の距離をパンを咥えて走る競技のはず。
そのパンが必要だということだろう。
パンつくりが趣味のぼくにとって、色々な形でパンが作れるのは願ってもないことだが、
どういうパンが必要なのかピンとこない。
まあそれはさておき受けるのはいいと思う。
「はい、わかりましたー、どんなパンが必要ですかー?」
『口に咥えて走れる大きさのものであれば何でも構いません』
「わかりました。では好きに作らせていただきますねー」
『はい、お願いします』
軽く受け答えをした後、せんせーは消えていった。
しかし…パン食い競争か。
面白そうですね。
どんなものを作ろうか...まあとりあえずキッチンで試作してみましょうか。
ということでここはキッチン。
ぼくは早速パンの生地と中身に入れるネタを思案する。
恐らく競技的に向いているのはロールパン、あんぱん、クリームパンにカレーパンあたり。
逆に焼きそばパンやハンバーガーは向いてなさそう。だって中身が飛び出るし。
あと硬すぎるのも駄目かな…あれ、意外と難しい?
大体上記に上げたものを加えられるサイズくらいに作ってみるとして。
…普通のばかりじゃ面白くないよね。
確か前…リツさんが作ったカレーをパンに入れてみたことがある。
ちゃんと美味しいものではあったけど…辛かった。
そういうものを一つ外れ枠として入れておくのも面白そうだ。
そんなことを考えながら、色々作ってみた。
結局ほぼ想定通りで、一口サイズくらいの大きさのパンをいくつか用意しておくのがよさそうという結論に達した。
あ、でも焼きそばパンは中に入れる方式なら普通にありかも。
一口サイズにできるし。
それはそれとして…恐らく、サイズと一定の硬さのパンであれば浮かせればどうにでもなると思う。これで一応パン食い競争用のパンの考案は一段落だ。
あとは…競技が実施されるときに改めて用意するだけ。
楽しみだなあ、どんな走りを見せてくれるんだろう。
今回試作したパンを棚に入れつつ、ぼくは満足して部屋へと戻った。
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