望む未来への一歩【#ガーデン・ドール】

ぼくはヒマノ・リードバック

これは願いに近づくためのお話
何かを得るためには行動しなければならない。
それならぼくは…覚悟を決めよう

ここは海と呼ばれる場所。
何か考え事をするときにはよくここに立ち寄る。

…ぼくは以前多目的室に置かれたマギアレリックと話をしたときに人格を認識できた…気がする。

それなら、一つ確信を得るための手段がある。

とあるミッションを達成した報酬として得られる権利。

『ドールの質問に何でも一つだけ回答してもらえる権利』。
…誰が答えてくれるかはわからない。
ただ、前のミッションがせんせー、だったのに対しこれは明記されていない。
だから…せんせーからは聞けなかったことも聞けるかもしれない。

この権利を使えば…恐らくぼくの知りたいことが知ることはできる気がする。
…ただ…結局不可能だ、といわれる可能性はある。
起こしたい願いが実現不可能と決まったとき、ぼくはどうすればいいかわからない。
そう、だからこそ今までは事象を確定するのが怖かったからあえて避けていた事柄。

…前より知ることのできた情報が増え、判断材料も増えた。
…一歩踏み出すなら今だろう。

ぼくは持ってきていた箒…『FHブルーム-フライト』のことを考える。
手を放したそれは、その状態のまま浮き続けている。

この箒は常にふわふわと浮いている、あとほんのりいちごの香りがする。
ただそれだけのマギアレリックだ。
正直浮遊魔法が得意なぼくにとっては不要なものではあるが…0期生の皆で討伐したフルーツビーストから得たマギアレリック…思い入れがないわけはない。

それでも。
それが必要なことなら。
…覚悟を決めろ。

…ぼくはバッグからハサミのマギアレリック…『VSヒーローシザース-キャンサード』を取り出し片手に持ち、もう片方の手で箒を掴む…

そしてハサミの刃を開き、箒の柄の中心へと刃を入れた。

物であれば何でも切れるという効力を持つマギアレリックの力により、箒は何の抵抗もなく両断される。


挿絵:異常を断ち切る。(作:花宵アザミさん)


…手に持っていない方の箒が地面に落ち、切り口から黒いモヤが出てくる。
…そのモヤは上空へと集まり、どこかへ向かったようだ。
しばらく後、マギアビーストとなって現れることであろう。

…これでいい。
さあ戻ろうか。
…ぼくはもはや浮くことも匂いを放つこともなくなった箒を抱え、歩き出した。

…知りたいことを知るために。
その一歩は、踏み出された。

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