意思持つ道具との邂逅【#ガーデン・ドール】

ぼくはヒマノ・リードバック
これは意思疎通のできるマギアレリックと邂逅したお話
…もしあれがマギアビーストの頃と同じ存在であれば…ぼくは。

ここは多目的室。
どうやらここにマギアレリックが置いてあるはずなんだけど…。

「話によるとここにいるとのことですが…おや、あれですか?」

部屋の中を見回すと、そこには四角い物体が。
…名前はわからないけれど、元々映画館にいたマギアビースト。
『機構魔機構獣-ディストピアター』…それが転じたものだろう。

それに近づき…まじまじと眺めていると、ふと声が聞こえた。

「なんかきた」

…不思議ー。どこから声出てるんでしょうー、それ。

「おやー、本当に言葉を話せるんですねー。どうもー、こんにちはー」

ぼくは挨拶をしてみることにする。…さて、ちゃんと意思疎通はできるのか。

「なんかピュンピュンしてたやつじゃん」

ピュンピュン...聞き覚えのない擬音ですね。
…あぁ。なるほど。

「…ピュンピュン…?あぁ、銃ですか。」

これは恐らく銃を撃つ音の表現だろう。
それを知っているということは…やはり映画館にいたマギアビーストと同一の存在…
もしくは同一の人格ということだろう。

…マギアビーストにも人格というものが存在する…そう推測できただけでもここに来た甲斐があったというものだ。

折角だしもう少し会話を続けてみることにする。

「ぼくはヒマノ・リードバックといいますー、あなたのお名前は何ですかー?」

「おれピアター!」

どうやらピアターというらしい。
マギアビーストとしての名前が確かディストピアターだったから...うん。
わかりやすい名前だ。

「ピアターさんですねー、よろしくお願いいたしますー。」

…一応確認しておこう。映画館にいたものと同じかどうかを。
そして…マギアレリックには意思があるのか...、

「あ、一つ聞きたいです。前に映画館にいた方と同じ存在ですよねー?その姿でどうやって話してるんですー?この子も喋ったりしないんですかねえ」

そういってハサミのマギアレリック…『』を取り出してピアターさんに見せる。

「物が話すわけないじゃん」

…あ、だめなのか。残念。

「それもそっか…。あれ?あなたも物では?」
「おれはおれだしーーーー!」

ピアターさんは特殊らしい。他のマギアレリックが喋りだすということは期待しない方がよさそうだ。…残念。

「なーるほどー?面白い方ですねー」

まあそれはそれとして面白い存在だ。
ドールとも違う感じ。
…できれば友達になりたい。
そう思ってしまうほどに、面白い存在。

「用が終わってるなら、帰れよーー、おれはだらだらするのでいそがしいし」

そんなことを思っているぼくを尻目に、ピアターさんは話を切り上げようとしている。
…だらだらするのに忙しいとは。
あぁ、自由なり。

「ぼくの目的はあなたとお話することでしたからー。まあ帰りますかー。」

一礼をして、立ち去ろうとする...あ、ちゃんと思ったことを言っておこう。

「ありがとうございました。よくわかりました。あなたたちも、変わらないのですね」

そう、ぼくたちドールも、マギアレリックも…意思が疎通出来ればいがみ合うこともない、
そう思いたい…。それが叶わぬことだとしても。

「べーだ」

ピアターさんはない舌を出すふりをして、話を切り上げる。
もう言葉を発する気はないようだ。

「ふふっ。ではまたきますねー」

ぼくは多目的室を去ることにする。
意思を確認する…その目的も達成したことだし。

マギアビーストにも人格が存在する…それなら…人格コアにいれることも可能かもしれない。

…あとはどうやって確認するか。
確かちょうどあのミッションを達成すれば…いけるかもしれない。

ぼくのやることは決まった。あとはいつ動くか、それだけだ。

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