頂き物と、そのお返しと【#ガーデン・ドール】

ぼくはヒマノ・リードバック
これはとある目的の為に動いたときの記録
受けた恩はお返ししないと、ね

「…そっか、今バグちゃんはフィルムになってるから物が買えないんでしたー」

これは6月の終わり頃のお話。
ぼくは困っていた。
仮想戦闘。
魔機構獣対策本部でできるそれは、記録されているマギアビーストや仮想体と戦うことのできる機能。
先日討伐が完了したマギアビースト…皆塵魔機構獣 ベニゾメノセツナ


このマギアビーストは自分からは攻撃してくることはなく、カウンターのみ。
ガーデンには巻くだけで傷を少しずつ回復させてくれる包帯というものがある。
それを巻きながら突っ込めば一人で討伐ができるのではないかと思っていたんだけど…
包帯を売ってくれるのはバグちゃんだ。
そしてそのバグちゃんは…フィルムになったという全体通知があった。
…フィルムになったってなんですか。当然物になってしまった以上応答はできないようだ。
これでは戦闘に行けそうにもない。そう悩んでいた折…思い出した。
そういえば前、仮想戦闘に行ったときシャロンさんに包帯を借りたこと。
他の方にも貸していたことから、ストックが結構あること。

思い立ったらなんとやらだ。ぼくはシャロンさんの部屋に向かった。

「…というわけでー、包帯をお借りしたくー。」
「…事情は理解したよ。もちろん貸すことはできるけど、仮想戦闘に今後もいくことになるのなら、一つ、あげようか?」
「いいんですか?そうしてもらえると本当に助かりますー」
「はい、ではこれを。」

...そんな感じでいつものように部屋を訪ねて事情を説明すると、シャロンさんから包帯を一つ頂くことになった。

「ありがとうございますー。お礼はいずれー」

ぼくはシャロンさんにお礼を言うと、部屋を出て対策本部へ向かった。
そしてここは魔機構獣対策本部の扉の前。
扉をたたくと、中から大きな影が出てきた。
本部さん。
魔機構獣対策本部にいる存在だ。

「ああ、なんだ、学生共か、どうかしたのかい?」
「あ、本部さんー。仮想戦闘をしたくてー」
「わかった、何が必要だ?」
「剣と、身体強化バッジを。包帯を持参します。…挑む相手は、ベニゾメノセツナ。最近討伐された魔機構獣ですー」
「わかった」

そういって本部さんは準備をしてくれた。
準備が終わったころ、ぼくはゴーグルを装着し、仮想戦闘を始めた。
…結果としてはうまくいった。
対峙したマギアビースト、ベニゾメノセツナは自分から攻撃はしてこない。
自動迎撃はしてくるので、攻撃に失敗したら包帯が癒してくれるのを待ち、
再び攻撃する。
それの繰り返しで倒すことができた。
…ただし、凄く時間がかかったためもうやりたくないとは思ったけれど。

…部屋に戻ると、マギアビーストのステッカーが部屋に届けられていた。
仮想戦闘に成功した場合、マギアビーストのステッカーをランダムに何枚か貰える。
かなりの数あるため目的のものが手に入るか不安ではあったが…無事手に入れることができた。
エンペライダー…最初から仮想戦闘をすることができたマギアビーストにして、実際に戦うこと自体はできなかった存在。


ぼくはシャロンさんに報告をしに行くことにした。

「ということでー、無事ソロで仮想戦闘での討伐に成功しましたー。ありがとでございますー。」
「ああ、それはよかった。」
「それでー、ステッカーをいくつか手に入れたんですが、シャロンさんがもってないものって何がありますー?」
「ボクが持っていないのは…プラタナシナプスかな」
「あー、ちょうど手に入ったのですよー。だから、包帯のお礼ですー」

そういって金色に縁どられたプラタナシナプスのステッカーを手渡す。

「いいのかい?」
「ええ、もちろんです。すごく助かりましたからー。」
「じゃあ、ありがたく受け取っておくよ」
「ステッカーはある程度集めておかないといけませんからねー」
「…ああ、そうだね」

詳しくは説明できないが、ステッカーを集めること自体には意味がある。
ぼくとシャロンさんはそれを知っている。
…ぼくはステッカーを受け取ってくれたことを確認して部屋に戻ることにした。

「そんな感じでぼくはこれでー。おやすみなさいー、シャロンさん」
「ああ、おやすみ。ヒマノくん」

…ぼくは部屋から出て、思案する。
…バグちゃんのいない影響はとても大きい。
何故こうなってしまったかはわからないけど、どうにも今いるマギアビーストの影響が大きそうだ。
はやいところ、終わらせないとね。
…このマギアビーストが討伐された時、ぼくの目的が一つ進む。
…これによって得られるものは何なのか。
それはまだわからないけど、それはすぐそこに。


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