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レビー小体型認知症介護③『面前DVの影・抑止力』

介護度が上がった事で

入れる施設の

選択肢が増えた。

この頃、

尿便失禁に加え

入浴も

自力では

難しくなっていた。


週3回から4回

家で

入浴介助をした。

滑らない様に

浴槽の下に滑り止めを敷いた。

縁をまたげず、

足を高さまで持ち上げる。

「痛い痛い!」

そう言って

入ってくれる日は

まだいい。

『お風呂入って』

と言っても

「入らない」
「アンタが入りな」

と、

強い言葉で

拒否する時と、

「夕飯頂いたのでもう帰りますので」
「自分の家のお風呂に入るからいいです」

と言って

幻覚の家にいる設定の

拒否の仕方を

する時もあった。


洗髪をして

背中を洗う。

前は自分で

洗わせる。

感情を無にする。

そうしないと

保てない。


私の場合

義母が嫌いだから。


お金を貰える

訳でもない。

介護の勉強を

したことも無い。

私は

子供が欲しかったの。

嫌いな人の

頭や体なんか

洗いたくないの。


何で……


この人のせいで。

声が出なくなる程

追い詰められて

この人のせいで

不妊治療も

通えなくなった。

認知症の介護をしながら

不妊治療なんて

私は

出来なかった。

やっても

意味がない。

ストレスが大敵。

待ち時間の長い

産婦人科。

丸一日潰れる。

そんな事

出来るわけがなかった。


風邪をひかないように

ドライヤーで髪を乾かす。

風邪をひけば

仕事が増えるから。

抗生剤を飲むと

下痢をする。


下痢をすると

発狂したくなる。

仕方のない事。


仕方のない事

だからこそ

やり場の無い

イライラが

つのる。


オムツを脱がせて

お尻を拭く。

肘まである

使い捨て手袋をして

ゴム手袋を重ねて

トイレットペーパーで

お尻を拭く。


息を止める。

冬でも、部屋の窓を開けて

取り換える。

狭い部屋では

逆に

空気清浄機や

消臭剤

スプレー

なんて

なんの効果もない。

畳や壁

布団に

匂いが染み付くから。


義母は

お漏らしをした

感覚はない。

だから、

取り換える事にも

拒否をした。

『汚れてるから取り替えて』

「さっき取り替えたばったりだよ」


『また出てるの、臭いから取り替えて』

「なんなの!出てないよほら!」


と言って

汚れた

オムツの中に

手を入れて

引き出す。

その手を

畳や服に

擦り付ける。


認知症だから

仕方がない事。


分からないんだから

汚れてないと思っても

当たり前。


息を止めながら

掃除をする。


感情に任せて
怒鳴りながら
無理矢理
押さえつけて
オムツを剥がして
取り替えて…


頭の中をよぎる光景は

悲惨なものだった。


でも、

そうしなかった。

父親と

同じになってしまうから。

堪えた。



そういう事が

少しでも

頭をよぎる思考は

やはり

父親と

同じ血が

入ってるから…


怖くなった。

面前DVの影が

ここでも

付き纏う。


幸い

ここでは、

それが

抑止力になっていた。


義母は

小規模多機能型介護施設

に通う事になった。

デイサービスと

泊まりのショートステイ

入浴。


一泊二日

義母が

家にいない日は

死んだように

眠った。


大好きな犬の

散歩にも

行けないほど

疲れていた。





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