タナゴ釣り

【特徴】 
 タナゴは、日本の固有種で準絶滅危惧種です。鑑賞用として乱獲されたので、生息数が減少しました。そのため、地域によっては、探すのが困難かもしれません。タナゴの体長は、6~9cmくらいで、全体的に銀色の魚体です。体型は、体高はあるが、厚みのない、平たい形をしています。タナゴの口ひげは一対です。体の側面には「側線」とよばれる一本の線が通っています。側線とは、水流などを感じる器官のことです。
 タナゴの生息地は、基本的に平野部で、主に「湖沼」や「池」などの止水域にいます。その他の生息地は「川」や農業用の「水路」です。タナゴは、流れの緩やかな淀みなどを好みます。そうした場所を好むのは、泳ぐのが、あまり得意ではないからです。また、川底にもよく群れています。水が奇麗なことも、タナゴが生息出来る条件の一つです。 

 【生態】
 
 タナゴは、比較的寒さに強い魚です。春~秋まで活発に泳ぎ、寒くなると群れをなして泳ぎます。性格は、意外と図々しく、貪欲な魚です。雑食性で「水生昆虫」「甲殻類」「藻類」「ミジンコ」「イトミミズ」「アカムシ」などを餌としています。
 産卵期は、3~6月です。この時期のオスには、美しい虹色の「婚姻色」が出ます。婚姻色は、背中が「青緑色」で、側面が「淡紫」や「淡桃」です。繁殖期のメスには、長い「産卵管」が出て、カラスガイやドブガイなどの二枚貝の中に産卵します。二枚貝に産卵するのは、稚魚が外敵から守られ、新鮮な水も供給してくれるからです。貝の方でも、タナゴの稚魚に卵を産み付け、卵を運んでもらえるので共存共栄の関係にあります。

 【釣期】 
 タナゴ釣りをするなら、寒い時期の方が良いとされています。ベストシーズンは、水温が低下する晩秋の11~3月ぐらいです。ただし、厳寒期は食いが渋ります。特に霜の降りた日は、絶好の釣り日よりです。寒い時期のタナゴは、群れをつくって泳ぐため、釣りやすくなります。逆に温かい時期は、群れになっていないので、あまり数が釣れません。タナゴは「アシ」や「水草」が繁茂するところを好みます。そうした場所にタナゴが群れるのは、危険を感じたら、すぐに身を隠せるからです。そのため、障害物周りが釣りのポイントになります。障害物とは「杭」「石回り」「テトラポット」「桟橋」などです。

 【釣り】
 タナゴ釣りのコツは「研ぎ」「餌付け」「誘い」だとされています。釣り場に着いたら、まず魚に気付かれないようにしなくてはいけません。そのため、なるべく自分の影が水面に映らないようにしてから、静かに座ります。どの釣りも同じですが、魚に気配を悟られないことが基本だからです。仕掛けを落とす時も、タナゴの群れの外側に静かに下ろします。  タナゴ釣りは、あまり偶然に釣れることがありません。技量の差が釣果にあらわれる比較的難しい釣りだからです。
 タナゴは、上から落ちて来る餌に対して、一番強く反応します。そのため、餌が水中に落ちていく間が勝負です。またタナゴは、動く餌にしか反応しません。そこで餌を上下左右に踊らせて、食欲を誘います。アタリは、ウキが揺れて、すーっと引き込まれて、沈みが止まった時です。その時、軽く竿を立ててアワセを入れます。注意点としては、あまり強くアワセを入れてはいけません。何故なら、せっかくポイントに集まった群れが散ってしまうからです。アタリがあったら、静かにすばやく竿を抜き上げます。  その繊細なアタリをとるためには、極小の仕掛けが基本です。 

 [ウキ]極小のトウガラシウキ 
 [道糸] 0.6号 
 [ハリス] 0.3~0.4号 
 [餌] タマムシ、アカムシや、イトミミズ、グルテンなど

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?