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イワナの生態


【イワナの生態】 

  イワナは、渓流の最上流部に生息する魚です。真夏の水温が、20度以下の冷水域でなければ生きて行けません。その姿が見られるのは、標高700m付近です。標高1000m以上からは、イワナばかりが生息しています。基本的に山にいる魚なので、普段はその姿を見ることが出来ません。イワナの語源は「岩に棲む魚」です。そのため岩が多い場所でよく見かけます。

 イワナは、全体的に細長く、蛇のような体型です。実際、蛇のように河原を這うこともあります。ただし、泳ぎはあまり得意ではありません。イワナの口は大きく、その中には鋭い歯が並んでいます。この鋭い歯は、獲物を捕らえるのに便利です。イワナは、河川ごとに交流しません。繁殖単位が水系ごとなので、河川によって顔、性格、体色などに特徴があります。ちなみに四国、九州、沖縄には生息していません。 

 【産卵】 

  イワナは、ヤマメに比べると成長の遅い魚です。オスは1歳、メスは2歳で性成熟します。イワナの繁殖期は、9月下旬~11月頃とかなりバラバラです。ブナの紅葉の時期に合わせて産卵します。この時、オスとメスは、ペアを作るため一ヶ所に集まります。産卵場所は、流れの緩やかな浅い砂利底の川です。メスが砂利底を掘って産卵し、オスがその上に放精します。メスは、産卵後も死にません。メスをめぐる競争で、優位に立つのが体の大きなオスです。大きなオスは、ライバルのオスを追い払います。

 【生態】 

  イワナの寿命は、だいたい5〜6年くらいです。適水温は、10〜15度くらいで、かなり冷たい水を好みます。神経質で、用心深く、警戒心が強い魚です。反面、以外と図太く、鈍感な面も持ち合わせています。しかし、獲物に対しては、きわめて貪欲です。イワナは、流れてくる餌を待つため、通常、上流を向いています。ヤマメよりは、捕食動作が遅く、餌取りは苦手です。そのため、餌が取りやすい流れの遅い所を好みます。 

 【隠れ家】

  イワナが、潜む条件は、捕食エリアと、隠れ家が確保されていることです。イワナも休息したり、敵からは身を隠さなければなりません。隠れ家とは、身を隠せる岩や倒木などです。イワナは、泳ぐのが得意ではありません。そのため、物陰に隠れることを好みます。隠れるのは、逃げるためだけではありません。隠れ家からいきなり飛び出して捕食するためでもあります。そのためには、良い場所を確保しなくてはいけません。大きな個体は、自分の縄張りを持ち、侵入者を排除します。 

 【障害物】 

  イワナは、よく石を釣れと言われます。石の周りが捕食場所になるからです。水面から突き出した大きな石や岩があれば流れは分かれます。その後ろや周辺に発生するのが緩い流れです。その緩い流れには、よく餌が集まります。沈んでいる石の場合も同様です。イワナは、そうした流れに変化が起こる場所を好みます。 

 【淵】 

  イワナの棲家は淵です。だいたい、そこを中心に生活しています。またイワナは、低水温を好む冷水魚です。夏場は、直射日光を避け、淵の日陰が出来る所にいます。直射日光が当たれば、水温が上がりすぎるからです。いくら冷水魚といっても、水温が低すぎる時は、活動出来ません。水温の低い時期は、淵の底にじっと潜んでいます。底の方が、水温が安定しているからです。 

 【適切な流れ】 

  魚には、それぞれ適切な流れがあります。適切な流れとは、早すぎず、遅すぎないことです。イワナは、ヤマメに比べると比較的緩い流れを好みます。緩い流れを好むのは、泳ぎが得意ではないからです。イワナは、どちらかと言えば川底の方で暮らしています。これは、川底に潜み、そこで流れてくる餌を待ち構えるためです。 

 【酸素量】 

  魚が生きていくためには、水中の酸素が必要です。イワナは、水中に含まれる酸素の量が多い所を好みます。水中の酸素量が多いのは、強い流れの所です。流れが強ければ、泡が立ち、水が絶えず入れ替わります。例えば、渓流の瀬や落ち込みなどです。そうした場所は、水中の酸素量が多いので、イワナの活性は高くなります。落ち込みとは、落差のある所のことです。その落差が大きいのが滝と呼ばれます。落ち込みの下は、餌が集まり易く、また身を隠すのに最適です。イワナは、特に「巻き返し」と呼ばれる両脇の流れが反転している所を好みます。

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