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内水面の漁協

【漁協】 
 本来、自然の川は、誰かのものではなく公共のものです。しかし、河川や湖などで釣りをする場合、漁協という団体からお金を取られることがあります。日本の川は、河川改修などの「環境破壊」によって、魚が住みにくい状態になりました。そのため、魚がいなくならないように「増殖」や「管理」などを行っているのが漁協です。漁協の正式名称を「漁業協同組合」と言います。漁業協同組合は、各都道府県の知事によって、正式に認められた団体です。その構成員を「組合員」と言います。 

 漁協の目的は、河川に魚がいなくならないようにすることです。そのため、魚を増やす「増殖義務」を負っています。増殖することができるのは、県によって認められた魚だけです。ちなみに、環境に悪影響があると判断された魚は、増殖させることが出来ません。例えば、在来種を食い尽くす可能性があると判断された「外来魚」などです。その場所、増殖ではなく、逆に駆除されます。 

 【環境整備】 
 魚を増やすには、魚が住みやすい環境でなくてはいけません。そのために「魚道の整備」や「産卵場」が作られます。魚は、産卵をするために移動しなくてはいけません。その移動を阻害するのが堰堤です。漁協は、その堰堤の建設中止などの要求も行なっています。ただし堰堤は、人間にとっては必要なものです。そのため、双方の利害関係を調整しなくてはいけません。また、漁協には、釣り場を整備をする「管理団体」としての役割もあります。例えば「ゴミの清掃」「草刈り」邪魔な「木材の伐採」などです。それによって河川の景観が保たれています。
 
【運営費】
 漁協は、都道府県知事によって、自分たちが管理する「漁場」の魚を捕る権利が認められています。その権利が「漁業権」と呼ばれるものです。漁業権は、一般の釣り人にも、一部解放されています。ただし、その場合、釣り人は、漁協に「遊漁料」を支払わなくてはいけません。そもそも、漁協の運営費は、一般の釣り人から徴収した遊漁料収入です。運営費は、それ以外に市町村や「河川環境作り推進事業」による補助金などもあります。漁協は、釣り人から遊漁料を徴収した場合、魚を増やさなくてはいけません。そのために行うのが放流事業です。
 魚の放流量は、決められており、放流する魚も「稚魚」「卵」「成魚」の時と3パターンあります。放流は、短時間で行われるため、なかなかお目にかかれません。漁協の運営費用の大部分は、魚の「放流費」と釣り場の「管理費」です。その他「監視員の費用」「組合員の研修費」遊魚券や釣り場案内所のパンフレットなどの「作成費用」新聞、ホームページによる「宣伝費」などに使われています。  

 漁協の仕事は、魚の増殖に関することだけではありません。地域社会に貢献する公共的な役目も担っているからです。例えば、魚のつかみ取り大会や、釣り大会などのイベントを行っています。漁協の構成員は、基本的に地元の釣り人です。彼らは、ほぼボランティアとして、川を守り、魚を保護してきました。そのため、自分たちの川と言う意識が強く、排他的ともされています。近年、組合員の高齢化などにより、その人数は減少しました。

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