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シュメール人


【シュメール人】 

  シュメール人は、丸顔、濃い眉毛、大きな目、太い鼻梁という身体的特徴がありましたが、その民族系統は不明とされます。シュメールとは、「黒い頭の人々」という意味です。BC3000年頃、メソポタミア文明の南部、シュメール地方「現在の南イラク」において、メソポタミア文明の基礎を築きます。シュメール人は、賢く創造性があったので、様々なものを発明しました。発明品は、車輪、帆船、ろくろ、色彩陶器などです。 

 【農耕と牧畜】 

 シュメールは、農耕と牧畜に基礎を置く社会です。農耕民であるシュメール人は、麦「大麦、小麦」や「なつめやし」を栽培していました。麦からは、ビールが醸造されます。人類最古のビールを発明したのは、シュメール人です。農耕によって、60進法、週7日制、太陰暦などが発明され、灌漑「かんがい」などの治水技術を発展させました。牧畜では、牛、豚、山羊、羊などを家畜化させます。農耕や牧畜によって、農村が作られ、定住するようになりました。 

 【都市国家】 

  農村の共同体が発展して生まれたのが都市です。数々の都市国家が生まれ、メソポタミア文明の土台を築きました。シュメール人は、最古の都市文明を築いた文明人です。都市は、農耕によって支えられます。農耕による安定的な食糧確保が、専門的な職業に従事する職人を養うことを可能にしました。この職人によって、都市の生産率は向上します。 

  しかし、シュメールには、木材、石材、鉱物などの資源がありませんでした。独自の貿易運搬ルートを築くため、都市には、網の目上に運河を張り巡らせます。しかし、利害の対立などから、都市同士の争いが起こりました。そこで発達したのが、城壁、ロバの戦車、槍武装の密集集団などの先進的な軍事技術です。 

  首都の「ニネベ」は、農耕経済の始まりの地とされます。「ウルク」は、シュメール最古の都市であり、当時世界最大の都市でした。ウルクの別名は、愛と戦争の女神である「イナンナ」です。「ウル」は、シュメール文化の中心都市であり、アブラハムの故郷とされます。 

 【文字】

  シュメール人が発明した楔形文字は、人類最古の文字です。オリエント世界において、ペルシャまで続く、共通の文字となりました。しかし、それは、どの言語系統にも属さない孤立した言語だとされます。楔形文字は、絵文字から発展した表意文字です。文字は、複雑な作業を可能にし、コミュニケーションを拡大させました。文字を媒介すれば、精神世界も探れるよになります。「ギルガメッシュ叙事詩」のような文学も書かれました。 

  また文字は、経済とも関連します。商取引の記憶を残すために、粘土板には、文字が刻まれました。取引の契約に使用されたのが、円筒印章です。シュメールは、契約によって管理された契約社会でした。 

 【政治】 

  シュメールの王は、宗教的指導者である最高神官も兼ねます。国家は、王を中心としたピラミッド型の中央集権的な社会でした。人々を結びつけるシンボルとして築かれたのが「ジッグラッド」と呼ばれる神殿です。 ジッグラッドは、天日干しレンガで作られた、7層の建築物であり、都市の中心部に築かれました。ジッグラッドは、天と地を結びつける聖山であり、神の住み家とされています。シュメールの社会においては、政治と宗教は、まだ分離していませんでした。

 【宗教】 

  シュメール人は、どちらかと言えば厭世的です。シュメールの神話では、人間は、神のために働く存在として、エアによって土から作られたとされます。エアは、自然界に宿る神々の一人です。シュメール人は、自然の神を守護神としていました。 シュメール人の世界観は、天、地、地下からなる三層構造です。地下には、人間を食う川が流れていました。これは、日本でいう三途の川のようなものです。死者は、ここを渡り、冥府に降りました。冥府は、「暗黒の家」と呼ばれる乾燥した世界です。死者は、鳥の翼を衣にし、塵、粘土を食物としていました。


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