七福神の寿老人

【寿老人】 
 寿老人は「長寿」「延命」を司る中国由来の神様です。人々に「長寿」や「健康」を授けてくれる「不老長寿」の神様とされています。年齢が、1000~1500歳くらいと、寿老人自身もかなりの長寿でした。また、長寿である樹の生命力にちなんで「樹老人」と書く場合もあります。
 寿老人は、身長90センチの小さな老人で「白髪」「長い頭」「長いヒゲ」が特徴です。ちなみに、古代中国では、頭が大きいほど知恵者とされています。寿老人の頭も、大きくて重かったので垂れ下がっていました。その様子は、人に頭を垂れる謙虚さの象徴だとされています。寿老人は、仙人のような風貌でした。仙人とは、俗世間を離れ、山中に隠棲して、修行を積んでいる者のことです。修行の結果「空中飛行」や「不老不死」などの術「神通力」を体得しているとされています。

【水墨画】
 寿老人は、水墨画の画題として、よく描かれました。その持ち物は「杖」「巻物」「団扇」「瓢箪」「桃」などです。団扇や軍配には、難を払うという意味があり、瓢箪には、不死の霊薬が入っていました。桃は、中国では「長寿」や「若さ」の象徴とされています。それを食べると不老不死の仙人になれるとされました。
 寿老人の従者とされるのが「鹿」や「鶴」です。「鹿」は「長寿」や「調和」のシンボルとされています。寿老人の鹿は「玄鹿」と呼ばれる1500歳の牡鹿です。その肉を食べると2000歳の長寿を得るとされています。

【南極老人星】 
 寿老人の別名は「南極老人大帝」や「南極老人星」です。南極老人星は、南極にあって人間の寿命を司る赤い星とされています。そのため、人々は、南極老人星に長寿を願いました。南極老人星は、地平線に見え隠れする星です。この星が現れると天下が安泰になり、縁起が良いとされました。そうした考え方は「星辰信仰」に由来しています。星辰信仰とは、星や日月を崇める信仰のことです。一説では「老子」が昇天して南極老人星になったとされています。老子とは、道教の祖とされる人物です。

【七福神】 
 七福神は、室町時代に始まった民間信仰です。なぜ七人になったのかは、諸説あります。有力なのが「七難即滅、七福即生」という仏教の言葉か、道教の「竹林の七賢」に由来するという説です。七福神が、現在の形になったのは、江戸時代なかば以降だとされています。そのメンバーは、常に一定ではありませんでした。例えば、寿老人と福禄寿を同一視することがあります。その場合、寿老人を七福神としては扱いません。寿老人の代わりに、七福神に入る候補は2人います。その2人とは「猩猩」と「吉祥天」です。

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