シン・ウルトラマン感想。シンゴジラほどのキレはなく、あくまでウルトラシリーズの新作。82点

はじめに

シンウルトラマンの超ネタバレだよ。



結論感想

ウルトラマンへの愛でウルトラマン(初代、ゼットンまで)を今風にリメイクした作品。徹頭徹尾ウルトラマンであり、ウルトラマンのソフビを握りしめていたおっさんにはぶっ刺さる映画なんじゃないだろうか。俺はシンウルトラマン制作決定の報をうけてからウルトラマン~新マンを履修したようなオタクなので刺さらなかった。

ドントルックアップのような終末論的なものや、上の決定や利権で全てが決まってしまう庶民の無力感(コロナだろうか?)は軽く描かれているが、作中でその答えは「ウルトラマンがなんとかしてくれる」になっている。でも俺たちにはウルトラマンいねーから。
82点

詳細

ウルトラQのタイトルロゴの代わりにシン・ゴジラのロゴが溶ける。作中で言及されるが、この世界はマルチバースであり、シン・ゴジラもその系譜なのだろう。配役が一部被ってるのもそういうこと。

原作ウルトラマンからの変更点として、地球になぜか宇宙怪獣(外星人の生物兵器)が埋まっていて、人類の環境破壊によりそれが目覚めるところから始まる。マクロスっぽいな。そしてこれらの生物兵器を自力で撃退したことで、地球人が外星人から目をつけられる。

次に、見た目の似たコンパチ怪獣が4体ほど登場するが、これは外星人0号メフィラスが地球人を支配するためにウルトラマンに怪獣と戦わせようとまいた餌だった。首と胴体の組み合わせで性能が変わる生物兵器という解釈は、当時の原作ウルトラマンの怪獣がゴジラにエリマキをつけたり工夫していたことからだろう。

ウルトラマンは原作と同じく、自分が初めて飛来したときに巻き添えにしてしまった神永と融合するわけだが、融合前はウルトラマンのボディカラーは銀色である。そう、ウルトラマンの赤い色は、人類と融合してとりいれた血の色なのだ。作中でゾフィーが登場するが青色だ。(そこは銀色じゃないんだ?と思ったけど。)

長澤まさみがケツをパチンパチン叩いたり、3日風呂に入ってない体臭をウルトラマンにクンクンされたりと子供が喜びそうなネタもウルトラマンっぽい。

ただ、2時間弱に詰め込んだ映画で、怪獣、ザラブ星人、メフィラス星人、ゼットンと全部やるのであまりにもポンポン話がすすむ。

ラスト、「ゾフィーがゼットンを操っている」という1960年代の誤植?適当な創作?を採用して、ゼットンは「光の星の天体破壊最強自律生物兵器」ということになる。これもウルトラマンメタバースならではだし、当時の誤植?もメタバースを認知して書いたということになろう。

「人類はこのまま進化すると我々のようなレベルに至るかもしれない」とゾフィーが言うあたり、どうも光の星は最強らしい。「その前に人類を処分しよう」といって太陽系をまるごと蒸発させるようなゼットンを普通にポイッて投げて使うのは、まんま三体の太陽系破壊次元兵器だった

気軽にポイッで人類を滅ぼそうとしたくせに、ウルトラマンが勝手に人類にベータカプセル理論を授けたりゼットンを破壊したりしても全く意に介さず「わかったわかった、じゃ、人類は見逃してやっから。光の星かえろっか」というのは笑ってしまう。いや、原作もそんな感じだったとは思うのだが。

庵野秀明作品ということなら、ウルトラマンの集団と外星人が戦争してるとか、そういう大胆なものを見たかったが、あくまで原作をすっかり踏襲し、今風にアレンジしただけの作品だった。

滝くんが最後オタクパワーとPSVRでゼットンをなんとかしたが、シン・ゴジラのようなカタルシスはない。まるでビッグバンセオリーのシェルドン・クーパーがなんとかしてくれたようなものだ。

また、終末が訪れても努力せず諦めてしまう人類を、この映画ではウルトラマンが助けてくれたが、重ねていうが我々にはウルトラマンはいない。そう、ウルトラマンがいなかったから、コロナで我々は苦しんだし、ウクライナで戦争はおこってるし、それらはどうしようもないのだ。ある日突然、世界がゼットンの炎に焼かれて、それと知らないままに我々は滅ぶのかもしれない。ウルトラマンはいないのだから。そんなこといわれてもおもしろくないよー

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