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ユダヤ教の特殊性
ユダヤ教は、滅びた国の宗教です。普通なら、国とともに消滅してもおかしくなかったのです。ですが、他の民族とはちょっと違った受け止め方が、この宗教を今日まで生き永らえさせたのです。
国同士の争いは、多くの場合、敗者の宗教を根絶します。もちろん、占領地の宗教に寛容だった帝国もなかったわけではありません。ですが、多くの場合は自壊していきます。それは、自分たちの信奉してきた神には、自分たちを守るだけの力を持っていなかった、つまり崇拝するに値しなかった、と考えるからです。
ですが、ユダヤ教徒たちは、これとはまったく逆の理解をしました。自分たちの神に力がないわけではない。何故なら、この世界とあらゆる生き物を創造したのは彼らの神にほかならず、他の神は皆まやかしに過ぎないのだからと。では何故、自分たちはこんな責め苦にあっているのか? それは他でもない、私たちが私たちの神に背き、神から見放されたからなのだと。
国が敗れ、指導者たちが捕囚の憂き目に会った時期に、こう自省することによって、ユダヤ教は命脈を保ったというわけです。