ひとつください
僕らの新婚旅行は北欧だった。フィンランドとスウェーデン。そっち方面のアーティストが好きな自分にとっては憧れの国であり、またはじめての海外でもあった。
一方、妻は結婚する前から年に1回くらいのペースで海外に旅行にいっている。学生時代には1ヶ月ほどではあるがイギリスにホームステイもしていたし、僕よりは断然海外慣れはしている、と思っていた。
フィンランドもスウェーデンもそれぞれの言語はあるが英語圏ではあるので、普通に旅行する分には英語で会話ができる。
先に書いたとおり、僕は海外は初めてではあるものの、たいして自慢にもならないが、僕は経験がないわりには困らない程度には会話ができた。
一方妻は多少なりと海外に出て英語を話す経験はあるものの、さほど達者というわけではない。が、経験は多いので、チップを渡す文化になれているとか、店にはいればHelloと挨拶しないと不審がられるとか、そういうことはよく知っている。
フィンランドでは天気に恵まれ、街を歩くだけでも楽しい。ヘルシンキで美しい建物をぶらぶらして見ながら、有名なマーケットを目指して海の方へ。
果物や野菜がならぶお店を横目にアイスクリーム屋を見つけた。ほどよく暑い時期、そして天気だったのでアイスを買うことにした。
海外だと量もいまいちわからないし、とりあえずひとつだけ頼むことに。
Hi.
お店のおばちゃんに声をかけて、見慣れた単語の種類を選ぶ。
ほしいのはひとつ。ここでの買い物は妻に任せた。
妻「this ... ひとつ!」
店員「...?」
妻「ひとつ!」
店員「(怪訝な顔)...?」
妻「(なんで通じへんの)ひとつ!」
僕「Just one, please.」
無事にアイスをひとつ買えた。
明日の元気の素になります。