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2022年テーマ学習を振り返って

ヒロックのシェルパは、学びの旅をより魅力的にするために、テーマ学習に取り組んでいます。

ヒロックは「福利を広げていく」学校です。自分に必要なことはひとりひとり違う。だから自由進度学習やマイプロジェクトを通じて自分に必要なことを身に着けてきました。

しかし、同時にシェルパが「どうしてもこれは人生の中で触れてもらいたい」と考えているテーマをコゥ・ラーナーたちが学んでいくことも大切にしています。

2022最初のテーマ


最初のテーマとして、「食」を選びました。というのも夏に大月へキャンプに行くことを決めていたからです。自分たちで野菜を育てる方法を知ったり、調理する方法を探究しよう。そんな切り口でスタートしました。

自分たちで野菜を育てるとは言っても、「ヒロックは畑を持っていない」「でも野菜を育てたい」「部屋の中で野菜を育てるにはどんな方法があるか」そんな議論からはじめます。

多くの学校は「栽培キット」を学校が購入し、一律で朝顔やミニトマトを育てる活動をしますが、ヒロックではそういったことはしません。最初から大人に必要なものを揃えてもらうことで失われる学びがあると考えるからです。
自分たちでギリギリできて、効果がありそうな方法を考える。それがヒロックの探究の流儀です。その結果、こんなことをコゥ・ラーナーは調べました。

具体的なプロジェクトとして、スポンジとタッパーを使って水耕栽培を始めました。


水耕栽培のやり方を詳しく知りたいコゥ・ラーナー。
図書館から借りてきた水耕栽培の本を読んでいました。

水耕栽培のやり方を知ったら種を用意することになりました。ここも学びの機会です。ほしい種がどこに売っているかを調べた結果、近くのスーパーの二階にあることを突き止めました。

はじめて、みんなで買い物に出発です!



種を購入するとき、コゥ・ラーナーたちは「これなんて読むの?」「夏に植えるといいやつじゃない?」といった疑問を持ちました。結果、その時に買わず、書かれている意味を調べて次回買うと決めた子もいました。「もっと調べてから行けばよかった!」「いや、行ったから調べたいことが見つかったんだよ」学びのいいジレンマを象徴する会話です。
食というテーマをきっかけに文字やお店の仕組みを学ぶ。生きた学びです。


スポンジの上に種を置く

毎日の観察を記録することで、良い探究は細かな観察から生まれることを学びました。

「良い探究は細かな観察」

残念ながら、植物は3連休に最終的に枯れてしまいました。自然相手の探究。狙い通りいくことばかりではありません。しかし、それも大きな学び。

「秋に植えてみよう」「5月からテーマ学習はじめたから夏が近かった」「次は春になる前に用意しよう」振り返りをしながら次のテーマに移りました。


「コンロの使い方を覚えたい!」


「美味しい目玉焼きは何分焼けばいい?」

栽培には失敗したけれど、「食」というテーマに「料理」という角度で向き合うコゥ・ラーナー。身の回りには学びが溢れいています。

「ヒロックに泊まろう!」では人数分のお味噌汁を作る一幕も。

自分で作ったものを自分で食べる。分量、必要な具材、調べて、考えて、試して。一つ一つに学びがありました。


2022年度のテーマ学習


食から始まったテーマ学習ですが、公共の施設で火を起こすような活動をしたり、空気を使った実験をしたり、みんなで美しい六角形を作り、ハニカム構造の強度を確かめる実験も行いました。



空気を送って火を起こします。一生懸命!


ハニカム構造の力を実感!


見にくいですが、ビニール袋の気球を飛ばしています。


一方で、高いレベルの成果物を作り上げた経験はまだ少なかったです。例えば、3ヶ月かけた映像プロジェクトは完成間近で頓挫してしまいました。


体調不良の子で休んだ子も「どうしても」でリモートで動画づくり。


ヒロックのすごいところをまとめたスライド


しかし、成功も失敗も経験することによって、私たちはテーマに対してより洗練された関わりを築くことができると信じています。

今後は、テーマ学習を刷新し、新たなアイデアを取り入れていきます。このアプローチは、元々IB(国際バカロレア)からの発想ですが、学年ごとにコンセプト(体験/ワイルド、抽象化/アカデミックなど)を変えていく可能性もあります。


テーマ学習は、シェルパとコゥ・ラーナーたちの共同探究の旅です。私たちは失敗も成功も自分の学びに転換し、「幸せになる力」をつけていきます。


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