12/21 サンダルと紐靴について
今年を振り返ると、季節に関わらずサンダルを履き続けていた。秋と冬は靴下を履いてその上にサンダルを履き、春と夏は普通にサンダルを履いていた。特にこだわりがあるわけでもなく、単に楽だからだ。僕は家を出るとき遅刻気味のことが多いので、急いで出れるサンダルを選ぶことが多かった、というのも大きな理由かもしれない。加えて、黒い服を着ることが多かったので足元はカラフルなものにしようと思っていたというのもある。
そして靴紐を結ぶのが比較的得意ではない、というのも理由の一つだ。僕は歩いているとすぐに靴紐がほどける。キツくかたむすびをしてからちょうちょ結びをするとか、色々工夫もしてみたがどうにもならない。足の甲がすごく分厚いのかもしれない。なら仕方ない。
歩いている時に靴ひもがほどけると、道の途中で立ち止まって脇にはけ、そこで靴を結び直さなければいけない。当然、他の通行人はどんどん僕を追い抜いていく。僕はこれを、人生の比喩っぽいなと思う。
皆と同じ靴紐のある靴を履いて歩いていたとする。しかし自分だけ靴紐がどんどんほどけていく。色々試してみてもすぐに解け、立ち止まって結び直す羽目になる。するとどんどん追い抜かれる。誰かと一緒に歩いていても、置いて行かれてしまうか、待ってもらうことになる。そのうち待ってもらうのが申し訳なくなり、気づかれないようにこっそり、急いで靴紐を結び、走っておいかける。走るからまた解ける。そこで、サンダルを履いてみる。サンダルには靴紐が無いから皆と同じペースで歩けるようになる。しかし、皆が決まった時期しか履かないサンダルを一年中履き続けるというのは、皆と違う選択をすることで、それには当然、それに伴う皆とは違う問題がある。たとえば雨だと足がすごく濡れるとか。
しかし、紐のある靴を履いて歩こうとすると皆から置いて行かれてしまうなら、サンダルを履いて歩いた方がいいだろう。
最近、就職や進路選択の話を聞くことが多くなった。大学からも就活セミナーや面接練習の案内が届く。靴紐をちゃんと結べるようになれというメッセージだ。同世代の人間の多くにこのメッセージが届いている。
最近、進路の話を数人でした。その中の一人は「大学院に進みたい」と言い、もう一人は「NSCに入って芸人になりたい」と言っていた。二人は自分のことを、僕の言葉を使えば「今まで靴紐のある靴を履いてきた」と言い、そしてここで「サンダルに履き替えよう」としている。
さっき僕は「紐のある靴を履いて歩こうとすると皆から置いて行かれてしまうなら、サンダルを履いて歩いた方がいいだろう。」と書いた。しかし、置いて行かれてしまうのでなくても、サンダルに履き替えても構わないのだ。紐のある靴を履いても途中でほどけず、皆と同じペースで歩ける。でもこれからはサンダルを履いて歩きたいから、冬でも雨でもサンダルを履くことに決める。そういう人もいるし、それが可能ならしても良いだろう。
皆、最後にはどうするんだろう。左足にサンダルを履いて、右足に靴紐のある靴を履く、そういう人もいるかもしれない。僕もどうしようか考えている。
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