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OpenPoseやControlNetのソフトウェアライセンス関連のまとめ

こんにちは!Hi君です。
本日はOpenPose及びControlNetのソフトウェアライセンス関連について、まとめてみました。

はじめに


OpenPoseという著名なポーズ認識用ツールがあることはご存知かと思いますが、CMUのOpenPoseは非商用ライセンスになります。
(商用の場合は約250万円/年のライセンス料が発生します)

参考1:関連Twitter

参考2:マイケル・ジョーダンのすごさを過去の放送映像からAI解析

一方、Stable Diffusionで多く用いられているControlNetにも「OpenPose」機能があります。
こちらはApache-2.0 license (商用可ライセンス)です。

ControlNetは利用上、ライセンス料が発生しないのか??については、さまざまな意見がありそうですが、現状明確な答えを出すことは難しそうです。

ライセンスに関する関連ツイート:

ライセンス料が発生しない場合(仮定)

せっかくなので、もしライセンス料が発生しなくて済むとしたら…という前提で論拠を並べてみようと思います。

  1. OpenPoseそれ自体に特許や商標等が取られている訳ではない、ということが大前提としてあります。また、CMUのOpenPose実装とControlNetのOpenPose実装は大きく異なります(少なくともコピペではありません)。

  2. lllyasviel/ControlNetでのOpenPoseは、基本的にpytorchベースのスクラッチ実装です。(CMU-Perceptual-Computing-Lab/openposeはCaffe実装)

  3. 完全に同一な入出力である場合(つまりアーキテクチャや重みパラメタが完全に一致していて、モデルの完全な「翻訳」と高い確率で言える場合)を除けば、一般的なOSSソフトウェアライセンスの観点では、著作権上問題はなさそうです。
    実装が大きく異なり、CMUの方は改造がそれなりに難しいコード構成であるため、そのような形である可能性は低いです。(lllyasvielが自前で学習したモデルである可能性が高い)
    ※自前で学習したモノであれば、OSSライセンス的な視点で権利に抵触する事はないという認識です。

つまり、OSSというよりは、ニューラルネットモデルとしての著作権的視点が問われるかと思います。例えば、同じデータ・同じアーキテクチャで学習したモデルだったとしても、内部パラメタが結果的に異なるケースの扱いは、少なくとも日本の法律上の範囲内では問題ないと言えます。
参考:AIの「派生・蒸留モデル」の生成は著作権侵害?弁護士が5分で解説

国外のDNN関連の著作権の扱いについては、情報がほぼないためよくわかりません。
ただ、将来的にCMU側からlllyasviel/ControlNetに対してライセンス変更を依頼される可能性は非常に低く、相当論拠が明確な場合を除けば問題になる可能性は低いのではと考えています。(実装やパラメタが大きく異なるためです)
以下では、違うリポジトリの文脈にはなりますが、同じような見方をしている人がいます。

ライセンス違反となった場合の影響範囲等

  • ControlNetのOpenPose機能

  • Open Pose Editor(lllyasviel/ControlNetのモデルを流用しているため。但しモデル利用部分の機能除去は容易)

商用利用可能なケース

では、ネットに落ちてるOpenPose出力データの流用の商用利用は可能か?に関して、前述の論拠を元とするならば、ライセンス料は発生しない可能もあります。

その他メモ

念を入れると、T2I-Adapter等のOpenPoseではない商用利用可のポーズ認識フレームワークを採用したツール(T2I-Adapterはmmpose)を利用するのが安全です。
現状利用しているControlNetやOpen Pose Editor等について、OpenPoseモデルから何か別のモデル(posenet等)で置き換える事自体は難しくなさそうです。

今回はなかなか難しい議論でしたね。ライセンスの商用利用に関しては、必ず最新の情報を確認して判断することをおすすめします。
次回は「ControlNet v1.1を用いた表情制御」についてまとめてみますので、お楽しみに!

文:Hi君
協力:inaho株式会社

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