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x/e-断片


弱いひとへ 5

 では、どうすれば良いのか。
 忘却。それはひとつの方法だろう。ただがむしゃらにやる。日々をこなす。
 なにかを、書いてみる。わかるまで。あるいは、意識する。わかるとは遠い、海の向こうの国の、ひとつの標識のようである。しかも、それは夜。きっとわからないのだ。しかし、わかるという標識があるから行動をしようとするし、そのために身体も学習をするから、あるいはそのときに、わかるのだ。
 それすらも考えるな。そんな声も聞こえる。日々忘却して汗をかけ。振り返らず。省みず。それがいちばん楽なのだから。たしかにそうだ。それがいちばん弱いひとの生命には安全かもしれない。

舎人風景 7

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