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22-23シーズンバルセロナ 4人のMF同時起用の経緯

以前Twitterにあげたものを一部加筆して転記します。メモ用に。

ペドリ、ブスケツ、フレンキー、ガビ。
現チームにはワールドクラスのミッドフィルダーが4人在籍しており、シャビバルサにおいてはガビ(もしくはペドリ)をウイングに置いて4人を同時に使うのが恐らくシャビの中での最終的なベスト布陣だった。

22-23シーズンバルセロナ基本布陣

4人を同時に使うメリットは、以下の通り
①フレンキー、ガビ、ペドリをそれぞれ得意なゾーンで使える
②ボール保持が安定する
③配置に流動性が生まれる
④4人の即興性でチャンスが生まれやすい
⑤ガビ左ウイング起用によるシンプルな守備強度の向上

ボール保持時の基本配置

特に④と⑤が重要で、特に崩しの局面においてあまり秩序のないシャビバルサにおいて技術の高い選手同士の即興とトランジションの強度は生命線。崩しの核であるペドリとトランジションの核であるガビを2列目に並べたことで、遅攻と速攻の両方を成立させる効果がある。

スーペルコパの3点目はまさにガビのアグレッシブネスがゴールに直結した好例。低い位置ではなくウイング使うメリットが大きく出ている。 また、フレンキーを明確に配給役にすることでペドリをライン間で勝負させることもできる。フレンキーにとって3列目左は庭。

しかし、意外なことにこの4人が先発で出揃ったのはここまで僅か9試合しかない。 その9試合の戦績は9勝。18得点1失点。
対戦相手はビルバオ、アトレティコ、ベティス×2、マドリー、ソシエダ、ジローナ、セビージャ、オサスナ。

国内の上位陣に対して結果を残している4人同時起用であるが、散々な結果に終わった欧州カップ戦においてはこの4人が揃い踏みすることはなかった。 勿論、揃っていればバイエルンやユナイテッドに勝てた!というほど甘いものではないが、見てみたかったのが本音である。

ちなみにバイエルンとの2戦目とユナイテッドとの2試合はいずれも4人の中盤の選手がピッチに立ったが、ブスケツ、ペドリ、ガビがそれぞれ不在であり、ケシエやセルジ・ロベルトがその代役を務めることになった。力量もそうだが、タイプが違う選手なのでチームの機能性を保つのは難しい。

同時起用スタートは第11節ビルバオ戦。

当時の状況を振り返ると、バイエルン、インテル、マドリーと対戦したビッグマッチ4戦で1分3敗。同格以下の相手には堅実に勝つもののビッグクラブに太刀打ちできない状況だった。シーズン当初はデンベレとラフィーニャが両翼で使われていたが、これが渋滞を生んだ。

第9節クラシコスタメン(●1-3)

デンベレとラフィーニャはどちらも右サイドを好む上に、大外に張り付いてボールを受けるようにデザインされていたため、盤面が硬直。外回しのボール回しが増え、最終的には大外から率の低いクロスを浴びせるだけの淡白な攻撃に終始する傾向があった。デンベレ、ラフィーニャの併用には無理があったのが正直なところ。

そこでビルバオ戦でシャビは手を打つことに。ここで初めて該当の4人を同時起用。ガビが前半33分で負傷退場を余儀なくされるが、その時点で3-0と大差がつく圧倒ぶり。智将バルベルデが率いるビルバオを完膚なきまでに叩きのめしたのは中央のスクエアのパスワークだった。

第11節ビルバオ戦スタメン(〇4-0)

シャビの中でも手応えがあったのだろう、ガビの代わりに投入したのは前線の選手ではなくケシエ。4人の中盤を維持することを選んだのである。ちなみに当時は、ガビではなくペドリが左ウイングを担当していた。次戦はバイエルンとのCL突破をかけた決戦だっただけに期待は高まった。

ご存知の通り、バルサはリターンマッチで0-3の大敗を喫する。この試合ではビルバオ戦で負傷したガビに代わって引き続きケシエが起用された。が、ガビがいたとしてもあの時点でのバルサがバイエルンに勝つ確率は高くなかったと思う。守備陣があまりに脆弱だった。レギュラーCBのアラウホクリステンセン不在。SB、懐かしのベジェリンだし笑

CLグループステージバイエルン戦スタメン(●1‐3)

その後W杯までは大事を取ってガビはほぼ先発で起用されず。 4人同時起用はビルバオ戦から2ヶ月以上待って、年明けのアトレティコ戦となった。レバンドフスキを出場停止で欠く厳しい状況だったが、何とか1-0で勝利。内容は褒められたものではなかったが中盤のボール保持が安定したことは特筆すべき点。

その後のスーペルコパ準決勝、決勝も同様に4人を同時起用したバルサはシャビバルサ初タイトルを掲げることになる。 サウジアラビアでの開催だったとはいえ、真っ向勝負でマドリーに勝利したことは大きな自信に繋がったと思う。

スーペルコパ決勝クラシコスタメン(〇3‐1)

20節セビージャ戦までは4人の起用がメインに。(デンベレラフィーニャの両翼も2試合あったが、まあ高額で取ってきた分ラフィーニャを使わないのも角が立つという事情もあったと思う。ラフィーニャのマネジメントにも気を遣っただろうし。) あと、4人の代わりにケシエやセルジを入れても…というのが本音だったのでは。

そしてそのセビージャ戦でブスケツが負傷。戻ってきたと思ったら入れ替わりでペドリが離脱。ユナイテッド戦2ndレグではガビまでサスペンションでいないという状況で2列目はケシエとセルジが務めることになり、惨敗。層の薄さを思い知らされる結果となった。

ELプレーオフ2ndレグユナイテッド戦スタメン(●1-2)

シーズン最後の山場となったクラシコ3連戦。1戦目はモウリーニョもびっくりのど根性ドン引き作戦でウノゼロ勝利。2戦目となったリーグ戦での闘いはセルジ・ロベルトが素晴らしい働きを見せて勝利。しかしペドリに加えてフレンキーを失った3戦目でボロが出て0-4の大敗。後味悪く今季のクラシコを終えた。

その後のリーグ戦で4戦で僅か1勝しか挙げられない(その1勝がアトレティコ戦だったのが救いだった)という状況であった。 そして満を辞して、32節ベティス戦で例の4人が再び揃い踏むことになった。ここでバルサは4-0の大勝。相手の緩さに助けられた部分もあるが、タイミング的に偶然ではないと思う。

第32節ベティス戦スタメン(〇4-0)

と、ここまでざっと今季の流れを書いてきた。個人的には4人の同時起用はワクワクしたし、非常に理にかなってきたと思う。冒頭で述べた通り、このメンバーで欧州カップ戦も戦えたら結果は変わらないにしてももっと前向きな内容にはなったのではないかなと思ったり思わなかったり。

ただ誰か1人でも欠けると厳しくなるっていう陣容だとリーガは獲れても層的に欧州で勝つのは難しかっただろうなとも思う。実際問題、欧州カップ戦で早期敗退したからこそリーガに集中できたという側面は見逃せない。なので来季はどんどん層を厚くしていきたい!っていうのが財政的に可能なのかどうか。

1つ確かなことは、もうブスケツ、ペドリ、フレンキー、ガビの4人で欧州のビッグクラブとガチンコでやり合う画はもう見れないということ。これが残念。なので記念にということでこの4人の記録を残したくてスレッドとしてまとめておきました。来季、フレンキーの相方どうするんだ本当。

終わり。


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