言語判定法を使って美術家が書いた日本美術史


本書の成り立ち

出版社のアルファベータブックスの結城加奈さんから、次の様なメールをいただいた。
  オーラル・ヒストリー・アーカイブ、公開の翌日に拝見いたしました。

日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴhttp://www.oralarthistory.org/archives/hikosaka_naoyoshi/interview_01.php

http://www.oralarthistory.org/archives/hikosaka_naoyoshi/interview_02.php

http://www.oralarthistory.org/archives/hikosaka_naoyoshi/interview_03.php

読了まで3日ほどかかりましたが、とても貴重なお話で、彦坂さんの精神史にもなっており、ぜひ、本にさせて頂きたいと考えておりました。
  と同時に、文章の中で「日本美術の把握の必要性」、「日本の美術史を知らなければダメ」という言葉を拝見しまして、彦坂さんの日本美術史論をぜひ書いて頂きたいという気持ちが強まりました。

  こちらのオーラル・ヒストリーと日本美術史論の2本立てで出版をご検討頂けないでしょうか。オーラル・ヒストリーに関しましては、公開されていない部分も拝見いたしました。削除部分は基本的に生かしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  字数ですが、10万字程度でいかがでしょうか。オーラルヒストリーの原稿が91684字(カット部分も含めまして)で、77枚ありますので、同じレイアウトのワードで84枚程になります。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。 
     アルファベータブックス 結城加奈(2020/09/28)

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 さて、そういうわけで、私説日本美術史を書こうということになりました。
 歴史書というものは、色々あるのです。『古事記』、『日本書記』も歴史書であるし、『神皇正統記』も、『大日本史』も歴史書であります。

  『古事記』が、日本最古の歴史書であるとされています。これは、712年に太安万侶が編纂して、元明天皇に献上されたものです。内容は天地開闢 の日本神話から推古天皇のまでの記述となっています。

  推古天皇というのは、なんと歴代天皇の中では最初の女帝であるのですね。日本の最初の歴史書に、この女帝に献上されているというのは、重要な問題であると思います。それは日本文学が平安時代の紫式部や清少納言から始まる女流文学の系譜にあること。さらには美術も大和絵という「女絵」の系譜を優性遺伝としているものであるからです。つまり日本美術史というのは、「女絵」であるということ、その系譜は、現在の漫画にまで続いていると考えています。ですからこの私説美術史を、旧石器から初めて、漫画にまで展開したいのです。池田理代子と山岸涼子まで行きたいのです。


 さて私が、『20世紀日本美術史』を書こうと思ったのは、ずいぶん昔で、1970年にバーバラ・ローズの『二十世紀アメリカ美術』(桑原 住雄訳 美術出版社 1970年)を読んだからです。この本は、最初は、ジ・エイトというグループを基盤にしていて、このアメリカという新しい環境を美術にするという意味というものを、良く捉えていて、そこからアヴァンギャルドを展開して行くというありようが、了解されたのです。物語とした面白くて、頭に良く入ったのです。
 私は、いわゆるアカデミックな美術史家ではありませんので、何よりも読み物として面白い美術史を書きたいと思います。先人としては橋本治 の『ひらがな日本美術史』(新潮社 全七巻)があります。橋本治は、小説家、評論家、随筆家なので、文学者です。つまり『ひらがな日本美術史』は、美術家の視点では書かれていません。その欠落を、美術家の彦坂尚嘉が、言語判定法を使って埋めて書いて見ようと言うことです。       





2. すみません、最初の記事ですが、アップしてから、マガジンの設定でトラブって、記事を消してしまいました。そこで再度書いたのですが、内容が加筆されて膨らみました。ですので、買ってくださった、狩野さん、記事を再度読んでくださるようにお願いします。