(01)タイへの入国とTM30

2023年4月10日、長期滞在を目的に成田空港からタイ王国・スワンナプーム空港に到着した。タイ王国への入国は、以前は飛行機の中で入国カード(TM6)が配られ、到着までに旅券番号や滞在先の住所などを記入し、入国審査の際に提出する必要があった(少なくとも2022年6月までは)。しかし、今回は客室乗務員が入国カードを配らなかったので不思議に思っていたのだが、入国審査の列に並んでその謎が解けた。「パスポートとボーディングカードの半券、(用意できる人は)電子ビザをご用意下さい」という内容のサインが出ていたのである。つまり、日本からの入国はパスポートとボーディングカードの半券があれば入国できてしまうのである。観光を重視するタイでは、こうした手続きが刻々と変わっていくので最新情報を入手したい。2022年6月時点ではCOVID-19の関係で罹患の際の保険加入や2回以上のワクチン接種証明を事前に登録してThailand PassのQRコードを入手する必要があったが、それも今は不要である。

さて、タイ王国ではリタイアメント O ビザを申請する予定で、預金口座に預け入れが必要な80万バーツ(約320万円)+当面の生活費は、現金で持ち込んだ。100万円を超える現金を持ち出す際は出国・入国する両方の空港の税関に申告する必要がある。成田空港で保安検査を受ける前に、若い女性の係員に「税関はどこですか」と尋ねると、「保安検査の先にある」と教えてくれたのだが、これがまったくの誤りであったのである。保安検査を終えてパスポートにスタンプを押してもらう際に係員に聞いてみると、「もう出国したことになっているので税関には戻れない」とのこと。よって、日本の税関では申告を行うことができなかったのである。成田空港は職員の教育プログラムを見直した方がいい。

搭乗している間中、ずっと不安に苛まれることになったが、途中、台湾付近を飛行中、最高峰である玉山が雲の上から頂をのぞかせていて、しばらく窓から眺めていたら気が晴れた。これまで何度も訪れたことのある台湾だが、もう行くこともないのだろうと思うと、少々寂しい思いがするが、起こってしまったことは変えることはできないし、これからはタイ王国で暮らすのだと、前向きに考えることにする。

台湾の最高峰、玉山

タイの首都・バンコクのスワンナプーム空港に到着し、入国審査と受託手荷物の受け取りを終えて税関を目指すも見当たらない。近くの女性職員に税関で申告するものがある旨を告げると、何か、と問う。現金であることを告げると担当窓口まで連れて行ってくれた。タイの人は優しい。
日本の税関で申告ができなかったので、タイで申告をしなければ規則違反になるだけではなく、銀行口座を開く際に、現金の出所を証明する書類がない状態になってしまう。よって、この工程はどうしても必要なのである。

しばらくは現地の友人の住む一軒家の一室を間借りすることにしたのだが、その友人に連絡をして空港まで車で迎えに来てもらう。19時40分とほぼ定刻に到着したものの、入国審査の長い列と税関での申告書作成で時間がかかり、友人と落ち合ったのは9時過ぎであった。空腹だったので食堂へ連れて行ってもらい、魚のフライ、空心菜の炒めでビールを1本、そしておかゆを茶碗に一杯食す。
友人宅についたら、予め英文で作成しておいた賃貸借契約書を確認してもらい、修正するべきところは修正し、お互いにサインをして完成。外国人を滞在させる人は外国人が到着してから24時間以内に移民局へTM30(「Notification Form For House-Master, Owner Or The Possessor Of The Residence Where Alien Has Stayed」)を提出する必要がある。これも申請書を予め日本でダウンロードして下書きをしてある。友人にはIDカードのコピー、住所登録書(タビアンバーン)のコピーを依頼してあり、すでに準備はできていた。

4月11日、朝7時に友人宅を出発し、まずはチェーンワッタナーにある移民局に行き、TM30の申請を行う。必要書類は以下の通り。手数料は不要。
 ・賃貸人のIDカードのコピー
 ・賃貸人の住所登録書のコピー
 ・賃貸人パスポートの顔写真のページのコピー
 ・賃貸人パスポートのビザのページのコピー
 ・必要事項を記入したTM30

必要書類を窓口に提出すると、漏れがないか確認後、番号札をくれるので、番号のアナウンスがあるまで待つ。


TM30申請時の番号札


番号が呼ばれたら審査官と向き合って椅子に座り、いくつか質問を受けたものの、TM30の下の欄に担当官が必要事項を記入して、その部分を切り取って渡してくれる。これで登録完了である。これは外国人(わたし)が、間違いなくこの住所に居住しているということの証明、いわば住民票のような役割を果たしてくれる書類といえるだろう。

次は在タイ日本領事館である。ここでは在留証明済証(英文)を2通、戸籍事項証明書(英文)を申請する。その日のうちにはもらえず、ソンクラーン休み明けの4月18日(火)に出来上がるので取りに来るように、と引換証をくれる。なお、なるべく早くオンラインで在留届を行うように、とのことで、手順を書いた紙をもらった。
在留証明済書の発行のために必要な書類は以下の通り。
・パスポート
・賃貸借契約書(英文)
・手数料550THB(1通につき)

戸籍事項証明書の発行に必要な書類は以下の通り。
・戸籍謄本
・手数料310THB

トイレへ向かうと2人並んでいる。待っていると名前を呼び出され、何事かと窓口に行くと、パスポートを返却し忘れたとのこと。トイレへ行かずにさっさと領事館を出ていたらと思うと寒気がした。領事館は職員の教育プログラムを見直した方がいい。
(続く)



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