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日本人移住者を「サル」呼ばわりして転落した、エリートバンカー



ブラジルの記者時代の実話です。財閥系の銀行がサンパウロ に進出してきました。世界中の金融機関がひしめく市場で、知名度の低かった日本の銀行でしたが、創立時に派遣された行員さんは、日系社会に溶け込むため、涙ぐましい努力を続けていました。


先陣を切った行員さんのおかげで、少しずつ業績が上がり出したときに、アメリカから現地法人の代表が乗り込んできました。

日本の進出企業が急増した1970年代ごろから、進出企業の駐在員と移住者の間に、微妙なミゾが生まれ始めていましたが、その空気を埋めるかのように、双方の親睦を目的にした、ゴルフコンペも開かれていました。


日本人移住者が設立したカントリークラブで開かれたコンペに、銀行の代表も参加しました。ハンディキャップがシングルというのが自慢でしたが、駐在員同士の会話で漏らした言葉が、ウワサとなって広がりました。

一緒にプレーしていた移住者を、「サル」呼ばわりして蔑んだのです。心ある駐在員は眉をひそめましたが、その発言が「法皇」の異名をもつ、本店のカリスマ頭取の耳に届き、逆鱗に触れたのです。

「我々がブラジルに進出できたのは、移住者が積み上げてきた日本人に対する信用があってのことだ」と、サンパウロ に着任して日もおかずに、解任されました。


その後の彼の消息は、現職の行員さんに尋ねても、誰も知りませんでした。進出企業の実態は記者として追い続けてきましたが、成功の可否を握るのは、派遣されたトップの人間力だと断言できます。

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