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かぐや姫と富士山(不死山)のおはなし
求婚の貴公子5人のなかにいた、安倍晴明の祖父
「今は昔、竹取の翁(おきな)というものありけり」ではじまる、平安時代前期に成立した「竹取物語」は、日本で最初のSF小説といわれていますが、フィクションのなかに実在の人物が登場しています。
竹の中から生まれた赤ちゃんは、わずか3か月で絶世の美女に成人しますが、その美貌に魂を奪われた5人の貴公子が、われ先にとプロポーズに励みます。かぐや姫は、現代のクイズ王でも解けない難問をだして、求婚者を苦しめますが、恋におちた貴公子5人はすべて実在の人物です。
彼らはみな陰陽寮の創設に携わった人たちで、天武天皇の側近でした。周知のように天武天皇は、壬申の乱に勝利して第40代天皇に即位しましたが、大の陰陽道ファンでした。
5人のライバルの中に、陰陽師として一世をふうびした、安倍晴明(あべのせいめい)の祖父がいました。阿倍野御主人(みうし)という歴史上の人物で、右大臣の要職についていたエリートです。
やがて月から、かぐや姫の迎えの使者がきますが、翁夫婦へ「不老不死の薬」がプレゼントされます。傷心の翁夫婦は、姫がいなくなっては長寿など望まないと、不老不死の薬を富士山で燃やしてしまったのです。富士山(不死山)の命名の由来だそうです。
フロイトと日本の、夢占いのちがい
新年に見る初夢で喜ばれるのが、一富士、二鷹、三ナスビで、長寿願望の富士(不死)がトップの座に陣取っていますが、四番目には葬式、5番目に火事と続きます。
夢占いで有名なフロイト流の精神分析では、性的願望が目立ちますが、日本の民間夢占いは金銭に関するものが多くを占めています。蛇は高額の宝くじを当てた人の七割が、蛇の夢を見たか、道で出くわした人というデータがあります。
鯛や鶴、亀などはいかにも吉兆ですが、アブやムカデ、シラミ、ミミズもめでたい部類にはいっています。切られて死ぬのも吉兆ですが、夢の字には「呪い殺されて死にたえている人」(甲骨文字)の意味がありますから、理解に苦しみます。
尾籠(びろう)な話で恐縮ですが、トイレや大便(クソ)も縁起がいいと喜ばれました。金運に恵まれますようにと、明治時代には女の子には「クソ」と名付けるのが流行しました。その娘たちが年を経て「クソババァ」になったのでしょうか。
おあとがよろしいようです。
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