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serial❺ 東洋占術の基本「陰陽論」

陰陽はワンペアでリバーシブル

連載をはじめて5回目になる今回からは、東洋占術の根底に流れる「陰陽論」について、お話しします。陰陽論を要約すると、天体の運行や四季の移ろいからヒントを得た、「循環の思想」だと言えます。

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あらゆるものごとには、必ず陰と陽の二つの性質を持っているという、古代中国で生まれた思想・哲学、世界観です。天地、明暗、寒暑、表裏、男女、上下、左右など、ものごとには相対的な関係があるという、素朴な対立観念をもとにした二元論です。

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西洋の二元論は対立したままですが、東洋では、陰陽はワンペアでリバーシブルであるという、独自の概念が浸透しています。表裏のない曲面を立証しあ「メビウスの帯」のように、陰陽二気は相互に対立、否定する関係ではなく、働きが相反するだけで、同時同所に存在し、交替しながら働く気の流れと見ることができます。
道教のカリスマ・老子も、「陽の極まれるときに陰がはじまり、陰極まれば陽に転じる」と、太陽のもとで生命のリズムが生まれた、明暗をイメージした自然循環論を述べています。地球が誕生してから47億年になりますが、太陽が西から昇ったことは一度もありません。

新型コロナウィルスが世界に蔓延している今は、陰陽の区別もつかないカオス(混沌)の状態にあります。倒産や失業、自殺に追い込まれた人をはじめ、国家も企業も、社会も、先行き不透明な恐怖におののいています。まさに陰が極まりつつある状態です。

陰が極まったコロナパンデミック

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世界中の人たちにワクチン接種が行き渡れば、集団免疫ができて陽に転ずることが可能になりますが、疲弊した経済や社会が、ポストコロナの「ニューノーマル」に順応できるまでには、時間を要します。

朝のこない夜はありませんが、夜が明けてから日が昇り、太陽が中天に達した後は徐々に日が陰って、また夜のとばりが訪れます。これこそが陰陽の循環なのです。四季の循環も同じことです。

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愛する人を亡くして悲嘆にくれている人を、酒場やカラオケで元気づけようとしても、ますます落ち込むばかりです。悲しみは薄紙をはがすように、少しずつ癒えるのを待つしかありませんが、本人自身が元気を取り戻すプロセスも、陰陽の循環だと言えます。

昼夜の転換や四季の移ろいも、陰から陽、陽から陰へかすかな動きがなせる業(わざ)なのです。易の八卦や十干、十二支にも陰陽が配当されていますが、陰は消極、陽は積極の気と、短絡的な判断をすると推命を誤る危険があります。

陰陽は同時同所に共存する

宇宙のありとあらゆるものは、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和して、はじめて自然の秩序が保たれるのです。重要なのは陰陽二元論が、この世のものを善と悪に分ける、「善悪二元論」とは異なるということです。

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一年の巡りでたとえると、春は昼間の時間がだんだんと長くなり、植物が芽吹きます。陰の力に対して、わずかずつ陽の力が勢いづく時期で、生命の成長を助けます。

夏は植物の開花の時機、つまり陰の力よりも陽の力が旺盛になり、生命が伸び栄え、生命の壮年の時機に当たります。夜の時間がだんだんと長くなる秋は、陰の力が増殖されて植物の収穫の時期となるのです。

冬は植物が種を落とし、種子が地中に埋もれます。つまり陰のパワーが陽をしのいでいく、生命が終焉の時機だと言えます。こうして陰陽の波動は、エンドレスで循環を繰り返していくのです。

景気循環の波・コンドラチェフの周期

 陰陽の波動を景気変動の波で表したのが、キチンやジュグラーの波動になります。約半世紀ごとにおとずれる「コンドラチェフの周期」で見ると、今から50年前の1970年は、57か月続いた「いざなぎ景気」が始まったばかりですが、同時期に高度経済成長のひずみとして、産業公害がクローズアップされるようになりましたね。

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そして日本の高度経済成長にとどめを刺されたのが、1971年8月の「ニクソンショック」でした。アメリカがドルと金の交換停止を宣言、日本円は1ドル360円から308円に切り下げられたのです。

さらに追い打ちをかけるように、「第一次オイルショック」に見舞われ、石油に頼っていたエネルギーは大打撃を受けました。それから50年を経た現在は、リーマンショックの金融恐慌も冷めやらぬうちに、コロナパンデミックで世界中が大混乱に陥っています。

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コロナ禍の収束後には、世界の風景は大きく変わっていると予想されます。人工知能(AI)に仕事を奪われる時代は10年以上も前倒しになり、企業経営や人々の働き方は劇的に変化します。

天地人のエネルギーが一つになる、宇宙の循環サイクルと、人の生体バイオリズムがシンクロしています。洋の東西を問わず、占いでは個人の運命周期は生年月日が鍵になっています。

生まれた日を起点にして、その人の運命が動き出すという考え方ですが、陰陽の循環の法則にしたがって生きるのが、もっとも好ましい処世術だと言えるのです。

人の個体の周期・生体バイオリズム

人それぞれの個体の周期を、科学的に分析したのが生体バイオリズムです。

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人にはPSIという、三つのリズムがあります。

 P(フィジカル・身体)    23日周期で変化する。

 S(センシティブ・感性)   28日周期で変化する。

 I(インテリジェンス・知性) 33日周期で変化する。

最近ではこれらのほかに、ユングのインチュイション(直感のリズム)がプラスされて、この四つのリズム(波動)が、人間を動かしていると見られています。

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自然や環境のリズムに、自分の波動を同調させれば、ものごとはうまく進むことになります。運を味方につけるには、自分の季節を知ることが大切になるのです。


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