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柏手(かしわで)について

一向に終息の気配を見せないパンデミックですが、ワクチン接種が浸透するまで、自粛と解除のイタチごっこが避けられそうもありません。「苦しいときの神頼み」で、神様のご加護にすがるしかないのでしょうか。

神前では二礼・二拍手・一礼の儀礼にしたがいますが、パンパン!と乾いた打撃音が響く柏手(かしわで)は、神道独自の宇宙観から体系化された作法なのです。

少し難しくなりますが、拍手とは陰陽の調和、太陽と月の交差、霊と肉体の一体化を意味しているのです。


左手は火足(ひたり)で 陽にして霊を表します。
   右手は水極(みぎ)で、陰にして身(肉体)を表します。

 拍手を打つときは身たる右手を下げて、霊たる左手へ打つのが正しい作法です。火と水が交わり「火水」(かみ)となるのです。このとき火水(かみ)は神に通じ、神が降りてくるのです。

 両手を強く打ち鳴らす音は、天地が開く音霊(おとだま)、無から宇宙が生まれる音でもあるのです。天照大神が再臨した天岩戸開きに通じています。神棚に毎朝、若水を供えて燈明を点もして、柏手で風を起こすのは、邪気をはらう「火風水(ひふうみ)の祓い」の象徴なのです。

邪気をはらうためには、わが身自身を浄めて、清廉潔白になる必要があります。禊(みそぎ)とは身を殺ぐ(そぐ)ことで、穢れ(気枯れ)を削ぎ落して浄めることです。

煩悩の数はなぜ108なのか

広辞苑では「衆生の心身をわずらわし悩ませる、一切の妄念」と、仏教の定義が記されていますが、108という数字は仏教の論理的展開のなかの、掛け算から生まれました。

六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)

 三不同(好・平・悪)

 二 染と浄

 三世(現在・過去・未来)

 これらを掛け合わせると、6X3X2X3=108で、私たちを生涯悩ませる煩悩の数になるのです。


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