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窮(きゅう)すれば則(すなわ)ち変ず。変ずれば則ち通ず。


       易経

『易経』は、古代中国の周代に成立したとされる書物で、紀元前11世紀から紀元前256年にかけて編纂されたと考えられています。

『易経』は八卦(八つの基本的な卦)と六十四卦(その組み合わせによる六十四の卦)を基にしており、占いや哲学的な教えを含む書物です。


この書物は、陰陽(陰と陽の相互作用)や五行(木・火・土・金・水)の思想に基づいており、宇宙の変化や人間社会の動向を観察し、そこから普遍的な法則を見出そうとする試みを反映しています。

『易経』は占いの道具として用いられるだけでなく、哲学や倫理の指南書としても尊重されてきました。

「窮すれば則ち変ず。変ずれば則ち通ず。」の言葉は、『易経』の中で具体的に記述されている箇所があるわけではなく、『易経』全体の思想を要約する形で用いられることが多いのです。

  「窮」(きゅう)は、困難や行き詰まり、窮地の状態を意味します。

  「変ず」(へんず)は、変化する、状況が変わることを意味します。

  つまり、「困難な状況に陥ると変化が生じる」という意味です。

  「通ず」(つうず)は、通る、通じる、うまくいくという意味です。つまり、「変化が生じると道が開け、物事がうまく進むようになる」という意味です。

この言葉の背景には、古代中国の宇宙観や自然観があります。『易経』の基本的な教えの一つは、宇宙や自然、人間社会は常に変化しているということです。

この変化の原理を理解し、それに順応することで、困難な状況でも解決策を見出し、進むべき道を開くことができると考えられていました。

『易経』の思想では、変化は必然であり、止まることはありません。この変化を受け入れ、それに応じて行動することが求められます。


困難に直面したときにこそ、新しいアイデアや方法が生まれ、状況を改善するチャンスがあるというのが、この言葉の核心です。

この考え方は、現代においても非常に有用です。ビジネスや個人の問題解決、自己改善の方法として、困難な状況に直面したときに新しい視点や方法を取り入れることの重要性を教えてくれます。

変化を恐れず、積極的に対応することで、新たな道が開けるという普遍的な真理を示しています。

例えば、企業が市場の変化に対応するために新しいビジネスモデルを採用したり、個人がキャリアの行き詰まりを乗り越えるために新しいスキルを学んだりすることは、この言葉の教えを実践する例です。

このように、「窮すれば則ち変ず。変ずれば則ち通ず。」は、古代の知恵として今でも多くの人々に影響を与え続けています。

#易経 #宇宙観 #自然観 #古代の知恵

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