青春18きっぷで帰省した。

 コロナのせいで丸2年帰省ができていませんでしたが、満を持して2021年末年始は帰省をしてきました。
 するといつも遊んでいる友人たちと「どうせ帰るなら__ヒコの地元広島でも寄っていこう」「それなら大学時代にできなかった18きっぷをやってみよう」と、ノリと勢いとパスタで話が進んでいき、2021年12月29日に東京→広島間の18きっぷ旅をやることになりました。

「楽しみかというと、そうでもない」

 青春18きっぷというのはざっくり言うと「1日JRの鈍行に乗り放題の権利を5回やるから好きに使え」というものです。なのでその5回を複数人で使うことも可能です。
 乗れる電車は特急未満のものに限られるので、基本的には「各駅停車」と「快速」です。東京から広島まで894.2kmをこれらの電車を乗り継いで行き、所要時間はだいたい16時間になります。
 我々ももちろんこの仕様は知っていてこの旅を企画したわけですが、皆直前の旅程すり合わせでも「別に楽しみではない」くらいのテンションでした。旅なのに。かくいう私も不安の方が強かったですね。28日時点で、大雪によって通行予定のルートが一つ運休になってしまっていて、もし29日までにダメだったらこの迂回ルートか…や、そもそものルートや休憩場所の確認など、なにせミスひとつで生じる旅程の遅れが致命的になるような距離なので、「楽しみ~」などという気楽なテンションではいられませんでした。

意外となんとかなった

 結果的になんとかかんとかたどり着きました。
 ルートはこんな感じです。

■東京→◇熱海→◇沼津 ≪直通≫→◇静岡→◇掛川→◇豊橋→◇大垣(昼休憩)→◇米原→◇京都 ≪直通≫→◇大阪 ≪直通≫→◇姫路→◇三原→■広島

 東京駅を出たのが06:05。広島へ着いたのが22:10ごろでした。

 まず東京から大垣までの東海道ルートが、おそらく一番体力的にきつかったです。座席がロングシートしかない、車両が寒冷地仕様じゃないから寒い、18キッパーで人多い、とにかく静岡が長い、いつまでも静岡、まだ静岡、静岡…。18きっぷの難所と言われる所以ですね。ただ名古屋を超えたあたりで、「おれたち鈍行で名古屋まで来とるやんけ」と少しテンションが上がりました。

大垣駅

 昼ごはん地点は岐阜県の大垣。大垣は『聲の形』の舞台となっているため、作品のファンの友人は「俺はここで降りて泊まる」などと悲痛な叫びをあげていました。かわいそうですね。大垣の改札を出たすぐにあるドトールで簡単に昼食とトイレなどを済ませます。ここまでですでに6時間以上乗車してきているので、この休憩地点の大垣とドトールが天国のように感じました。ドトールとトイレしか行ってないけど、もう大垣のことが大好きです。あと岐阜というだけあって、このあたりになると雪がしっかり積もっていましたね。
 休憩時間は約30分くらいで、次の電車で座るために早めに並んでおきます。ここからは第2の難所と言われている大垣-米原間の「関ヶ原越え」ルートになります。理由は車両の短さのわりに利用者が多いということから言われていますが、加えて雪の多い地域なので、冬はそもそも通れないなどというビッグハプニングも潜んでいます。前述の雪害も大事になっていました。

 が、29日には無事に通行止めも遅れもなく通行できました。JRの皆さんの迅速な復旧作業にひたすら感謝です。いやまじで。関ケ原あたりは膝くらいまで雪が積もっていました。久しぶりにあれほどの積もり方を見ましたし、除雪作業よく間に合ったな…。

関ケ原超えたあたり

 我々は早めに並んだ甲斐があって、ボックスシートをしっかり確保でき、雪景色を見ながらようやく旅情らしい旅情を感じることができました。寒冷地仕様の車両なので、座席もぽかぽかです。なんなら熱いくらい。どうでしょうで出たまんじゅうふかしみたいでした。

 無事関ヶ原を超えて、米原からは神戸までなんと乗り換え無しで突っ走ります。東京に住んでいると忘れてしまいますが、電車って意外と長距離の路線があるもんですね。ここでも無事ボックスシートを確保できたので、3人でひたすらのんびりと行きます。とは言え暇すぎるので絵しりとりをしたり、私は持ち込んだポケモンのハートゴールドをしたりしました。
 途中京都タワーを見たり、ダウンタウンの出身地尼崎駅を通ったりして「お~」となりつつ、半分寝たりしながら進んでいると、神戸で乗り換えを忘れました。これにより1時間旅程が遅れることになりました。みんなさすがに疲れてきてぼーっとしていたので、しょうがないですね。姫路まで乗りっぱなしで行きます。
 さらにここで情報が飛び込んできました。山陽本線の通行止めです。

 山陽本線が通れないと、在来線では呉本線という超迂回ルートを通るしかありませんし、最悪間に合いません。しかしTwitterで情報を集めていると、どうやら18きっぷでも振り替え輸送の対象にしてくれて、三原から広島まで新幹線に乗れるかもしれないというではありませんか。ただこれに関しては現地に行って確かめないと分からないので、とにかく姫路から山陽本線に乗り換え、三原を目指すことにしました。

 山陽本線は最後の難所と言われていますが、それは最後のくせにめちゃくちゃ乗車時間が長いことと、利用者が多いことに所以します。なんと姫路から三原まで約3時間乗り換えなしで行けてしまいます。外は日も暮れ景色も楽しめない中で、これはなかなかこたえます。あと最初の1時間くらいはたしか座れなかった気がする。
 そんな中でついに長い岡山を抜けて広島県は福山に入った時には、ついにきたかと思いました。まあ広島の人なら分かるかとは思いますが、福山は実質岡山県なくらい広島とは離れているので、まだまだあるのですが、長かった旅の終わりが遂にはっきりと見えた瞬間ではありました。
 尾道の夜景を見届けたのち、ついに運命の三原で降り、駅員さんに確認するとすんなり「はい新幹線で行けますよ~」みたいな軽さでこだまの自由席に乗れることに。

魔法の券

 18きっぷは基本的に振り替え輸送の対象にはならないケースの方が多いようなのですが、山陽本線が通れないとあまりにも”詰み”なので救済措置としてくれたのでしょうか。なんにせよ、あまりにもありがたいご褒美でした。何せ三原から広島まで山陽本線だとまだ1時間15分かかりますからね。それが新幹線だとなんと約20分。泣きたくなるぜ。

広島駅

 ということで着きました。さすがに達成感がすごかったです。トラブルも多少ありましたが、意外となんとかなって、できるもんだなぁ。

 めちゃんこおなかが減っていたので、広島駅内でお好み焼きを食べて、電車で20分くらいの私の実家へ行き、友人2人を泊めました。

炭火で焼く、地御前産の牡蠣

 翌日は朝から親父の用意してくれた牡蠣を庭で焼いて食い、私の地元を少し散歩して2人はそれぞれの地元へ帰りました。牡蠣うますぎた。

いい年越しになりました

 年末に大移動旅をして、大きな達成感を得たこともあり、2年ぶりの帰省で気持ちよく年越しができました。もう広島→東京間などという無茶な距離では使いませんが、18きっぷの使用感もばっちり掴めたので、今後の旅でいい具合に使いたいです。30歳になる前にできてよかった。みんなもぜひやってみてね。


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