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これから先も世の中を支える“縁の下の力持ち”でありつづける ~ 株式会社 多久製作所(埼玉県比企郡小川町)~

配管は決してなくならない

株式会社 多久製作所は、埼玉県比企郡小川町に埼玉工場を構えている特殊配管メーカーです。
社名の「多久」は創業者の出身地である佐賀県多久市に由来しますが、本社は大阪府にあり、取引先は全国に及びます。その中で埼玉工場は、最大のマーケットである関東圏でメイン工場の役割を果たしています。

配管とは、どんな建物や施設にでも必ずといっていいほど備えられている設備で、主に水などの液体やガスなどの気体を運ぶために使用されています。
同社が製造する配管は、集合住宅や商業施設、アミューズメント施設など、一般消費者が利用するもののほか、工場や石油プラント、発電所、水管橋など、比較的大きな建築物や設備向けにも提供されています。

配管は目立たないが社会を支えている

そんな同社の合言葉は「縁の下の力持ち」。取材中、何度もこの言葉を耳にしました。
これには2つの意味があります。

一つ目は同社の製品である配管の役割。
通常は意識することはあまりありませんが、どんな建物でも必ず配管設備が使用されています。建物内で使う水を供給したり、雨水・汚水などを排水したりするためには配管が欠かせません。また、給湯設備などで使われるガスの使用にも配管が必要です。
つまり配管がなければ、その建物は用を果たすことができないといえます。目立たないけれど、絶対にないと困る。配管はそんな大事な役割を果たしているのです。

もう一つは同社自体の存在です。
「創業者の出身地である九州方面ではそこそこ知られていますが、東日本では正直、知名度は低いです」と工場長の石澤さんは語ります。
建物には必ず配管が使われ、大規模な商業施設や有名なテーマパークにも同社の配管が使われているにもかかわらず、その配管の提供元である同社の名前が表に出ることはほとんどありません。

キーワードは“縁の下の力持ち”

目立たないけれど、重要な役割を果たしている同社の存在は、配管同様にまさに縁の下の力持ち的な存在だといえます。

「水を例にとると、水を水源から家庭まで運んでくるには、配管の中を流してくるか、何かの容器で運んでくるかしか方法がありません。今後もおそらく配管がなくなることはないでしょう。そういう意味では持続的なマーケットを持つ会社です。専門分野に特化した配管を手がける会社はいくつかあっても、それらをすべて総合的に扱っている配管メーカーとしては弊社がトップメーカーです。」

同社の社員が、これからの会社についてそのように語ってくれました。配管はこれからも決してなくなることはない。その配管業界において、自社がリーダーでありつづけるという意気込みを感じました。

「縁の下の力持ち」という言葉には、日本のインフラは自分たちが支えていることへの誇りが込められているのです。

トップメーカーだからこそ求められる持続的な経営

動画マニュアルの活用が広がる

あらゆる建物に使用される配管は今後もマーケット自体はなくならない。だからこそ同社は配管業界のトップメーカーとして、持続的な経営に向けた取り組みが進められています。
そのための取組の一つが動画マニュアルの導入です。

「弊社の製造技術は基本的には現場でのOJTによる教育がメインでした。しかし、製造スタッフの中心だったメンバーが年齢を重ねるに伴い、このままでは技術が伝承されないおそれがあるという危機感を抱くようになりました。昨年、たまたま管理の部署から紹介を受けたことがきっかけで、製造技術の教育用として動画マニュアルを使い始めました。」

これまではOJTで作業しながら憶えたり、口頭で伝えられてきたりなど文書化が難しかった技術が、動画マニュアルを活用できるようになったことで効果的・効率的に伝承することが可能になったといいます。
また、外国人スタッフも多いため、動画で視覚的に伝えられたり、外国語の翻訳機能を使ったりできる利点もあったといいます。
そのほかにも事故や災害が起きたときの対応、事故の未然防止のための安全教育などにも取り入れるなど、活用の幅が広がっています。
昨年度から取り組み始めたばかりですが、徐々に製造現場に浸透してきており、現在では全工場で活用されています。

施工現場のことも考えた商品開発にも取り組む

一方で、同社では、配管の製造にとどまらず、施工現場も含めた配管業界全体のこれからのことも考えた商品開発にも力を入れています。

「配管につかうパイプは、たくさんのボルトを使って接続するものがスタンダードでした。ただ、近年は施工後の老朽化に伴う維持費や更新費用が増大していることに加えて、作業に当たる配管工の人手不足も課題になっています。そのため、職人が一本一本ボルトを締める必要がなく、誰でもワンタッチで簡単に接続できる新しい方式の配管を開発しました。これがすごく評価されて売上が伸びています。」

新製品の配管は、モノをつくるだけでなく、施工現場での作業員の負担を軽減できないかという発想から生まれたアイデアだったといいます。
まさに「機能配管メーカーから施工アシスト企業へ」という同社のビジョンを体現した商品といえます。
縁の下の力持ちである自社の経営が持続的であることが、持続的な社会をつくることにもつながっているのです。

志望動機は「かっこいい溶接士になりたい」

「高校生の時に見学して、会社に活気があると感じました」と杉本さん

近隣地域の高校を卒業し、2023年4月に入社した杉本さんに、同社への志望理由や仕事のやりがいについて伺いました。

「初めて企業見学で訪問したときに、社内の雰囲気が明るくて活気があると感じました。そこで溶接の仕事をしている様子を見て、『カッコイイ』と思い、自分もこんなふうになりたいと憧れを感じたのがきっかけです。それまではなんとなく就職しようかなと思っていたのですが、まったく働くことに興味を持っていませんでした。3年生のときに当社の社員の方が高校に会社説明に来た際にお話を聞いて、確かにパイプって目立たないし、誰がどこでつくっているのかなんて知らないけど、世の中にとって大事な仕事をしている会社が地元にあることを知りました。同時に自分がそんな仕事をする側になったらどうなるだろうと初めて仕事に興味を持ったのです。」

溶接の「カッコよさ」に憧れた

入社が叶い、希望どおり溶接の担当に配属されたものの、見るのと実際にやるのとでは「まったく違った」と杉本さんはいいます。

「想像していたようにはうまくできませんでした。知識や技術がまったくないところからのスタートなので当たり前かもしれませんが。入社すると2、3か月の練習期間があるのですが、そこで上司や先輩方に見守られながら練習を積みました。自分の中では、会社というのは上司は厳しく、先輩は怖い人というイメージがあったんですが、当社ではまったくそんなことがなかったですね。会社見学に来たときと社員の方のイメージは変わりません。もちろん厳しいときもありますが、教えてくれるのは自分にとってありがたいことですし、成長につながります。他の会社のことは分かりませんが、個人的には本当に良い会社だなと思います。」

そんな杉本さんの目標は、関連会社や協力会社とともに当社が開催している溶接オリンピックに出場すること。
年の1回開催される溶接オリンピックでは、20数社からそれぞれ選出された代表者が溶接の腕を競い合います。

目標は溶接オリンピックに出場すること

「これまでの恩返しというわけではないのですが、大会に出場して頑張っている姿を先輩方に見てもらいたいです。この会社には頑張っている人のことを決してバカにするような人はいません。だから頑張れるんです。難しい溶接でも頑張ってうまくいった時は楽しくて、仕事にやりがいを感じます。楽しくないと仕事は続かないと思いますので、やっぱりこの仕事を選んで良かったと思いますね。」

控えめに見えた杉本さんですが、溶接のことを話すときは目が輝いて見えました。

こんな人に来てほしい!

「機能配管」「溶接」と耳慣れない言葉を聞くと、入社時には専門知識が必要なのではと思ってしまいます。しかし、実際は「まったくそんなことはない」と石澤さんはいいます。

入社時はみんなゼロからのスタート

「製造業というと『工業科』とか『工業高校』のイメージが強いと思うのですが、むしろ工業科や工業高校出身者は少ないです。みんなゼロからスタートして、入社してから必要な資格を取ってもらっています。実際、私も何を作っている会社なのかよくわからないまま試験を受けて入社しましたから(笑)」

地元高校を卒業した2年目の杉本さんも普通科出身。製造業の会社に入るのだから、工業科や工業高校を出ていないとダメというのは私たちが勝手につくり上げていた幻想なのかもしれません。

「当社に向いている方の特徴をあえて一つだけ言うとすると、商品の配管自体が普段は目にしないような場所で使われていますので、『縁の下の力持ち』的な役割が好きな人が合っているかもしれません。もちろん、ものづくりが好きだったり、やる気があったりするのに越したことはありませんが、働きながら楽しさややりがいが出てくるということもあります。埼玉工場でいえば建設関係の仕事がメインで、どちらかというと少ない品種をたくさんつくる仕事が多いです。いろいろな工程があるので、黙々と作業をこなす人やリーダーシップをとれる人など、いろいろな役割の人を必要としています。そういう意味ではどんな人も大歓迎で、ほかに絶対コレが必要というものはないですね。」

地元の会社ならではの良さがあります

杉本さんは違った側面から、当社のような地元の会社を選ぶことのメリットを教えてくれました。

「たまたまですが、私が入社した翌年に同じ中学校の後輩が入社してきたんです。どこかで見たことがあるなと思っていたら知っている後輩でした。こういう嬉しい再会があるのも地元ならではだと思います。知っている先輩がいれば会社のことを聞きやすいのもメリットです。」

一方で、一般的には会社を辞める大きな理由の一つに、入社後の人間関係がうまくいかないことも挙げられます。その点に関してはどうなのでしょうか。

「企業見学に来た時から明るい雰囲気の会社だなと思っていましたが、入社後もまったく印象が変わりませんでした。当社には外国籍の方も多く働いているのですが、みんなフレンドリーです。仕事を教えてもらうときは、なんでもかんでも教えるというよりは、基本的には見守ってくれていて、必要なときにアドバイスをさりげなくしてくれたり、考える時間をくれたりするので、自分で考える癖がつき、成長も実感しやすいです。」

上司や先輩が見守ってくれるおかげで安心して働ける

特別に指導の時間を設ける指導のやり方ではなく、普段の仕事の中で気にかけてくれている先輩が近くにいることが、安心して働ける環境をつくり出しているのではないかと思いました。
最後に、杉本さんにどんな人と一緒に働きたいかを聞いてみました。

「これといって特に入社前に必要なことはないと思います。知識や技術に関していえば私もまったくありませんでした。人並みにコミュニケーションがとれれば問題ないと思います。飲み会に無理に誘われたリ、昼休みにみんなでワイワイ賑やかにすることを強制されたりすることはまったくなく、かといって暗い雰囲気というわけでもないので、濃すぎる付き合いが苦手な方にとっても居心地がいい会社だと思います。」

【こんな人と働きたい】

・縁の下の力持ち的な働き方を好む方

工場長に聞きました

Q 一言でいうと貴社はどんな会社ですか?

ずばり「縁の下の力持ち!」です。配管は普段は目立たないですが、どんな建物にも必ず使われるものです。同じように、目立たなくても社会に欠かせない会社でありたいと思っています。


Q 貴社の特長、PRポイントを教えてください。

工場内は和気あいあいとした雰囲気が特長です。南米の日系人の方や特定技能実習生の外国人の方も多いのですが、みんな元気で明るい方ばかりです。5月には年に1回バーベキューを開催しており、そこでビンゴ大会も行うなど非常に盛り上がります!


Q これからの会社のビジョンはなんですか?

配管はこれからも決してなくなることはない仕事です。埼玉工場としては、国内随一の機能配管総合メーカーの関東圏におけるメイン工場としての役割を担っていきたいです。


Q これからの会社の成長のためにどんな人材を求めていますか?

Q 一言でいうと貴社はどんな会社ですか?
ずばり「縁の下の力持ち!」です。配管は普段は目立たないですが、どんな建物にも必ず使われるものです。同じように、目立たなくても社会に欠かせない会社でありたいと思っています。

Q 貴社の特長、PRポイントを教えてください。
工場内は和気あいあいとした雰囲気が特長です。南米の日系人の方や特定技能実習生の外国人の方も多いのですが、みんな元気で明るい方ばかりです。5月には年に1回バーベキューを開催しており、そこでビンゴ大会も行うなど非常に盛り上がります!

Q これからの会社のビジョンはなんですか?
配管はこれからも決してなくなることはない仕事です。埼玉工場としては、国内随一の機能配管総合メーカーの関東圏におけるメイン工場としての役割を担っていきたいです。

Q これからの会社の成長のためにどんな人材を求めていますか?
作っている配管も普段は目にしないような場所で使われていますので、縁の下の力持ち的な人が合っているのではないかと思います!
ただ、黙々と作業をこなす人、リーダーシップを持って進める人など、工場の中にもいろいろな役割がありますので、どんなタイプの人も必要です。モノづくりが好きな人ももちろんですが、工場で働きながら楽しさややりがいも出てきます。自分が携わった製品が、近くの建物やニュースで報道されるような有名施設に使われる喜びを感じることができる仕事です。どんな人でもウエルカムです!

Q 社員には会社の成長にどんなふうに関わってもらいたいですか?
仕事は完全な受注生産ですので繁忙期、閑散期と山谷ありますが、忙しいときはみんなで団結して、そうでもない時は改善活動に勤しんでいます。一人ひとりが自己研鑽し、自らを高めるとともに、会社全体の成長に貢献していただきたいと考えています。

Q メッセージをお願いします[tk1] 
当社は、水道水、薬品などの液体、空気、ガスなどの気体の移送に欠かせない配管を設計・製造する企業です。建物が完成すれば配管は見えなくなってしまいますが、目立たなくとも世の中を支えていることが私たち多久製作所の誇りです。"縁の下の力持ち"、"黒子"といった言葉に魅力を感じる方はぜひご応募下さい!

【プロフィール】
工場長 石澤 徹(いしざわ とおる)さん
趣味・休日の過ごし方: サッカー観戦(ザスパ群馬ファン!)

若手社員の方に聞きました

Q 一言でいうと貴社はどんな会社ですか?
とにかく明るい雰囲気です。気に掛けてくれますし、自分で考える場面を与えてくれてる事など、基本優しいですが時に厳しく先輩達に指導頂いています。普段もいじってくれます。

Q 入社を決めた理由、きっかけを教えてください
高校の会社説明を聞いて興味を持ちました。企業見学に来た時に見た、溶接のカッコよさに憧れたのがきっかけです。

Q この会社を選んで良かった、この会社のココが好きと思うことは何ですか?
会社の雰囲気が明るく、上司や先輩がみんな優しいこと。難しい溶接の仕事をやり遂げたとき。

Q 仕事を通じてどのように成長していきたいと思いますか?
任せれば大丈夫!という溶接士になりたいです。まだいろいろと完璧にできないので一つでも自分のモノにしたいと思って日々取り組んでいます。

Q 「この会社に入るとこんな成長ができる」と思うことは何ですか?
溶接の仕事は職人度が高いですが、会社で資格を取らせてくれて、そのためのトレーニングも先輩たちの指導のもとで時間をとってもらって溶接の資格を取得しました。
日常でもものづくりのスキルをDIYに活かせているかなと思います。


Q メッセージをお願いします
数をこなせばこなすほど成長が実感できるので、やりがいが大きい仕事です。しっかりしている人が多く優しいです。外国籍の方も明るくて楽しい方ばかりです。いろいろできるようになるために一生懸命働いています。一緒に楽しく働きましょう!


【プロフィール】
製造課 杉本 陸斗(すぎもと りくと)さん
休日の過ごし方・趣味:ビーズアクセサリーづくり

基本情報

・企業名 株式会社 多久製作所 埼玉工場
・所在地 〒355-0311 埼玉県比企郡小川町大字高谷2664番地1
(GoogleMAP→)
https://maps.app.goo.gl/BH5RvFKPJKzxt191A
・創業年 1950年
・設立年 1958年(埼玉工場は1978年)
・事業内容 機能配管のトータルプロデュース、設計、製造、販売
・従業員数 481名
・会社WEBサイトURL 
https://www.tak-ss.co.jp/

・高校生向け企業紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=eju0r1023HY&t=69s


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