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声がした。
聞き慣れた声だ。
“それ"は体をまさぐっている。
まだ覚めきれない目でもわかった。
"それ"は褐色の動物だった。
気づいた頃には摩擦は始まっていた。
拒絶も意味なく。
すっかり醒めきった目は、はっきりと"それ"をオスだと捉えた。
体はこわばって、今まで体験したことのないことに怯えていた。
痛みと供に相手の快楽のうめきが部屋に響いた。
初めて体験する恐怖。
暗い部屋で相手の影しか見えない。
汗をかいた身体を、腕を、絡ませてくる。
部屋に響くあえぎ声。
衝動に任せた動き
ピストン
それは悦楽の声とともに止んだのだった。
自分はその時泣いていた。
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