ココアを2杯飲む

思えばちょうど一年前、30日連続更新をやっていた。始めたばかりの一人暮らしを整える、といった内容のことがほとんどで、それはつまり、緊急事態宣言下でできることも限られていた頃だった。
一年経った今、同じく緊急事態宣言下にあって、生活は様変わりしている。普通に出勤はあるし、店も開いている。なんなら前日にはライブにも行っている。何も変わらなかったような一年でも、あらゆることが絶望的でも、何かが前進はしている。それが良い方向であれども、そうでなかれとも。

昨日、1組のアーティストが活動を終えた。Maison book girl。4+1人の表現者。本人たちから終了に至った経緯は明かされていない。思うところはいくらでもある。言葉にしたこともある。それでも、どれだけ言葉を尽くしても、答えは見つからない。そしておそらく答えを提示されることもない。
忽然と姿を消し、最終公演のBD発売以外に何も発せられることのないまま1日が過ぎ、さまざまな絶望に苛まれそうになって、ふと気づく。

同じことなのだ。一年前から進んでいないような世界が、じんわりとでも、どんなに遅くても着実に進んでいること。
彼女らが削除された後の世界でも、もう痕跡を消すことはできない。SNSでの発信が消されようと、何ら説明がなされることなく表舞台に立つことがなかろうと、仮にここから先楽曲が消されようと、それを経験してしまった自分がいる限り、全てがなくなることはない。

それでも、何か一つでも形に残したくて、昨日ふと思い出した『まんげつのよるに』というポエトリーリーディングの一節、『ココアを2杯飲む』を何かに引用し続けられないか、と思った。使い続けることで、その言葉を使い始めた理由を思い起こすことができる。
何か行動を自ら起こすタイプの人間ではないけど、それでも何かをするときにはこの言葉とともに、という思いで、ひとまずここに書きつけてみる次第だ。

彼らは眠れぬ夜に、ココアを2杯飲むんだ。
おかしいだろう。

とても好きな一節です。

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