換気扇の下
『ここには悲哀が漂っている
薄明かりで灯った目には世間が流れているのだ
それは街には収まらない衝動と
鬱屈した日々に気を吐く唯一の道具だ
誰々やあれそれなど特定できないものに
流されまいと保つ自分の心を
ないものとされ、ここを選ばざるを得ない
今でこそ、ここは聖域とされ、
テリトリーとして考える者もいるが、
本来は所構わず、行えていた
排斥されていった我々の通念は
煙になって消えていくのだろうか
我々の言葉にはその者の生きてきた匂いが混ざり、アイデンティティを確立している
紛れもなく時代を生きていく上で
なくてはならないものだ
身を削ってでも、
今という時間を生きるという観点においては
ヒッピーやレイヴカルチャーに通じている
だが異なる点といえば我々がまだ暴挙に出ていない事だろう
虐げられ、害悪とされた我々は
その気になればこの街も燃やす事ができる』
そう言って、煙に巻く彼はいつも通りそこに落ち着くのである
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