明日は我が身

 あんまり戦時と比べちゃいけないのかもしれないとは思う。でも戦争中ってこんな感じだったんだろうか。
 突然、好調だった商売がダメになったり、推奨されていた商売が禁止になったり、みんなを喜ばせていたはずの職業が白い目で見られたり、商売道具を拠出させられたり、いままでOKだった行動を規制されたり、それで誰も補償してくれないような状況。
 日本は何十年も平和だったから、想像できなかった。多分そういう人は他にもたくさんいるんだろう。人に喜ばれ、社会に貢献してまじめにやっていれば永久に同じ商売(職業)が続けられるはずだって何となく信じていた。
 でも、人生には何が起きるかなんて分からない。逆に今まで何もなかった方が奇跡だったのかもしれない(決して何もなかったワケでもない人がほとんどであろうが)。
 直前まで頑張ってきたのに今回のパンデミックで立ち行かなくなった商売や職業の人たちに「どうすればいいか」と聞かれて多分僕は何も答えられない。
 「このままじゃ潰れちゃうから前みたいに営業していいか」と聞かれても多分僕は首を縦には触れない。
 「再開したから来てくれ」と言われても、1回くらいはお見舞いがてら行くかもしれないが、多分僕はその店の継続に貢献するほど足繁く通うことはできない。
 「じゃあ潰れろって言うのか」と投げかけられても、「そこまでは言わないが仕方がない」と思いつつそんなことは口が裂けても言えない。僕は多分黙りこくってしまうだろう。
 戦争が始まったり、外国の軍隊が侵入してきたり、内戦が始まったり、戦争に負けたり、そういった時にはきっと今回の件よりもっと暴力的なスピードでこういう事が起こったんだろう、突然日常が奪われたんだろうと考える。
 明日は自分かもしれない。ただ確実に戦時と違う事は「不満を言っても警察に拘束されない」という事だ。逆に言えばそれだけは永久に担保して欲しい。

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