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ASTLIBRA Revision 感想

目次


【1.どんなゲーム?】


 元はKeizo氏が14年かけて作成した個人製作ゲームで、フリー版『ASTLIBRA』に色々追加要素を加えたリメイクが本作『ASTLIBRA Revision』になります。ジャンルは横スクロールアクションRPG。Steam版とSwitch版がありますが今回私が購入したのは後者。
 幼い頃住んでいた村がモンスターの襲撃に遭い、その時に離れ離れになってしまった幼馴染を探すために世界各地を回るというお話です。あとついでに世界を救ったりします。

【2.良かったところ】


■ 軽快かつ、ほどほどに難しいアクション

 アクションゲームにおいて個人的に重要視している部分の一つは通常攻撃(最もよく使う攻撃)時の効果音です。本作におけるソレはヒットストップと相まってゴリゴリ削っている感があってとても良! 

 序盤は楽勝で突き進めるものの、中盤辺りから結構いやらしい攻撃をしかけてくる雑魚敵も増えてくるので攻防のタイミングを図らないと余裕で死ねます。まあでもこのくらいの難易度の方が適度に緊張感を持続してくれるので私は好きですが。俺はもっとサクサク進みたいんだよ!って方のためにも安心の6段階難易度調整付き。まあぶっちゃけレベルを上げればどうとでもなります。筋肉(レベル)は全てを解決する。

■ コーディネイトに拘れる

 色違いみたいな誤魔化しは無く、多種多様な装備品それぞれに固有のグラフィックが用意されております。つまりお気に入りのコーデで戦えるってこと!
 どうせ強い装備を優先するから見た目に拘っている余裕なんて無いんだろ?と思う方、ご安心を。解禁されるのはかなり後半ですが装備品自体を強化できるため各種装備品の基礎値の差は最終的に誤差レベルになります。

 つまり、その気になれば初期武器の「その辺で拾った木の枝」でさえ神をも断つ剣になるということです! 伝説の武器だから強いのか? 違うね。世界を救った英雄が持っていた武器だからこそ伝説になったのだ!

■ 町人ひとりひとりの作りこみ

 顔グラは個人毎に用意されているし、会話の内容も高頻度で変わります。ゲームの面白さに直結する要素ではないけど私的にこういう拘りは大好き。会話の変遷を見るとNPCの性格が見えてくるし愛着も自然と湧いてくるので。

■ ボス敵に巨女が多い

 上画像の通り全体的に超デカいです。体の一部だけがやたらと大きいのはバランスが悪いと常々思っている方への救済となることでしょう。いや、私の性癖じゃないぞ? 製作者が性癖に忠実なところを評価しているのであってだね…

【3.悪かったところ】


■ Growマップの操作性が悪い

 FF10のスフィア盤よろしく敵を倒して得られるポイントを消費してパラメーターを強化していくシステムなのですが、隣り合っているパネルなら自由にカーソル移動できそうに見えてそんなことはないんですよね… (見えづらい)縦横のラインで繋がっている範囲でしかカーソル移動できません。すぐ近くにいるのにこんなにも貴方が遠い。分岐が多いわりに分岐時点まで戻るには迷路のようなラインの繋がりを丁寧になぞりながら戻っていくしかないという操作性の悪さ。ここはフリーカーソル移動が欲しかったなぁ。

■ ごく一部に理不尽な難易度になっている箇所がある
 
敵がつえぇとかではなく、物語の都合上戦闘システムに制限がかかったまま進めないといけない箇所があって、本作で最難関と言っても過言じゃない道程があります。要は強制縛りプレイを強いられる期間があるということ。で、これが気持ちよくない。冷房に慣れてしまった現代人(わたし)が冷房無しで猛暑を凌ぐのが困難なように、それまで秘技や魔法を駆使しながら派手に戦ってきたのに急にそれらを封印して頑張れと言われても困っちゃう。
 それだけならまだしも道中はセーブポイントの間隔が長いため、そこでミスるとボス戦前からやり直しになるという… せめてボス後にセーブさせてほしかった。「懐かしいなこの感覚… 昔はこういう優しさとは無縁のゲームも多かったものだ」と口では強がりつつ、またやり直しかよおおおおっ!!と心内で泣いている私もいるんですよ?

【4.私の中で賛否両論 】※ネタバレ有


 欠点というほどのものではありませんが、シナリオにおいて私の好みからは微妙に外れてしまった部分についても語らせてください。いやでもこれはコレでよかったんじゃないかという気持ちも少なからずある!

■ 罪も傷みも、全て背負って生きるのも悪くなかったんじゃないかな

 本作の物語はややエグみのある内容となっていて、2Dグラで誤魔化されているものの描写的に結構ハードな部分が多々あります。首だけになって生き続けている女や、善戦虚しくモンスターに腸食い漁られているかつての仲間とか。むしろそういう無情な部分が本作の魅力だと思っていたんですよ。

 本作はリブラ(天秤)を利用して代償を支払う代わりに過去をやり直す機会が与えられるというシナリオ構造になっているため、改変により最終的に皆救われます。救われちゃうんです。でもその過程で失った命と得られた覚悟まで帳消しになってしまうのは、なんというか勿体無いと思ってしまいました。

 モンスターに取り込まれてしまった妹を殺す覚悟が得られるまで長い年月を要したガウ。己の信念に従い主人公に同行した結果、魔王に殺されてしまったシロ。敵に呪いをかけられて主人公と共に村人を虐殺してしまったクロ。ままならない展開ではあるけど、悲劇を受け止め涙を呑んで前へ進む姿は不謹慎ではあるが美しいと呼べるものだった。

 これは傍観者であるプレイヤーだからこそ思える部分であって、当事者達にとってはそりゃ救える道があるのなら救った方がいいに決まっているのだけどね… 悲劇から立ち直る人間の演出と語り口が上手かっただけに、その路線を突き進むのもアリだったのでは?とも思うんですよ。

■アヌリス、お前と(共に)戦いたかった

 闘技場で遊ぶじゃん? 進めていくとドリームマッチみたいな対戦相手も出てくるわけですよ。おいおいこれはアヌリス(幼馴染)と主人公じゃん。なるほどこれは最後の最後に仲間になるのがアヌリスということを示唆しているんだな? まったくサブコンテンツで先の展開をネタバレするなんて感心しないなぁ~ と勘違いしてしまった私がいても仕方ないと思うんですよ(他責)。

 残念ながらこれはアメリカンドリーム。アヌリスは間違いなく本作のヒロインではあるけど、最後まで「捕らわれの姫」のまま脱却しなかった。戦う力は十分以上にあるのに。私自身、共に戦ってくれる幼馴染が性癖なのもあり、前述の期待と相まって特に残念に感じてしまった部分。もう戦う必要は無いんだという優しさから来る展開なのかもしれないけど、追い求めた幼馴染と最後は手を取り合ってラスボスを倒す流れも見たかったなあああぁ!!

【5.好きなキャラ語り】※ネタバレ有


・カロン

 俺、お前がいなきゃ何も出来ないよ…と物語的にもシステム的にもそう思わせてくれる終生の相棒。逐一助言はしてくるけど、最終的な決断は主人公に委ねてくれるのも信頼のなせる業。主人公が喋らない以上、代弁者は必要だけど、程ほどに茶目っ気があって、指針を提示しつつも強制はしないカロンはわりと絶妙なバランスで成り立っているキャラだと思います。

・クロ

 命幾許もないところを主人公に救われ、その後はずっと旅に同道してラブコメイベントを発生させたり貝殻ビキニを着てくれたり共に傷を背負ってくれたりと、ヒロインっぽいイベントを尽くこなしてくれるのでカロンを除いたパーティメンバーの中で主人公に一番寄り添ってくれていた印象があります。個人的に本作で一番好きなキャラになりました。あと内気なわりにその露出の高い服装はなんだ! おっぱいでかいし! 本当にありがとう!

・シロ

 古式ゆかしいツンデレディ。出会った当初は清楚系を装っていたり主人公達を騙したりしたけど、内面はコンプレックスの固まりで責任感の強いところが好き。それだけに魔王に不意を突かれてそのまま死亡したシーンはショックでした。しかもその後の回想で追い討ちをかけてくるし。…まあ天秤(リブラ)のおかげで無かったことになるんですけどね。

・ガウ

 気さくな兄ちゃん。主人公と男子高校生的ノリになるところとかほっこりするけど、その正体は元勇者で魔王に取り込まれた妹の命を守るためだけに仲間を裏切った過去を持つ。人に歴史ありとはよく言ったもので、彼の背負っているものは重過ぎるし、過去の自分と対峙 → 魔王諸共妹を殺す流れは凄絶。

・カイ

 最初は神の使い的な存在かと思っていたけど、全然そうじゃなかった人。彼女持ちだと判明したときは醜い嫉妬心が沸き起こりましたが、遠い未来の果てに待っている彼女との再会を待ち続けた純愛ぶりには感服するしかなかった。涼しげな顔とは裏腹に情に厚く、それ故に敵対していた理由も納得しかない。

【6.まとめ】


 追加シナリオまで含めるとプレイ時間は60時間超になります。セーブポイントからのリトライも多かったのでその辺も含めると恐らく70時間くらいかかっているかと。グラやBGM(一部フリー素材)も個人製作と思えないくらいに質が高く、総合力の高さは目を見張るものがありました。

外伝も既に発売済みなので折を見て私もプレイしたいな


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